【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、元婚約者を諦められない

きなこもち

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策略

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その日、ルイは久しぶりにセリーナに呼び出された。場所は武道場の倉庫だった。ガランとして誰もいない。

セリーナはこのところ、ルイを避けているようだった。何かと理由をつけてお昼を一緒にとらなくなり、放課後もそそくさと先に帰るようになった。

また、最近セリーナが、専門科の3人とよく一緒にいるのを見かけるようになった。

特に、あの女子に人気のイオとかいう男子生徒に対して、セリーナは甘えたような表情を見せることがあり、ルイはひどく嫉妬していた。

久しぶりにセリーナに呼び出され、ルイは有頂天になっていた。

「ルイ、久しぶり。最近話せなくてごめんね?本当は2人っきりになりたかったの。」

セリーナは、ひどく悲しそうな表情になり、上目遣いでルイを見た。

「セリーナ、うれしいよ。最近君に避けられてる気がしてたから。」

「実は私ね・・・ルイのことが好きなの。でも、ルイは婚約者さんがいるでしょ?メアリさんだっけ?そのメアリさんに悪いと思って、距離を置こうと思ってたの。」

ルイは、焦ったようにセリーナの両腕をつかんで言った。

「セリーナ・・・!!そんなこと気にしてたの?メアリは政略的な婚約なんだ!愛情の欠片もないよ・・・!」

「私、彼女を傷付けたくなかった。。。だから、ルイのこと諦めようと思ったの。でも、諦められなかった・・・ごめんなさい。」

セリーナは涙を流しながら、ルイに抱きついた。

「なんて優しい子なんだ!!セリーナ・・・!誰も僕たちを別れさせることはできないよ。ずっと一緒にいよう。。。」

ルイはそういうと、セリーナを抱きかかえ、倉庫の隅に片付けてある、マットレスの上に押し倒した。

セリーナはおもむろに、自分の制服のシャツに手を伸ばし、一番上のボタンを外そうとした。

ルイがゴクリと唾を飲み込んだ時である。


シャツのボタンが弾け飛ぶ音と共に、セリーナの絶叫が倉庫内にこだました。





その日、イオは午後からの授業の準備で武道場に来ていた。

イオは係となっているので、毎週この時間は、昼休みを使って武道場に来なければならなかった。

武道場に入ってみると、いつものように誰もおらず、シーンとしている。

準備を早く終わらせて、食堂でみんなと合流しようと考えていたその時である。

倉庫の中から、

「キャー!!!!」

という女生徒の叫び声が聞こえた。

驚いたイオは、誰かが事故でもあったのかと思い、勢いよく倉庫の扉を開けた。

目に飛び込んできたのは、服が乱れ、涙でグチャグチャになっているセリーナと、セリーナに覆い被さっているルイだった。

『  ルイがセリーナを襲っている  』

イオの目には、そうとしか映らなかった。

「おい!!お前何してんだよ!!!」

頭に血が登ったイオは、ルイをセリーナから引き剥がし、ルイの顔面を思いっきり殴った。

床に倒れたルイはうずくまり、小さな声で

「セリーナ、どうして・・・」

と呟いていた。

騒ぎを聞きつけた生徒、教師がワラワラと集まり、武道場内は一時騒然となっていた。
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