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38 チョコレートパフェ

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・・・


「いらっしゃいませー」


店内に入ると、いつものコンビニの雰囲気に早速癒される。

やっぱり、俺にはこういう方が合っている。

あんな高級レストランで豪華なランチなんて、もう暫くは誘われても行きたくない。

俺は再び深いため息をつきつつ、いつものスイーツ・コーナーへ向かう。


(なんかあるかなー……あ)


どれにしようか一通り眺めると、以前、蒼井が買ってくれたチョコレート・パフェが一つだけ残っていた。


(これ……)


ラスト一個のチョコレート・パフェは、なんだか蒼井みたいに見えてくる。

俺を励ます為にこうして残っていてくれたのかも……なんて思うと、ちょっと胸がキュンとしてしまった。


(蒼井……今、何してんのかな)


ぼんやりと蒼井の顔を思い浮かべながら、パフェを手に取る。

そして気付けば、そのままレジへ向かっていた。


「ありがとうございましたー」


会計はあっという間に終わり、チョコレート・パフェとプラスチック製のスプーンが入った袋を片手に下げ、コンビニを出る。

と、その時、スマホのお知らせ音が鳴った。


(……あ、Kからメッセージ?)


そういえば、サロンで暫くKとも会っていなかったので、随分久しぶりな気がする。

俺は早くメッセージを読みたくなり、近くの公園に立ち寄る事にした。


・・・


今日は天気もいいので、公園はとても気持ちが良かった。

俺は早速ベンチに座ると、コンビニの袋を横に置いてスマホの画面を開いた。


(えっと、なになに?)


メッセージを開くと、どうやら悩み相談に乗って欲しいとのこと。

詳しいことは分からないけれど、Kはこの前言っていた ″昔好きだったやつ″ の事で、また悩んでいるらしい。

詳しいことは個室のチャットで話したいとの事で、とりあえず今は返信だけ送って、あとは帰ってからの方が良さそうだ。

俺は急いで ″今まだ外にいるから、また後で連絡する″ とだけ返し、ベンチから立ち上がった。

するとその時、前から人影が近付いてきて、俺は何気なく視線を上げる。


「え……」


「……よう」


突如、目の前に現れた人物を見て、俺はピタリと動きを止めた。

相手も歩を止め、こちらを見つめている。

俺はコンビニの袋をぎゅっと握りしめ、呟くように言った。


「蒼井……」


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