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29話 婚約式3
しおりを挟む3年前、婚約者だったリベルテが、正式に騎士となり王都へ旅立つ前日に… ソレイユは純潔をうしなった。
『ソレイユ… 君を置いて行きたくないよ!』
『私もあなたと一緒に行きたいわ、リベルテ!』
でもソレイユは、病気の母親を置いては行けなかった。
『たくさん手柄を立てて、必ず君をむかえに帰ってく来るよ!』
『ええ… リベルテ、待っているわ!』
『…だから、君が欲しいんだ! 君と1つになりたい!』
『リベルテ…』
『愛する君のことを… もっと知りたいんだ、ソレイユ…』
『良いわ… 私も、あなたのことを、もっと知りたい!』
リベルテは王立騎士団で、いくつか手柄をたて異例の速さで出世したが… たくさんの誘惑に負けて堕落したリベルテは、田舎に住む婚約者の元へは戻らず、義妹と浮気をして婚約した。
そのリベルテが何を思ってのことか、婚約式に無断で入り込みソレイユに会いに来たのだ。
「ですから、僕は幼馴染にお祝いの言葉を贈ろうと…」
「こんな無礼なことをされてまで、お前の言葉などいらないから、私たちは招待しなかったのだが?」
アンバレは冷淡に言い放つ。
「ソ… ソレイユ… 嬢は僕の元婚約者…」
顔を赤くして、リベルテは必死になり始める。
「あら! 誰かと思えばリベルテ卿でしたか? アンバレ様の大きな背中に隠れてしまって見えませんでしたわ? お久しぶりです… お会いするのは何年振りだったかしら?」
アンバレ様の背中に、隠れてばかりはいられないわ!
1歩、踏み出し… ソレイユはアンバレの隣に立つ。
ソレイユにとってリベルテはどうでも良い存在だと、招待客たちに聞こえるように… 不快さで歪んだ唇を扇を開いて隠し、ソレイユは話に割って入った。
「ソレイユ…」
アンバレは頼りがいのある、長く逞しい腕でソレイユのほっそりとした腰を、すかさず抱き寄せて、頬にキスを落とし… ぬけぬけと言い放つ。
「おや? 愛しい君、リベルテは本当に幼馴染だったのか? てっきり、君の美しさに一目惚れした放蕩者が、君に言い寄る理由を適当にでっち上げたと思っていたのだが?」
「あらあらアンバレ様、お忘れですか? 彼はカルムお兄様の弟ですよ?」
思わずソレイユはニヤニヤと笑ってしまう。
「そう言えば、そうだったかな?」
「ふふっ… 私の母とブルイヤールのおば様がとても仲が良くて、子供の頃は口約束で婚約させられたぐらいですもの…? “私たちの母親が自分たちの友情を、証明するためにした戯れの婚約”でしたけどね」
リベルテのような恥知らずと、婚約していた過去なんて、私の方からすべて消し去ってやるわ!
義母に渡された、リベルテの手紙に書いてあった別れ言葉を、ソレイユは上手に引用し… 自分たちの婚約は、母親たちの遊びだったと切って捨てた。
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