あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢

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発端

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「そんな前から橋本さんは四季を嫌っていたんだ。四季、嫌われるようなこと何かした?」
「特にこれといって心当たりはないと思うんだけど……」
首を傾げると、
「じゃあ、順を追って説明出来る?」
「朝までかかるかも知れないよ」
「いいよ。時間はいっぱいあるし」
ベットに移乗しごろんと横になると、彼が嬉しそうに隣に潜り込んできて。肩まで布団を掛けてくれた。
「キヨちゃんと初めて会ったのは……あれ?」
「どうした四季?」
「八年前よりもっと前に会ってるかも知れない」
「どういうこと?」
「今思い出すから待ってて」
「水泳大会や発表会。それに陸上交歓会とか小学校は別でも、同じ市内に住んでいれば会う機会はあったかもしれないよ」
そのとき、なぜか増水した川の風景が脳裏をふと過った。
「えっとね、うる覚えなんだけど、キヨちゃんが来る一年くらい前、二年前の台風と同じ規模の台風でK小学校の校舎の一階が浸水被害にあって、復旧作業が終わるまでのニヶ月くらい、僕が通学していたM小学校にK小学校の児童が通学していたんだ。モデル並みに背が高くて顔が小さくてめちゃめちゃ可愛い女子が来たってちょっとした騒ぎになったんだ。もしかしてキヨちゃんのことだったかも知れない」
「新潟  福島10・1豪雨災害のことか」
がたがたと物音がして、蜂谷さんが暗闇からぬっと姿を現したから腰を抜かすくらい驚いた。
「邪魔して悪いな。円花の着替えとオムツは?うんちがゆるゆるで風呂に入れてもらったほうが早いと思ってな」
円花の泣き声が聞こえなかったから蜂谷さんに言われるまで全然気付かなかった。
「泣きもせず天井をじっと見ていたんだ。目が合うなり口をへの字に曲げて、目をうるうるして……ギャン泣きされる前にパパとママのところに行くかって声を掛けて抱き上げたら、服が濡れているし、匂いもするし、青空がすぐに風呂に連れていった。四季と和真に声を掛けるタイミングがなかなか掴めなくてな。事後報告になってすまない」
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