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くるみあるく

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第03話 現在共感型ってこんな人

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 前話で「社会をつなぐ役割」を担う現在共感型の特徴を述べました。それでは具体的に現在共感型に当てはまるタイプを取り上げてみましょう。
 ひとくちに現在共感型と言っても、未来創造の要素を含む「病める天才」、過去再現の要素を含む「最強の実行者」、そして特化型と言って現在共感要素がかなりのウェイトを占めるタイプに分かれます。クルミアルクがざっと見たところ、現実社会において「最強の実行者」タイプはかなり、かなり多く、次に特化型と「病める天才」タイプが続きます。

 こういった類型タイプ分けには現実をデフォルメして描かかれるマンガやアニメの人物を出すことがしばしば役に立ちます。少女漫画の金字塔ともいわれる『ガラスの仮面』を例にとり上げると、ヒロインで天才的な演技能力をもつ北島マヤはずばり「病める天才」型、ライバルの姫野亜弓は「最強の実行者」型となります。
 マヤは普段はドジで間抜けという平凡な少女(共感型の特徴そのもの)ですが、演劇においては天才的な能力を発揮してセリフを一字一句記憶する能力にも秀でています。ただ、素晴らしい能力が開花してブレイクすることもありますが、共感型ゆえどこか八方美人的な面があり、感情の不安定さが目立つ。マヤが芸能界でうまく地位を築けないのは彼女が社会的に貧困家庭出身者という点だけなくその不安定要素も大きいです。
 一方で亜弓は着実な演技でさまざまな役を手中に収め地位を手堅いものにします。有名映画監督の父親と名女優の母親の子供として芸能界のサラブレッドとも呼ばれる彼女ですが、目に見えないところで努力を重ねる様子はまさに過去再現型です。しなしながら劇団や舞台で周囲とうまくやっていこうとする姿には共感性も垣間見られます。彼女がマヤの演技力に着目し、共演する舞台に向けて王女役の彼女を「育てよう」と自らの家に招いて自分のかわりに振舞うようお手伝いの人々に紹介するエピソードは共感型の要素あればこそ。タイプが違う様に見えて根っこが同じ「共感性」をもつ者が生涯のライバルという設定が、『ガラスの仮面』を不朽の名作に仕立てています。
 なお、付け加えるならばマヤを陰ながらサポートする大企業社長の速水真澄は再現型、マヤの才能を見出し指導する月影千草もまた再現型です。マヤに思いを寄せる桜小路優は再現型要素強めの、4:1:5のエリート型のようです。

 ところでマンガやアニメの作品を演じる際には、作中のタイプはそこまで受け継がれることはないようです。どちらかというと原作を忠実に「再現」しなくてはならないという要請から過去再現要素の高い俳優さんが当たるケースが多く見受けられます。
 『ガラスの仮面』テレビドラマ版でマヤを演じた安達祐実さんはマヤと同じ「病める天才」型ですが、ほかはみな再現要素の強い俳優さんが周りを固めました。舞台版『ガラスの仮面』に至っては、マヤを演じた大竹しのぶさんは典型的な過去再現型です。
 ちなみに大竹さんの最初のパートナーである明石家さんまさんが「病める天才」タイプに非常に近い、みげか=4:4:2になります。さんまさんは落語家に入門なさっていますが、結局お笑いの世界に活躍の場を移して創造性と共感性で突っ走り、エンターテイナーとして高い人気を誇ってます。再現型の要素が少なめであることのあらわれでもあるでしょう。過去再現型な大竹さんにとって、突っ走ってしまう不安定要素をもつさんまさんは、どこか危なっかしく思えてしまったのかもしれません。
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