婚約者を妹に譲ったら、婚約者の兄に溺愛された

みみぢあん

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30話 求婚5

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 エドガーは裕福な上級貴族らしくジュリーが直面している問題は、お金で解決できるとさらりと言った。


「ジョナサンが信用できないのなら、私のように信用できる領地管理人をやとえば済むことなのだが?」

「え?」
 領地管理人?! そうか…! エドガーは領地の運営よりも王太子殿下の側近の仕事が忙しいから……
 エドガーの代わりに領地の管理をする人をやとっていると、ジョナサンに聞いたことがあるわ。 忘れていた!

「もちろん… 管理人にまかせっぱなしではいけないがね」
 エドガーはそう言いながら大きな花束をジュリーに渡す。
 
 何げなく花束をヒョイッ… とエドガーに渡され、話に集中していたジュリーは何も考えずに受け取った。

「なるほど、領地管理人……」
 エドガーから受け取った花束の中に『奇跡のバラ』、『神の祝福』と呼ばれる、外国で品種改良された貴重な青いバラが混じっていることに気づき、ジュリーは思わず見入ってしまう。
 
「気に入ったか?」
 どことなく緊張したようすでエドガーがたずねる。

 ジュリーはキョトン… として聞き返した。

「何が?」

「花だよ…! ピンクのバラはジョナサンが全部、アリアーヌに贈ってしまったから、良いのが残っていなかったんだ! そんな地味な色で小ぶりなものしか残っていなくて…」
 すごくエドガーは悔しそうだ。

「そうなの? でもこの青いバラ… すごいバラよ?」
 確かこの青いバラは… 10年前に王都で開かれた『世界の博覧会』でお披露目されたらしいけれど。
 すごく高価で貴重きちょうだから王宮の庭園でしか育てられていないと… 女学園の教師から聞いたことがある。

「きっと先代伯爵様が当時王家につかえていたから… バラの株をわけてもらったのね? すごいわ、エドガー! こんなふうに切り花にしてしまって良いの? アリアーヌに贈るためなのはわかるけれど…」
 たぶんアリアーヌはこの青いバラの価値を知らないから… ピンクのバラが良いと言うでしょうね。

 ジュリーは苦笑し青いバラの香りを確かめる。
 見た目にピッタリのさわやかでフルーティな芳香ほうこうだ。  

「さっきから何を言っているんだ? 花はジュリーへ贈るために持って来たんだ」
 ジュリーに花の感想を聞き、満足そうにエドガーはニコッ… と笑う。
 青いバラがそれほど貴重きちょうな花だったとは贈ったエドガー自身も知らなかった。

「…私に?! きょうは私の誕生日ではないけれど?」
 あら? アリアーヌへのお見舞いの花束ではなかったの? 

 ジュリーが首をかしげていると… エドガーは上着のポケットから小さな紙の包みを出して開く。
「ジュリー、口を開けて…?」

「はぁ?」
「口だよ!」
「口…?」

「ほらっ…! 大きく……」 
 両手が大きな花束で使えないジュリーのかわりに… エドガーは包み紙の中身をジュリーの口の中に、ポイッ… と放り込んだ。

「んんんっ…?!! んん~~!!」
 甘い砂糖菓子ボンボンだわっ! わぁ~美味おいしいぃぃっ!!

「気に入ったか?」
 すごく緊張した様子のエドガーは、ジュリーにふたたび、たずねた。


「うん!」
 コクッ… コクッ… とジュリーは幸せそうに微笑みうなずくと… エドガーはポケットからもう一つ包みをだして、ジュリーの口に放り込む。





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