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第1章 全ての始まりの記録
abyss:08 母からの入学祝い
しおりを挟むローグの友人がやっているお店の前に到着した。
お店はとてもではないが学生が入るには躊躇うような敷居の高い入り口をしたレストランだった。
案内された端っこの席は店内が見渡せた。両隣どころか周りの席は予約済みの札が置いてありこの周り全部が貸切にされているようだった。
さすが、謎の権力だ。
「ハルキと会うのって大学入学してから初めてじゃない。入学祝いだから、さささっ遠慮しないで注文しなさい!
お酒は母さんだけよ」とメニューを渡される。
ティナは事前に入学祝いと聞いていたので遠慮が逆に失礼になるとわかっているため、メニューを真剣に選んでいた。
各自が食べたい物を選んで母さんが追加でシェアしたい料理を注文した。
ワインを注文した母さんは店員から年齢確認を求められたのが嬉しかったようで超上機嫌になった。
ドリンクと母さんが頼んだワインが運ばれてきて「入学おめでとうー」の乾杯をする。
なんて平和で充実した時間だろうか。ティナと母さんとゆっくりした時間で美味しいご飯を食べて過ごす時間…………数日前にティナがナイフで刺されました。になっていたら今この瞬間はない。
彼女を助けたことで今があることに幸せを感じた。
料理が来るまでの間に俺の自慢の母さんのの紹介をしておこう。
|拝 夜春<<おがみ よるは>>
母さんの名前の由来は、桜が満開の夜に産まれたから夜春と名付けられた。他にも候補はいくつかあったが、どれも捻りがないから没になり夜春になったと言っていた。
年齢は36歳。17歳で俺を身ごもって父と駆け落ち。俺の記憶になぜか父親のことが一切ないんだけど5歳まで父と3人で暮らしていたらしい。
俺に父の記憶がないのは入院するほど頭をぶつけたことがあり、その時の後遺症で記憶喪失になった。
と医者に言われた、と母からは聞かされている。
5歳の時俺の父さんが失踪し、そこから女手一つで愛情深く育ててくれた。今日は地雷メイクで大学生と同じくらいの幼い童顔に見えているが、普段はキリっとしたメイクで大人の色気がめちゃくちゃ漂う女性だ。国宝級といえるほど整った顔をしているがすっぴんでも二十歳半ばくらいの美貌、肌も綺麗。
こんな人がいるんだって息子ながら思うことはある。
俺に戦闘技術を叩き込んだ人だけあって身体はしまっていて無駄がない。なのにおっぱいはちゃんとあるんだからどういう身体の構造しているんだろう。
さっきから俺、母さんのおっぱいの話ばかりしていないか?
冷静に考えて着眼点がキモいぞ。ティナには口が滑っても言えない。
俺…………おっぱい好きなのかも。自分の中の新しい発見だ。
ローグにむっつりって言われたけど当たっているな。
◆◆◆
「お待たせしました」
料理が運ばれてきたので母の紹介はここまでだ。
俺はお店の料理が予想以上に美味しかったことに感動して食べることに集中した。
ティナと母さんは食べながら女子トークで盛り上がっている。
母さんはティナの話を引き出して聞く側に回っていた。
料理も食べ終わってお腹が落ち着いた頃合いに母がふらふら~とトイレに行った。
隣に座るティナが
「ちょっとハルキのお母さん、まぢやばくない?! かっこよすぎるんだが!」
「だろ、俺の自慢の母だからな。ありがとう嬉しいよ」
「あんな良いお母さんだったらハルキって反抗期無かったんじゃないの?」
「反抗期は…………半年だけどあったよ。反抗期と呼べるかわからないけど、俺と母さんの親子の絆がすごく深まったなぁ。これが家族を愛しているということなんだなぁって知った」
「家族愛か…………愛の深さを知っている人は強いよね」
ティナは少し遠くを見つめながら反抗期に何か含みのある言い方をした。
反抗期を色々思い出そうとしたら俺の背後にゾクッとした気配を感じ振り返る。入口カウンターでトイレ終わりの母さんが会計を済ましているところだった。ポケットからスマホを取り出しさっと会計を終わらせてスマホをしまいこんだ。
現金はほとんど使えない場所が多くキャッシュレスが当たり前になったこの街で支払いをしようとするならクレジットカードかスマホは必須だった。
会計が終わった母さんはるんるんの笑顔で俺たちのところに歩いてくる。
「そろそろ出ましょうか」と俺とティナの会話をぶった斬って席を立たせる。
なんとなく急かされている気がした。
店員の挨拶に見送られながら母さんの後ろについて3人はお店から出る。
母さんの微かな雰囲気の変化が気になったので前を歩く母さんに聞いてみた。
「母さん、さっき…………」
と言いかけたところで
「ハルキー!酔っちゃった、抱っこしてー!」
とくるりと振り返り俺に飛びついてきた。首にがっしり手を回して両足を腰に回してがっつりくっついている。
「だいしゅき~ほーるどぉ~」
それ意味が違うし公衆の面前で使う言葉じゃない!
「はずい!やめい!」しがみつく母さんを引き離そうとするががっつり両手足が組まれていて引き離せそうにない。
いまだに母さんに腕相撲で勝てないくらい腕力とんでもないんだよ。
こうなると母さんから放してもらわない限りどうしようもない。
「久しぶりの親子再会なんだからもう少しだけこのままでいさせて~」
(寂しかったんだろうな)と俺は早々に諦めて抱きつく母さんの頭をポンポンと撫でた。
「めっちゃ仲良すぎひん!?」
と驚いているティナに笑顔で
「大切な家族だからね」と俺は微笑んだ。
「ふぅーん」
と言ったあと何かに納得したのかティナも笑顔になっていた。
ティナはこの状況にもう慣れてしまい、スマホを出して俺たちを背景に入れて自撮りしていた。
「ほらみてみて、お母さま可愛すぎ!」
抱きついている母さんの顔は見えないが笑顔のティナと死んだ目をしている俺にくっついている母さんの絵面はいい一枚になっていた。
しばらくこのまま歩いていたら前を歩く視界に変なチンピラ5人が道を遮るよう立ちはだかった。
「ふええ、おっとっっと。君たちちょっといいかなー」
とチンピラが横並びで道を阻んでくる。
「君たちのスマホの画面とおじさんたちのスマホ見せ合いっこしたいんだよねー」
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