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第1章 全ての始まりの記録
abyss:27 カーチェイス①
しおりを挟むハルキの元からカレンと仮面男を連れ一般道を猛スピードを疾走するジープ。
ハンドルを握りアクセルを踏み込んでいるキジマは冷や汗が止まらなかった。
「とんだバケモノだぜ………… 幸せそうな家庭で普通に育ったヤツに何をしたらあんな風になるんだ」
頬を伝う汗をぬぐいながらバックミラーをチラリと見て後部座席でいまだに気を失っている二人をなんとか救出できたことに少しだけ安堵していた。
これからどうするか、俺らが失敗した情報は脳内端末を通してすでにレグルスに知られている。
しかし特に新しい指示やペナルティが自分たちに送られてはいない。
(まだ挽回のチャンスが残されているってことか?)
キジマは体勢を立て直すため新世界都市の本部に戻ろうとしていた。
自分たちより戦力は劣るが他の戦闘員を引き連れて数の暴力で臨むしかない。
先に戦闘員たちに襲撃させハルキの体力を減らした後、俺たちが襲いかかる戦術だ。
(ダセェな、ガキ1人に大勢で弱いものイジメじゃねぇか)
高速道路に乗りスピードを加速する。
ハルキから逃げ切った安全圏にいるが、もしかして後ろから追いかけてこないかという不安で気になってバックミラーをチラチラと見てしまう。
「はぅうん…………」
「ぐうう…………」
カレンと仮面が意識を取り戻した。
「よぉ、やっとお目覚めか」
二人は車の中にいる状況を理解すると
「キジマ! あいつを確保した!?」
仮面男が身を乗り出して質問する。
「無理だった。おまえらを担いで逃げるのがやっとだ」
「足を引っ張ってすまない、次の作戦は考えているのか?」
「ボスからペナルティがないからこれから本部に戻って増員して出直す!」
「わかった。運転頼む、もう少し休ませて」
仮面男は腕組みをして目を瞑る。
「あたし、スパッツ穿きてぇから本部で賛成。キジマ、運転よろ、少し休ませてもらう」
カレンは座席に深く腰掛け頭を持たれかけた。
キジマが唐突に質問した。
「カレン・・・一つ聞いていいか?」
「あ? なんだよ?」
「足技メインの戦闘スタイルでなぜ女子高の制服を選んだんだ?」
「それな、あたしがまだ普通の人間だった頃、女子高生の格好で足で踏みつけられると喜ぶ男どもが多かった名残な、ウケるぅーー!」
「癖」
仮面男は片目を開けてボソッと言った。
2人が寝息を立て始め数分も経たないうちにカッと目を見開いた。
「キジマ!」
「あいつか!」
「スパッツは諦めろ!」
カレンと仮面男は後方を振り向き、キジマはバックミラーで確認する。
ピリピリとする殺気の圧が暗闇の中に感じられる。
背後から車の間をすり抜けながら猛スピードで追いかけてくる赤いバイクがいた。
「キジマー! とばせーーーー!!!!」
カレンは恐怖からなのか叫んでいた。
キジマはアクセルを踏み込み加速した!
「クソがっ! なんで逃げる側になってんだアアッ!!!」
カレンは悪態をついた。
「落ち着けカレン。3人掛かりでこんだけ疲弊しているんだ、やり合ったところで勝算ないだろ」
「ねぇよ!わかってんだよ!いちいち言うんじゃねーよ!!!」
「とにかく逃げ切るぞ!」
キジマはハンドルを巧みに操作して前を走る車を次々と追い抜いていく。
が、バイクの方が有利でありハルキの高性能バイクはジープに追いつき真横に並んだ。
ヘルメットで顔はわからないが
「間違いない、服が同じ」
と仮面男が確認する。
ヘルメットを被ったハルキの表情はわからないが、車内にいる3人を確認すると左手に銃を持ちジープに数発発砲した。
窓ガラスは強化ガラスだったため小さなヒビが入るだけだった。
「躊躇わなくなった」
「なんであいつ撃ってくるようになったんだ!?」
「すまん、俺がお前らを助けるときにハルキを銃で撃った」
「あー… やっちまったかぁ!!!」
バイクは横に距離を取るとタイヤを撃つが、パンクすることなくジープは走る。
強化ガラス、パンクしない特殊タイヤを確認したハルキはアクセルを回し前に出るとフロントガラスを撃っちまくった。
強化ガラスだから貫通はしないがフロントガラスにヒビが入ることで視界不良、運転に支障を与えることが目的だ。
「カレン! フロントガラスを蹴破れ!!!」
狭い車内にも関わらずカレンは両足をスルリと後部座席から前にすり抜けフロントガラスを外側に蹴り飛ばす。
ジープから飛び出しアスファルトを傷つけながらフロントガラスが消えていく。
フロントガラスがなくなったことで前が見やすくなったがハルキの次の行動を見て慌ててハンドルを左に切った。
ハルキはフロントガラスが無くなった車内に手榴弾を投げ込んできた。
ハンドルを切り手榴弾が車内に入らずに済んだ。
直後にジープの後ろで爆発が起きる。
「おいおいおいおい!!! かんっぜんにキレてるじゃねーか!!!!」
いつまでもハルキが前にいてはまた手榴弾を投げ込んでくるだろう。
回避するにはハルキより前を走り続けなければならない!
アクセルを一気に踏み込む!
グォオオオオオオオオオッン!!!
ハルキがキジマの立場だったなら加速して突っ込んでくることは予測しており車線を変えて避ける。
2台は加速しながらどちらが前方に出るか併走していた。
ちょうど前方を大型トラックが走っていた。
左車幅が狭い方をバイク、右車線からジープが追い抜く。
バイクはトラックを抜き、トラックを追い抜くジープをの屋根にカレンが立っていた。ジープはトラックの前に車線変更しカレンはトラックに向かってバク転で後ろに飛んだ。
(何をする気だ)
ハルキのヘルメット内の別モニターにカレンの姿が表示される。
後ろに飛んだカレンは大型トラックのフロント部分に垂直に着地。
重力を無視するような動きで身体を運転席のドアに運び、運転手を外に投げ捨てるとカレンが運転席に滑り込んだ。
プァアアアアアアアアンンンン!!!!
大型トラックのクラクションを派手に鳴らしながらハルキを猛追してきた。
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