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52話 愛した理由 ジョナサンside
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ファゼリー伯爵邸を追い出されたジョナサンが、セイフォード男爵邸で暮らすようになると… 当然のことだがアリアーヌと顔を合わせる機会が何度もあった。
そのたびに…
「キャアァァァ―――ッ…!!」
痣が消えないジョナサンの顔を見たアリアーヌは、怯えてさけび声をあげた。
「アリアーヌ…っ?!!」
ああ、クソッ…! 兄上のせいだ! 繊細なアリアーヌはきっと怖がると思っていた。 …だからまだ顔を見せたくなかったのに!
「嫌っ! ジョナサン… あなた、何てひどい顔なの?!」
「ごめんよ、きっとすぐに治るから」
かわいそうに… 優しくて繊細なアリアーヌは人のケガを見ただけで、傷ついてしまうんだな? 僕が注意しないと。
苦笑を浮かべてジョナサンは謝った。
ジョナサンの考えを裏切り、エドガーに殴られた痣が顔から消えても… アリアーヌは怯え続けた。
「おはよう、アリアーヌ」
いつもは昼近くまで寝室から出て来ないアリアーヌに、朝から会えるなんて… 今日は幸運だ!
「お… おはよう、ジョナサン…」
朝食室で顔を合わせると、アリアーヌはサッ… と顔をそむけてジョナサンの顔を見ないようにする。
「…まだ、この顔に見なれないんだね?」
ジョナサンは自分の鼻に触れた。
エドガーに殴られて折れた鼻は、完治しても曲がったままになってしまったからだ。
そのことが、繊細なアリアーヌには耐えられないのだ。
「ごめんなさい… ジョナサン…」
おどおどと謝るアリアーヌ。
「気にしてないよ」
だけど… 僕が男爵邸へ来て男爵について回り、領地運営を学ぶようになってからは、1度もキスをさせてくれない。
ジョナサンがキスをしようとすると、アリアーヌは顔をそむけるようになった。
それどころか… 鼻が曲がったジョナサンの顔を、なるべく見ないようにしているのがわかる。
待ちに待ったジョナサンとアリアーヌの婚姻の儀がおこなわれた。
女神を祀る祭壇の前でも… アリアーヌは誓いのキスをこばんだ。
「……っ!」
もしかしてアリアーヌは… 僕を愛した理由は、顔だったのか? 僕自身ではなく…… 僕の容姿を愛していたのか?! まさか… そんなっ!!
誓いのキスをこばまれて、ジョナサンは初めてそのことに気づき、顔を強張らせる。
だが、ジョナサン自身も… アリアーヌの『妖精姫』と呼ばれる、無邪気で清らかな美しい容姿に惹かれたのだから同罪である。
鼻の骨が曲がり、以前とは容姿が変わってしまったジョナサンを… アリアーヌがうっとりと見つめ、キスをねだることは無くなった。
初夜の時間となり、ジョナサンが寝室へ入ろうとすると… 泣きわめくアリアーヌの声が扉の向こうから聞こえ、ピタリッ… と立ち止まった。
ジョナサンは扉を少し開けて、アリアーヌと男爵夫人の話を盗み聞く。
「アリアーヌ… あなたは愛するジョナサンと結婚したのでしょう? ね?」
「怖いわ…! 嫌よっ… 絶対に嫌っ…! お姉様は? ジュリーお姉様が代わりに初夜をすればいいのよ! 優しいお姉様ならきっと、私を助けてくれるわ!」
アリアーヌは身体をブルブルと震わせながら、男爵夫人に縋りつき泣きじゃくっている。
「ジュリーも立派にエドガーと初夜を迎えたのよ? あなたも愛するジョナサンとなら、きっとジュリーのように素敵な初夜を、迎えられるはずだわ」
男爵夫人はアリアーヌをなだめようとするが…
「嫌っ…! もう彼を愛してないわ! だから初夜は出来ない! 嫌よっ…! 愛してないの、ジョナサンを愛してない!!」
「アリアーヌ…」
「……」
やっぱり……!
