カーネイジ・レコード

あばらい蘭世

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第1章 全ての始まりの記録

abyss:28 カーチェイス②

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カレンの乗り込んだトラックが急加速して猛追してくる。


ハルキは前方を走る車を追い抜きながらトラックを引き離そうとする。
トラックの進行を妨げられればいいだろうと思っていた。
が、カレンは非情だった。

ガッゴン! ガッシャー! グシャア!

大型トラックは前を走る車を一切避けようとせず真っ直ぐ突っ込んできた。
ハルキのバイクが左右どちらかに避ければカレンもピッタリ合わせて左右に車体を振ってくる。
背後にカレンの大型トラックという壁ができたためえてバイクのスピードを落として大型トラックの後ろに逃げられないようにした。
ハルキは拳銃をバックミラー越しにカレンに向ける。ヘルメットにカレンに銃を命中させる補正映像が表示された。銃口を指示通り照準を合わせ撃つ。

パン!パンパン!

弾はフロントガラスを貫通しカレンを正確にとらえていた。
が、カレンは身体を伏せて避ける。
ハルキより前に出ていたジープが急ブレーキを踏んだ。
ハルキをジープと大型トラックで挟んで潰すつもりだ。
回避が間に合わない、絶体絶命だ。

ガキン

バイクがハルキの運転を無視する動きをした。

グォン!!!

物理的にありえない事が起きた。
バイクが真上にジャンプした。
身体が浮遊する感覚と迫り来るジープより上にバイクが跳ね上がる景色が見える。

ドガシャン! ギャリリリリリ!!!!

バイクはジープの上に着地、そのまま前方に走り抜けジープを追い越した。
何が起きたのかどうしてそんなことが可能なのかハルキ、キジマたちは驚いている。
ハルキも何をどうしてこんな芸当ができたのかわからなかったが、バイクの中身が別物と言っていた意味を思い出し納得した。
「ミサイルとか機関銃が搭載されていたりしないよな」
ジープとトラックにまた挟み撃ちされのはごめんなので新世界都市まで振り切ることにした。
どうせキジマたちの目的地も同じだろう。
ここでバイクに不利なカーチェイスをするなら新世界都市まで行ってしまえばいい。どこかでバイクを止めて、キジマたちをボコってティナのところに案内させよう。
ハルキはアクセルをさらに回し加速した。

さっきより加速が早く、速度が出る。
ヘルメットに進行方向上にある一般車の位置が予測ナビゲートされるので衝突することなくすり抜けられる。
背後の映像を確認すると、ジープと大型トラックは速度を上げて追いついてきている。
大型トラックは邪魔だ。
ルート確認をするとこの先に長めの急カーブがあり、カーブを過ぎればほぼ直線だ。
バイクは車体が少し変形し地面に沈む形で低くなった。
原理がわからないが減速せずカーブをグイイイイイン!と曲がっていく。
カーブを曲がりながらキジマたちを確認。
ジープはついてきている。キジマは涼しげな顔で運転している。

ガチャンギャリギャリギャリイイイイイイイイイイ

カーブで引き離せるだろうと思っていたカレンの大型トラックは最初から左壁面ギリギリを走り、車体を壁面にわざとこすりつけ火花を撒き散らしながら力業で曲がり切ってきた。
ハンドルを両手で握りながら大胆不敵な笑みを浮かべている。
あまり引き離すことはできなかった。

ここからはしばらく直線が続く。
ハルキの手元に一個だけ手榴弾がある。ジープの車内に放り込んでやろうとわざと距離を縮めさせる。
確実に避けられない距離まで縮めさせてから手榴弾のピンを抜き、数秒置いてから後ろのジープに放り投げた。
向こうもただ距離を縮めに来たのはなく、フロントに仮面が剣を身構えて立ちはだかった。
手榴弾を取り出した俺の仕草を見てキジマはアクセルを踏み込んだ。
退くではなく前進して攻めてくる姿勢。
仮面男が剣の腹で手榴弾を真上に打ち上げる。
上空で爆発する手榴弾。
ジープはバイクに体当たりするため車体を寄せてきた。
同じ方向にバイクを逃すがフロントに立っている仮面が剣を振りかぶってくる。
ハルキは身体をかがませ横薙よこなぎの一閃を躱す。
銃を仮面男に撃つ。剣を最小の動きで弾かれた。
ならば運転しているキジマなら避けられまい、とキジマに撃つが仮面男が伸ばした剣で弾が受け止められてしまった。

