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そして、俺の顎を掴み、少し強引に上向かせると、唇を重ねた。

「……っ」

ひんやり、冷たい水分が注ぎ込まれ、俺は肩をビクッとさせる。

「んぅ……は」

少し口の端から溢れた水分を舐め取られ、胸の奥がキュンキュンと締め付けられる。

「あ……ん」

ドキドキし過ぎて、視界が馴染む。

ようやく解放される頃、俺はすっかり蕩けてしまっていた。

「はぁ……」

「ん、どう?ちゃんと飲めたかい?」

「う、うん……飲んだ」

「そうか…………」

「……優真?」

暫し無言になったので尋ねると、優真は少し照れくさそうに目を逸らしたまま言った。

「ごめん……僕も初めてこんなことしたから、その……かなり、ドキドキしたというか……」

「へ?」

あんなに自信ありげだったのに。

今や、優真の方が緊張しているようだ。

けれど、そんな優真を見ていると、なんだかこっちも気恥ずかしくなってくる。

俺たちは向かい合ったまま、暫くお互い目を合わせられずにいた。



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