時給六千円の仕事

Tsubaki hime

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第1章 はじまり

7.事件

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新人の女の子は辞めた。

彼女はもともと心が弱い人間だったため、病んでしまったのだ。

私はそれでいいと思った。
彼女も私と同様、勇気を振り絞ってこの業界に入り、エスカレートしていく要求に応え、今日までがんばってきたが辛かった。
辞める理由には十分だった。

そして私にも彼女の行動は影響した。
やっぱりおかしいよね。
話が違うよね。
お店側に上手く使われてるみたいで嫌だよね。

私は一日6時間出勤していたのを最低勤務時間の3時間出勤にしだしていた。

そして入店してから6ヶ月、お店を辞めます。とスタッフに伝えた。

退店する1ヶ月後まで、慣れ親しんだお客様への名残惜しさと、店への疑念を持ち合わせながら仕事をする。

そして事件が起こるのだ。

私が辞めることをある顧客様に伝えた。
すると次の週ご来店されたとき、
一通の手紙を渡してきた。

接客が終わり、お客様からのもらい物はスタッフがチェックし、女の子の手に渡るルールのため、手紙をスタッフに渡す。


すると中身を確認したスタッフから呼び出され、またも無常な言葉を投げかけられるのだ。

「なんで辞めることお客さんに言ってるの?言っちゃダメって言ったじゃん。」


…言われていない。


スタッフいわく、私がいなくなっても他の女の子を当てて店に継続してきてもらうために辞めることをお客様には伝えては行けないのだという。


…知らない。


そして挙句には

「罰として君にはデリヘルで働いてもらうよ」


血の気が引いた。

私は半泣きになりながらその場で土下座をした。

「それだけは辞めさせてください」

ここは食い下がるわけにはいかない。
不条理にも程がある。
この店は、やばい。

条件として、あと3ヶ月在籍して働いてくれたら許すよ。と言われ
一応ははい、と返事をする。


しかし次に私がそのお店に出勤することはなかった。

いわゆる、"飛んだ"のである。


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