ハルキは前を走り有利な状況にいるのに自分から不利になる必要はないと新世界都市まで闘わず逃げ切る選択を選んだ。
ちょうどこの先は新世界都市に繋がる分岐で4車線に切り替わる。

> + 制限解除 + <

ヘルメット内にこの文字が表示された。
バイクが先ほどの比じゃないほど加速していく。
ジープと大型トラックがあっという間に小さくなるほど引き離した。
モニターに「SOUND ONLY」の文字が浮かび上がる。
これは電話か。
目線でONの文字を選ぶと耳の部分から知った声がした。
「まだ生きてるようじゃの」
ローグだ。
「ローグ! ティナが拉致らちられた!」
「いま探しておるが、忽然と姿が消えてしもうたんじゃ」
「消えた?! 俺と同じように護衛はいなかったのか!?」
「護衛は精鋭を3人つけておったよ。あっさりみんな殺されたんじゃ・・・」
「───!」
ティナのことでローグを責めようと思っていたが何も言えなくなった。
「犯人はフードを被った男じゃ。ティナが倒した敵を1人確保したが護送中の車内で目、口、鼻、耳から流血して絶命したわい」
「あれはマジだったのか」
「なんのことじゃ?」
「俺を襲ってきた敵が教えてくれたんだが脳の中に埋め込まれたカプセルが脳を溶かすって言ってた。そいつは口封じされたのかもしれない」
「脳にカプセルが埋め込む、そして身体強化か、ふーむ。敵の科学技術テクノロジーは相当高度じゃな」
科学技術テクノロジーといえばこのバイクも含めてローグも色々かなりおかしいよ」
「わしの科学技術テクノロジーか? この程度ちょっと先の未来にいるだけじゃぞ」
「これだけの事が出来るのに父さん見つけられないって今まで何やってきたのさ!?」
ローグがそれを聞いて呻く。
「グゥ! 母親と同じツッコミしてきたわい、さすが親子じゃ!
敵はわしと同じいや、それ以上の科学技術テクノロジーを持っているかもしれんのぅ。13年前の大爆発の原理といいいまだに原因不明じゃ。
敵はよっぽどの天才にせんと説明がつかんのじゃ」
「ローグがわからないんだったら、俺はもっとわからないよ」
「とはいえ敵も完璧ではない。ついに隙を見せたのじゃ。いま襲撃してきたジープの車体から敵の出現した場所を突き止めたのじゃ!」

理事長の長い説明を要約すると、キジマたちは世界都市を監視しているモニターに自分たちの姿、車体が映らないように映像を加工していた。
今回襲撃してきたことではっきりジープがわかった。
過去に映像を辿って解析したら無人の工場地区にある企業の倉庫付近を走っている姿を捉えることが出来た。
「おおよその座標の特定ができたから現地に着いたら相手をやっつけて入口がどこか吐かせるのじゃ!」
「簡単に言うなよ!」
「やるしかないんじゃ。あまり時間はないんじゃろ?」
「ムカつくな、あんた。ティナを無事に助けたら一発ぶん殴らせろ」
「好きにせい! ティナがさらわれてしまったのはわしの力不足じゃ」
「敵地まで簡単に行けるのはローグのお陰だから感謝しているよ」
「素直ないい子じゃ、グスッ」
「泣いているの!?」
「泣いてなんかおらんぞ!わしは自分ができることをするだけじゃ!」

ブツッ

通話が切れた。

ヘルメットに表示されたジープが出現した場所を目指した。
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