あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢

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青空さんとの出会い

青空さんとの出会い

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「ヤツの言っていることは本当だが、鵜呑みにしないほうがいい。きみと朝宮和彦はなんの繋がりもない。赤の他人だ。今までそうだったように、これからもそれは変わらない。きみは和真とお腹の子と子どもたちの心配だけをしていればいいんだ。一服したら仕事に戻ろうか」
不安な気持ちを一掃するように優しく微笑んでくれた。
領収書の発行や、会計ソフトへの伝票入力や、集計作業を黙々とこなす亜優さんの隣に移動し、邪魔にならないようにそっと見守った。仕事は見て覚えろって蜂谷さんにアドバイスをもらった。
「シキ?」
「あのね、この人の名前、さっきもあったからなんだかおかしいなってそう思ったの。同姓同名のひとがいてもおかしくないよね?」
「四季、どの名前だ?」
「山田太朗さんです」
「借用書をすぐ確認してみるよ」
蜂谷さんは地獄耳だ。隣の応接室や社長室にいても僕たちの声が聞こえるみたいで、気付いたら後ろに立っているんだもの。何度びっくりしたことか。
「ハチは俺が一番大嫌いなデカだった」
「え?そうなんですか?」
意外な事実を知り驚いた。
「鞠家も伊澤も元デカだ。オヤジに惚れ込みヤクザになった。俺もオヤジに惚れている。本音をいうとオヤジよりハチのほうが好きだけどな。あれほど敵視し、大が5個付くくらい嫌いだったのにな。今は好きで好きで困るくらいハチが好きだ。人生何があるか分からない」
コーヒーをゆっくりと飲み干した。
背中が痒くなるから好きを連呼しないでくれ」
駄目か?」
「好きはカミさんにだけ言え」
「ハチは好きだ。尊はもっと好きだ」
「タマに焼きもちを妬かれる」
「言わなきゃ分からないさ」
「タマはただでさえ勘が鋭いんだ。職質のプロだったんだぞ。誤魔化しは利かない」
「そういうハチは?職質はひよっこか?」
「青空、そろそろお口チャックだ」
「口にチャックをしたら死ぬ。尊に会わせない気か?」
「あのな青空……」
いつものように仲良く口喧嘩をはじめた。
亜優さんは慣れているのかさほど気にせず、パソコンで黙々と何かを調べていた。
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