破滅エンド後にバグ!?BL乙女ゲームのヒロインポジションが、悪役サブキャラの俺に移ってます!?

きなこもち

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敵は味方

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 まだ授業まで少し時間があるので、少し話そうということになり、校舎裏の階段にレインと並んで座った。
「今までどこにいたんだ?」
「美術学校で、授業に必要な絵のモデルをしてたんだ。」
「絵のモデル?」
「うん。ただじっと授業の間中、動かずにいるだけ。簡単だろ?学校生活は楽しかったよ。初めて寮に入って、相部屋の奴と友達になった。レインのお兄さんにお世話になったんだ。」
「兄に?クラインの奴····俺がイアンを探してると知っていたのにとぼけてたのか。」
 レインの不貞腐れたような顔を見て俺は苦笑した。
「違うよ。俺が知らないふりしてって頼んだんだ。だって、レインはすごく怒ってると思ったから、見つかるのが怖かった。」
「·········そうか。怖がらせて悪かったなイアン。それはそうと、お前の手紙を持ってきたのは私生児のブライトだろ?どういう知り合いなんだ?」
 俺はブライトの名前を聞き顔を綻ばせた。
「ブライト!あぁ、王子だってことは、実は最近知ったんだ。美術学校の生徒で、俺のルームメイトで友達さ。すごくいい奴だよ。絵もすごく上手いんだ。」
 俺が笑顔でブライトのことを話すと、レインは非常に面白くなさそうな顔をした。
「へぇ·····仲良かったんだな。今度俺にも紹介してくれ。」
「うん。でももうあんまり会えないからな。今度一緒に遊びに行ってみよう!」
 俺が誘うと、レインは「あぁ、楽しみだ。」と言って微笑んだ。
『友人を作る』という目標が、初日に叶ってしまった。それも相手はまさかのレイン。敵だと思っていた奴を味方につけることができた俺は、上々の滑り出しじゃないか!と、この時は調子に乗っていた。

 それからの俺の学園生活は概ね順調だった。友人となったレインと一緒に昼食を食べたり、隣の席のアリオンに何かと世話になり、婚約者の女の子に時々睨まれるのも慣れてしまった。周囲のヒソヒソ噂話も段々と落ち着いてきた。
 ソラは、たまに俺に話しかけてはくるが、俺は当たり障りのない態度で接し、心を許さないでおこうと決めていた。腹黒ヒロインソラは、何を考えているか分からない。俺が手に負える相手ではない。
 俺が少しでも隙を見せれば、マリオネットのように手の内で踊らされてしまいそうで怖かった。

 しかし、順調な日々にも波風は立つものだ。
 俺が当番で校舎裏の掃除をしていると、三人組の男子生徒に話しかけられた。
 手伝って欲しいことがあると、人気のない倉庫に呼び出された。すっかり警戒心の薄れた腑抜けになっていた俺は、何の疑いもなくそいつらに付いていってしまった。

 倉庫のドアが閉まると、突然一人の大柄の生徒から胸ぐらを掴まれた。
「おいお前」
「······!?」
「どういうつもりだ?」
「な、なななにがですか?」
 俺は当然のことに狼狽し、冷や汗が止まらなくなった。
「お前、前にソラ君にひどいことしてただろ!?なのに、今は馴れ馴れしくしゃべったり、王子にも取り入ろうとしてるじゃないか!!魂胆は分かってるんだぞ!」
 他の2人も「そうだそうだ!分かってるんだぞ!」と合いの手のように連呼した。
 こいつらはあれだ。きっと、ソラ君ファンクラブのメンバーなんだ。
「ち、違うよ。確かに僕はソラにひどいことをしたけど、今は和解してるんだ!君達が思っているようなことは何も··········」
「黙れ!!お前には騙されないぞ!ちょっと顔がいいからって調子に乗りやがって。痛い目見ないと、分からないようだな。」
 ヤバい。これは、定番のチンピラ(ソラ君ファンクラブメンバー)にボコボコにされるイベントだ。ヒロインならば助けがくるだろう····しかし、俺はイレギュラーキャラなので、このままボコボコもありえる。前は馬車から蹴り出され死にかけたし、十分に可能性はある。

 自力で逃げるしかない!と考えた俺は、胸ぐらを掴んでいた男子生徒の股間を蹴りあげ、倉庫の扉目指して駆け出した。
「待て·····!!」
 足の遅い俺はあえなく捕まり、2人がかりで床に押さえつけられた。
「コイツ·····!!」
 俺を見下ろした男子生徒Aは、俺を上から下までナメクジのような目で眺めた。
「本当に取り柄は外見だけだな。ボコボコにするのも勿体無い顔だから、他の部分で遊んでやるよ。」
 そいつはそう言うと、俺のシャツのボタンを外し始め、ズボンのベルトに手を掛けた。
 (おいおい!チンピラまでBLである必要はないんだぞ!?こんな展開誰得なんだ?普通にボコボコにされた方がマシだ!!)
 男子生徒は興奮したように、自身のズボンを勢いよく下ろし、汚いブツがズルッと飛び出した。
「······!!きったねぇ!!!触んなこの豚野郎!!!」
 俺は堪らず本音が出てしまい、余計に相手を挑発してしまった。
 俺とファンクラブメンバーとで罵り合い、揉み合いながら、泥試合をしていると、倉庫のドアがガラッと勢いよく開いた。
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