single tear drop

彩矢

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修羅の妄執

修羅の妄執

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「……兄貴、何でそこに……」

『何でって、鷲崎に聞け』

思いもよらない名前が出てきて動揺する和泉さん。

「鷲崎さん、そこにいるんですか?」

動揺しながらも恐る恐る聞き返した。

『さっきまではいたんだぞ。今更恥ずかしがることもないと思うんだが』

くくっと呆れたように苦笑いする声が聞こえてきた。

《和泉さんの知り合いですか?》メモ帳をポケットから取り出しペンを走らせ、彼に見せた。

「吉柳会の梶山だ。和泉の兄貴分の」

柚原さんの声が上から聞こえてきたから驚いた。

『その声は柚原!』男性が大声を張り上げた。
『てめぇか、七海を唆したのは』
「俺の訳ないだろ」

鼻息を荒くし息巻く男性に対し、柚原さんはだから何だ、素っ気なく答えた。

『七海は俺の七海だ』

男性が更に大きい声を張り上げた。
俺の七海………って?ん?どういうことなんだろう。意味が分からなくて首をかしげながら、ちらっと和泉さんを見ると、耳まで真っ赤にし、かなり慌てていた。


「取り敢えずご飯食べてください。冷めてしまいますよ」

橘さんがスマホを柚原さんに渡した。

「例え右でも、組長が左と言えば左。組長の命令には絶対服従。それがヤクザ社会の掟というもの。和泉さんも大変ですね」

「……吉柳会のオヤジは酒癖が悪くて、酔っ払うと必ず無茶苦茶な要求を若い連中に強いるんだ。皆の前で裸になって踊れはまだ可愛い方だ。幹部連中に命じ新入りに性的行為を強制したことも実際あるし……」

そこで吐き気をもよおして口元を押さえる和泉さん。顔色がみるみる青ざめていった。
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