婚約者を妹に譲ったら、婚約者の兄に溺愛された

みみぢあん

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51話 婚姻の儀の翌朝 エドガーside

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 婚姻こんいんの儀の翌朝。
 新しい伯爵夫人をむかえたファゼリー伯爵邸から… ジョナサンは花婿はなむこ修行を名目に、男爵邸へ送られることになった。


「お前はセイフォード男爵の信頼をえるために、いっこくも早く男爵領の運営について、男爵自身から学ばなければならない」
 情熱的な初夜を終え、疲れて熟睡する可愛い花嫁ジュリーをベッドに残し… 物わかりの悪い弟を相手にするのは極めて不快だ! …だが、これ以上ジュリーの目に、ジョナサンの姿をさらすことはもっと不快だからな!!

「いきなり、そんな… 兄… 兄上っ…!」
 前日は無事だった手や足にまで、包帯ほうたいをグルグルと巻いたジョナサンが、伯爵邸の玄関前で青ざめていた。
 使用人たちは馬車に、手ぎわよくジョナサンの荷物を積んで行く。

「今まではジュリーが、親切に教えてくれていたかもしれないが… これからは男爵がみずからお前を指導するはずだ」
 そしてお前は男爵に嫌われているから、特別厳しくされるだろう。 いい気味だ、この愚か者め!!

 エドガーは腕組みをして、冷ややかにジョナサンを見た。

「兄上… せ… せめて、顔のあざが消えるまで… もう少し待って下さい!」
 エドガーが本気で激怒していると… ビリビリ、肌で感じるジョナサンは、おびえながらびるように笑った。

「昨夜までは、そのつもりだった。 お前の長所はその顔しかないからな! だが、私の妻を侮辱ぶじょくしたお前を、許すと思うか?」

「そ… そんな! 僕は兄上の実の弟ですよ?!」

「ジュリーは私の愛する妻だ! 男のお前と比べようがないだろう? お前だって私とアリアーヌを比べて、どちらを選ぶ? 簡単に答えが出るはずだ」

「……っ!!」

「今、男爵家へ行かなければ、お前と兄弟のえんを切る!」
 お前がジュリーを置いて、王都で遊びまわっていた時… 私がどれだけ、お前の尻拭しりぬぐいをしたと思っているのだ? 父上が病気で苦しんでいた時に!!
 昨日、ジョナサンが一方的にジュリーを侮辱ぶじょくする姿を見た時… どれだけ恥かしく思ったことか。 あんな風に淑女しゅくじょを口汚く、侮辱していたなんて… それも、ジュリーのような優しい女性を!!

「兄上!!」

「身内の私がいくら厳しくしても… お前はそうやって甘えるから、その汚れた性根は治らない! まともな人間になりたければ、黙って男爵のもとへ行け!」
 これは、お前にあたえられた、最後の名誉挽回めいよばんかいの機会だ。

「お願いします、兄上!」

「私の許可なく、このファゼリー伯爵邸へ足をみ入れることは、許さない。 お前の婚姻の儀で会おう、ジョナサン!」


 ジョナサンに背中を向けて、エドガーは邸内に戻った。





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