ジョナサンはそのまま静かに扉を閉めて、寝室を離れた。
アリアーヌの本心をはっきりと聞き、ジョナサンの愛情も冷めてしまったのだ。
そのたびに…
「キャアァァァ―――ッ…!!」
痣が消えないジョナサンの顔を見たアリアーヌは、怯えてさけび声をあげた。
「アリアーヌ…っ?!!」
ああ、クソッ…! 兄上のせいだ! 繊細なアリアーヌはきっと怖がると思っていた。 …だからまだ顔を見せたくなかったのに!
「嫌っ! ジョナサン… あなた、何てひどい顔なの?!」
「ごめんよ、きっとすぐに治るから」
かわいそうに… 優しくて繊細なアリアーヌは人のケガを見ただけで、傷ついてしまうんだな? 僕が注意しないと。
苦笑を浮かべてジョナサンは謝った。
ジョナサンの考えを裏切り、エドガーに殴られた痣が顔から消えても… アリアーヌは怯え続けた。
「おはよう、アリアーヌ」
いつもは昼近くまで寝室から出て来ないアリアーヌに、朝から会えるなんて… 今日は幸運だ!
「お… おはよう、ジョナサン…」
朝食室で顔を合わせると、アリアーヌはサッ… と顔をそむけてジョナサンの顔を見ないようにする。
「…まだ、この顔に見なれないんだね?」
ジョナサンは自分の鼻に触れた。
エドガーに殴られて折れた鼻は、完治しても曲がったままになってしまったからだ。
そのことが、繊細なアリアーヌには耐えられないのだ。
「ごめんなさい… ジョナサン…」
おどおどと謝るアリアーヌ。
「気にしてないよ」
だけど… 僕が男爵邸へ来て男爵について回り、領地運営を学ぶようになってからは、1度もキスをさせてくれない。
ジョナサンがキスをしようとすると、アリアーヌは顔をそむけるようになった。
それどころか… 鼻が曲がったジョナサンの顔を、なるべく見ないようにしているのがわかる。
待ちに待ったジョナサンとアリアーヌの婚姻の儀がおこなわれた。
女神を祀る祭壇の前でも… アリアーヌは誓いのキスをこばんだ。
「……っ!」
もしかしてアリアーヌは… 僕を愛した理由は、顔だったのか? 僕自身ではなく…… 僕の容姿を愛していたのか?! まさか… そんなっ!!
誓いのキスをこばまれて、ジョナサンは初めてそのことに気づき、顔を強張らせる。
だが、ジョナサン自身も… アリアーヌの『妖精姫』と呼ばれる、無邪気で清らかな美しい容姿に惹かれたのだから同罪である。
鼻の骨が曲がり、以前とは容姿が変わってしまったジョナサンを… アリアーヌがうっとりと見つめ、キスをねだることは無くなった。
初夜の時間となり、ジョナサンが寝室へ入ろうとすると… 泣きわめくアリアーヌの声が扉の向こうから聞こえ、ピタリッ… と立ち止まった。
ジョナサンは扉を少し開けて、アリアーヌと男爵夫人の話を盗み聞く。
「アリアーヌ… あなたは愛するジョナサンと結婚したのでしょう? ね?」
「怖いわ…! 嫌よっ… 絶対に嫌っ…! お姉様は? ジュリーお姉様が代わりに初夜をすればいいのよ! 優しいお姉様ならきっと、私を助けてくれるわ!」
アリアーヌは身体をブルブルと震わせながら、男爵夫人に縋りつき泣きじゃくっている。
「ジュリーも立派にエドガーと初夜を迎えたのよ? あなたも愛するジョナサンとなら、きっとジュリーのように素敵な初夜を、迎えられるはずだわ」
男爵夫人はアリアーヌをなだめようとするが…
「嫌っ…! もう彼を愛してないわ! だから初夜は出来ない! 嫌よっ…! 愛してないの、ジョナサンを愛してない!!」
「アリアーヌ…」
「……」
やっぱり……!
ジョナサンはそのまま静かに扉を閉めて、寝室を離れた。
アリアーヌの本心をはっきりと聞き、ジョナサンの愛情も冷めてしまったのだ。
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