カーネイジ・レコード

あばらい蘭世

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第1章 全ての始まりの記録

abyss:20 ティナ襲撃される③

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同日同時刻。ティナたちが襲われている一本手前の道路の物陰にて。

ティナを監視・護衛のため尾行していたローグの男性2名、女性1名の部下3人は隠れて様子をうかがっていた。
正体不明の敵からの急襲、戦闘、決着。
完全に助けに入るタイミングを逃していた。

一度は累たちが負けたことで「助けるなら今だ!」というタイミングが来た。しかしティナがあっさりとバーテンダーを片付けてしまい戦闘が終わってしまう。
ピンチの時に出ていけば少しは格好がついただろう、すべてが終わった後でどの面を下げて出ていけるのか困惑する3人。
 いずれにせよティナが倒したバーテンダーは重要参考人として組織で回収する必要があるため出ていかなければならない。
ティナたちとバーテンダーの戦闘の一部始終は上空にある小型ドローンで別で待機しているスタッフが確認している。
男1「あのの体術、目で追えたか?何者だ…………」
男2「俺たち必要なかったな・・・どのツラで出ていこう…………」
男1「笑いながら出ていけばいいと思うよ」
女「シー!ちょっと黙ってて今連絡入れているから!」
3人はそれぞれ目の前で起きた事に対してそれぞれのやるべきことをしていた。

興奮して気が散っていた。油断していた隙をにつけ込まれてしまった。
「おたくら、邪魔」
突然背後から声をかけられ振り向く間もなく男1が後ろから頸椎けいついにナイフを突き立てられて背中から腰に向かって背骨をまっすぐ縦に裂かれ、絶命。

男2は振り向いた瞬間、顎下から脳天にナイフを突き上げられ、ナイフで顔面を縦に引き裂かれて、絶命。

女性は目の前で男2の顔面からナイフが生えて左右に裂かれるのをスローモーションでみていた。顔と服に飛び散った仲間の血を受け、闘うより逃げるを選択。
すぐ全力で走り出したが背後から飛び掛かられ、あごを手で抑えられる。
(走れない、動けない…………!)
「いい声で鳴け」
耳元で囁かれ腹にスーッと当てたナイフが十字に掻っ捌かっさばく。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ」
自分のこぼれ出た臓物を見つめながら声にならない声で、絶命した。
フード男は3人の耳から通信機をむしり取ると地面に落とし足で踏み潰す。
血の海を作っている3人の死体をボーっと見下ろし、死者を冒とくする行為をした。
近くにいた二つの死体、男性と男性の血にぬれた手を持ち上げると一つに重ねさせた。
男同士だが恋人が最後に手をつないでいるかのような光景だった。
「うひゃっ、キモ!」
彼は夜空を見上げ、ドローンに向かってニカっと笑った。


ティナたちのすぐ近くでいま殺人事件が起きたわけだが、ティナたちはまったく気が付いていない。
ティナは預かってもらっていた鞄を受け取り、スマホを探していた。
累たち5人は警戒しながらもバーテンダーが動かないのを確認し、
「こいつをどうする」
か相談していた。
危険だから動けないように縛ってしまうか、という結論になり何か縛るものを探している。
日向が村山のバンダナに目をつけ、それを使おう。とアイディアを出したところからベルト使えるじゃんとなりみんながズボンのベルトをカチャカチャし始めた。
「ちょっ…………! もう!」
とティナは目を逸らした直後、ティナはビクン!と体を仰け反らした。
「ッ…………!」
と声にならない小さい悲鳴を上げる。

累たちはティナに何が起きたのか理解できなかった。
「どーも。身内がお世話になりました」
とティナの背後から手にスタンガンを持ったフードを被った冷たい笑顔の男がスゥーと現れた。
顔は下品に笑い、頬と服に真新しい血痕が付いてることからフード青年のほうがヤバい奴なのは瞬間的に全員が理解した。
「ちょっとぉ! 痛いわねぇ!!!!」
とティナが振り向きざまに後ろ回し撃りをお見舞いする。
意表を突かれたフード男はかろうじて蹴りを避けたが手に持っていたスタンガンは蹴り払われてしまった。
「へぇ~スタンガンくらって動けるってどんな身体してんの!! うひゃひゃ! ありえなくない!? 鮫島さめじまが負けたの納得ぅ!」
と大笑いしていた。
名乗らなかったバーテンダーの名前は鮫島さめじまということが今判明した。が、今更どうでもいい情報だ。
「キミ調子に乗りすぎ」
とティナの左腕を捻り背後に回り込まれ首を右腕で絞め羽交い締めにされる。背後から左手と首をガッチリめられてしまいティナは右腕以外は動かせなくなった。
ティナは腰をわずかに捻り威力を増した右肘を真後ろにいるフード男の脇腹に何発か叩き込む。

ボグボグボグ!ボグッ!

細身のくせに分厚いタイヤを叩いているような手応えだ。
(コイツどんな身体してるのよ!?)
ティナはボディにダメージが与えられないと即座に判断、右腕を上に回して自分の顔の右側で囁いているフード男の目に向けて親指を突き出した。
ビチッ
フード男は親指が目に刺さる寸前に避けて目への直撃は避けたが頬をかすめた爪が肌を切たった。
「うっわ、あぶね! 目は反則─── じゃないね!」
フード男はティナの首に回していた腕に力を込め一気に締め上げる。
「くっ・・・! かっぁ・・・・・───」
ティナは足をバタバタさせ右手で男の腕を引きはがそうと叩いたり引っ掻いたり必死に抵抗した。が、すぐに酸欠になり意識を失った。
「やっと素直になってくれた。じゃ、君たちのおねーさん借りていくね!」
「ねーさんをさらってどうする気だ!!!!!」

累の問いかけに男は拍子抜ひょうしぬけな表情になる。
「───そんなの、想像できるだろボケが」
陰湿な笑みを浮かべる。
フード男はティナを羽交い締めにしたままその場からシュバっと姿を消した。
累の目の前で二人が忽然と消え、何も出来ないまま簡単に姉を拉致されてしまった事が現実だと理解し焦りが襲ってくる。
他の四人も目をギョロギョロと動揺しながら周囲を探すがティナの姿は見えない。
「ねぇええええさーーーーーーーーーん!!!!!」
累の叫びが虚しく響いた。

ブォオオオオオオン!!!!キキキィイーーー!!!

黒塗りのセダンタイプの車が5台、道路左右から累たちを挟みこんで急停車する。
黒スーツにガスマスクをつけたローグの部下たちが即座に下りてくる。
「なんだお前ら、あいつらの仲間か!」
志尊の問いかけに黒スーツたちは問答無用で睡眠ガスを何個か地面に放り投げた。
たちまち道路にガスが蔓延する。
応戦しようとしていた累たちは得体のしれない煙が噴き出した時点でこの場からの離脱に切り替え駆け出した。
が、ガスマスクをしたスタッフたちに行手ゆくてを阻まれ睡眠ガスを吸い眠りに落ちる。
倒れた累たちとバーテンダーに駆け寄るスタッフたち。

「急げ! 全員車に乗せたら速やかに離脱だ!!!」

1分も掛からずその場所からすべての痕跡が消えた。

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