【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、元婚約者を諦められない

きなこもち

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騒動の後

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 騒ぎの後、教師達は、

「全員教室に戻れー!!!」

 と生徒達を食堂から追い出していた。


「アリオン、私ちょっと、皆のところに行ってくる。」

 クロエはそうアリオンに伝えると、アリオンは笑顔で「行ってらっしゃい」と送り出した。

 クロエに気がついたリナリーが、

「あっクロエ!怖かったよぅ~!!」

 と泣き真似をした。

「どこがだよ。セリーナ相手に啖呵切ってたくせに。」

 とラリーに突っ込まれていた。

 イオがクロエを見て、

「あ・・・クロエ・・・」

 と呟き、気まずそうな顔をした。

 リナリーはすぐさま、

「先生には、イオは体調不良で早退しますって伝えとくから!特進クラスにもクロエは来ませんって伝えとくね。」

 と言い、ラリーを引っ張って食堂を出ていってしまった。

 取り残されたクロエとイオは、おずおずと顔を見合わせた。

「ねぇイオ、リナリーがせっかく気を利かせてくれたんだし、今から『あの場所』に行かない?」

 ◇

 2人の場所で、いつものように並んで座った。

 授業をサボって来るのは初めてだ。クロエは、なんだか不思議な感じがした。

 2人とも、しばらく沈黙していたが、おもむろにイオが話し始めた。

「俺、クロエに謝らなきゃ。クロエ、セリーナと前に色々あったんだろ?それなのに、俺何も知らずに、セリーナばっかり助けようって。。。クロエを見てなかった訳じゃないんだ!ただ、待ってくれるっていう謎の自信みたいなのがあって・・・」

「ああ、私は近寄りがたいし、ガードが固いし、評判が良くないから、どこにも行かないだろうっていう『安心感』??」

 クロエは、アリオンに言われたことをそのまま伝えてみた。

「そう!まさにそんな感じ。っていや、悪い意味じゃないんだけど・・・」

 イオは自分で言っておいて、失礼だと思ったのかすぐに訂正した。

「そうね。ちょっと寂しかった。優しいのはイオのいいところだけど、私が一番じゃないのねって。」

 クロエはイオに本心を言ってみた。

「謝らせたかったわけじゃないの。それに、さっきは嬉しかった。イオに助けてって言ってきたセリーナに、ビシッと言ってくれた。私、性格が悪いかもしれないけど、すごく胸がスッとしたわ。」

 イオは「そっか」と言って笑った。

 そして、イオは真剣な表情をしてクロエの目を見て言った。

「俺、クロエの隣にいてもふさわしいって思われるような男になりたかったんだ。俺はまだ全然ダメだったから。でも、クロエがアリオンと一緒にいるの見たら、待たせてる場合じゃない!って思ってさ。」

「クロエ、俺、絶対立派な男になるから。世界一幸せにします。だから卒業したら、俺と結婚してください!!」

 イオに頭を下げて告白された。

 クロエは、『付き合おう』とか『婚約しよう』とか言われるものだと思っていたので、いきなり結婚してくださいと言われ、しばらく頭が追い付かなかった。
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