上 下
119 / 175
10

119

しおりを挟む
(わ……)

切れ長の目に、長い睫毛、少し潤んだ瞳……そして、滑らかな肌。

さらに言えば、ただならぬフェロモンのようなものまで感じる。

なんというか、今の優真は普段より更に、数倍の色気があるのだ。

そう、これはきっと、優真が俺にだけ見せる顔なのだろう。

(かっ……こいい)

俺はすっかり見とれてしまった。

暫し見つめていると、チュッとおでこにキスをされた。

「ふふ、見とれ過ぎだよ、エンジェル?」

「……!べ、べつにそんなんじゃ……っ」

「ん~?じゃあなにかな?僕の顔に、何かついてる?」

「そ……それは……」

問い詰められ、俺は口ごもる。

答えに詰まっていると、優真はクスッと笑い、サイドテーブルの上からスポーツドリンクのペットボトルを取った。

「さてと。僕はこれを飲みたいな。陽斗、よろしくね♡」

「ま……マジでやんのか?」

「マジです♡」

優真はベッドの上に座り、俺を抱いたままペットボトルの蓋を開けると、俺の体を少し引き離す。

そして、目の前にペットボトルを差し出してきた。

「まずは陽斗のお口に含んで、それから飲ませて?」

「ば……っむ、無理だって!そんなの……」

正直、恥ずかしさもあるけれど、なにより、上手くできるか分からない。

今までの人生で、誰かに口移しで飲ませるなんてしたことが無い。

(うぅ、どうしよう……)

戸惑っていると、優真が小さくため息をついた。

「やれやれ、そんなに緊張してしまうとはね。なら、まずは僕がお手本を示そうか」

「え……?」

まさかの展開にドキリとして見上げると、優真はグイッとペットボトルの中身をあおった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

そのうさぎ、支配者につき

BL / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1,539

最高の人生を(ADOバレンタイン番外編)

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:380

勘違いしちゃってお付き合いはじめることになりました

BL / 完結 24h.ポイント:4,196pt お気に入り:558

愛され奴隷の幸福論

BL / 連載中 24h.ポイント:2,719pt お気に入り:1,952

出会い系で知り合ったのが会社の同僚だった話

BL / 完結 24h.ポイント:773pt お気に入り:812

虐げられた兎は運命の番に略奪溺愛される

BL / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:2,769

娼館で働く托卵の子の弟を義兄は鳥籠に囲いたい

BL / 連載中 24h.ポイント:1,533pt お気に入り:107

間違った恋のはじめかた

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:18

処理中です...