あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢

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直矢さんと遥さん

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「昨日の夜、さっき喋っていた御霊の碑の前で花火をしたり飲酒をして大声で騒いでいた新成人のグループが地元民からの通報を受けて駆け付けた交番のお巡りとトラブルを起こし公務執行妨害で逮捕された。成人になって嬉しいのは分かるが人様に迷惑をかけるなどあってはならない。小学生でも分かることだ」
「斎藤はそのことを言ってたのか」
「もしくはこっちだな」
二人の目に止まった記事は、五十代の父親と三十代の母親に保護責任者遺棄罪と、一緒に暮らしていないのに一緒に暮らしているように装い不当に児童手当や臨時給付金を受け取っていた詐欺の疑いで逮捕されたという記事だった。
「海翔の両親のことだろう。息子の世話を弟夫婦に丸投げしておいて児童手当はちゃっかり懐にしまって。海翔が行方不明になっても探しもしない。見付かっても知らぬ存ぜぬ。迎えに行こうとしないし、電話の一本入れやしない。扶助が必要な海翔に対しなにもしなかった。悪いことはいつかバレる」
「海翔と鉄将は根岸が引き取り、面倒をみている。縣家には友だちの奏音がいるからな。たまには喧嘩もするが三人はいつも一緒で、仲良く遊んでいるみたいだ。目に見える傷は治っても心に受けた傷は一生治らないからな。根岸と伊澤は残りの人生をすべて二人とともに歩むことを決意した。根岸はオヤジを立派に育てあげた。だから、海翔も鉄将も心の傷を癒しながらゆっくり大人になっていけばいい。焦る必要はない。時間は幾らでもある」
弓削さんがスマホを操作し写真を見せてくれた。湯船ではしゃぐ三人の男の子が写っていた。
「縣家の風呂は大きいからな。毎日こうして仲良く一緒に入っているみたいだ。撮影しているのは龍成だ」
「すごく楽しそうですね」
「最近まで死んだ魚のような目をしていたんだぞ。やっと最近、子ども本来の姿を見せてくれるようになったみたいだ。ヤンチャボーイだ」
弓削さんがくくくと笑った。



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