7 / 49
魔王様の来訪
しおりを挟む
ダンジョンよ、俺は帰ってきた。
「ごじゅじんざまー!」
戻ってきていきなりハピが泣きじゃくりながら顔面にひっついてきた。確かに面倒事が起こったからしばらく帰れないかもしれないって言ったけど、心配しすぎなんじゃないか?
てか、きっちりと2つ目の端末を背中にくくりつけている。今更だけど何となくメールは読めたんだな。
「バビばごじゅじんざまをずっどじんばいじてで、いずがえっでぐるのがどぞゔぞゔじだだげでゔぅゔうゔゔゔ!」
何を言ってるか翻訳しておこう。
『ハピはご主人様をずっと心配してて、いつ帰ってくるのかと想像しただげでうぅううううう!』
何で翻訳出来るかは…………1人で何を言ってるんだ。
「はいはい、帰ってきたよ。次からは連れて行くから泣き止んで泣き止んで」
「ぼんどゔでずか?」
ハピの泣き顔が俺の前でアップで映される。こんなに泣いてちゃ連れて行かないとね?
ってそうだ!多分すぐに魔王様が来るんだった!大した物もないし、それ以前に客間が無いぞ!今から間に合うか?
端末を開いて…………
「ご主人様?」
まだ涙のあとは残ってるハピが疑問符を浮かべて問いかけてくる。ああ、説明しなきゃいけないな。
「今から超超VIPなお客様が来るからちょっと準備しなきゃいけないんだ。ハピ、お前は周りをチョロチョロ飛んでるだけでいいから」
「何か嫌な言い方ですね!でも、ハピひちゃんとご主人様の命令に従います!」
よし、ハピは無駄な事をしなくていいだろう。正直な事を言うと、まだハピの性格がよく分かってないんだ。他人と接したら人が変わる奴とかいるからな。
「シュコー…………シュコー…………」
あ、アルの扱いは…………立ってるだけでいいや。
「シュコー…………シュコー…………」
で、客間を作らないとな。ここは奮発して600ポイントを全部使って高いのを購入し
「スライムしか出なくてつまらなかったぞ!ま、宝箱からはまあまあなマントが出たから良しとする」
「来るのが早過ぎるわ!」
「なぜ妾が怒られなければならんのだ!」
~●~●~●~●~
「粗茶です」
ただいま、ボス部屋に椅子とテーブルを置いただけの簡易型の場が作られた。机の上には俺が淹れたミルクティーがある。
魔王様はドキドキしてる俺をよそに、ミルクティーをゴクゴクと飲んでいる。緊張感のない魔王様だ。いや、緊張する時がないんだろうな。
「ふむ、甘いな。だが、この紅茶は多くの魔族が好みそうだな。売ってみるか?」
「材料が高いので量産はちょっと難しそうですね」
なんせ、砂糖と牛乳を使っているのだ。この2つの材料は異世界だと貴重な品になってる事が多いからな。
端末だといくらでも出せるが、そんな事したらバランスが崩れるからしない方がいいんだろう。
「まさか、任された事とはダンジョンの主か。これはこれでヌシへの興味がさらに湧くのぅ?誰からダンジョンを任されたのだ?」
んー、そんな事を聞かれても誰に任されたのか知らないな。多分、何かしらの候補の中でランダムで選ばれるんだと思う。
「多分、何かしらの候補の中でランダムに選ばれるんだと思います。実際、任せた人の顔なんて見た事無いですから」
「それは怪しすぎんかのぅ?そもそも、ヌシも怪しい仕事に巻き込まれたって自覚はあるのか?」
「そらゃあ自覚はありますよ。でも…………」
「でも?」
言いたくても言えないのが辛い。母親に就職活動をあらゆる手段を使って妨害されて、働きたくてもずっとニートな生活を送ってたなんて言えない!
そんな中、突然こんな所に飛ばされてダンジョンマスターやれって言われたら俺はやる。やる気満々でやってやるぞ!
「さっきから黙り込んでどうした?腹が痛いのか?」
「いや、何でも無いです。聞かないでください」
「ご主人様はお腹が痛いんですか!?」
「ハピ、ちょっと今はほっといて」
この会話をしてる最中にそこら辺を暇そうに飛んでいたハピが乱入してきた。アルは言われたままずっと部屋の隅で立っているだけだった。
「ハイピクシーか、妾も見るのは久しぶりだな。ま、あの時は通りすがりのハイピクシーだったからじっくりとは見れんかったがのぅ」
「どうでしょうか?ハピの美しさはそこら辺の者に比べては美しいでしょう!」
「おーおー、確かに普通のピクシーに比べたら綺麗だのぅ」
「ありがとうございます!」
この2人(?)は気が合うんじゃないかと思った。地味にさっきから俺そっちのけでハイピクシーの生態とかを話し込んでるし。
あ、魔王様のミルクティーが空っぽになったな。補給しておかなきゃ。
「ふむ、これはいい人材を揃えたダンジョンだ。ハピは間違いなく有能よ。ところで、さっきからそこで立ってるタイタンはどうなのだ?見たところ、ヌシの代わりにダンジョンボスをしてそうな雰囲気だが」
お、魔王様がついにアルに興味を示したか。
「シュコー…………シュコー…………」
でも喋らない。それがアルという生き物だ。
「全く喋らないのぅ?どうした、喋られないのか?」
「シュコー…………シュコー…………」
「ケンゴよ、こやつはどうなのだ?」
「そもそも普通のタイタンは喋る事ができるのか?」
「む、それすら知らずにタイタンを部下に置いてるのか?まぁ、タイタンは喋らないし、知能が低いから簡単な言語しか理解できんがの」
それに比べたらアルはスキルに知能(レベル4)を持ってるからとてつもなく賢いんだろう。どうする、希少種だって事を伝えるか?
いや、それで余計に興味を持たれて俺のダンジョンに押し入られたら困る…………ん?待てよ、考え方によったらこっちの都合のいい方に導けるかもしれない。
よし、いっちょバラしてみるか。
「アルは普通のタイタンじゃないですよ。タイタンの中でも亜種を超す希少種ですから」
「希少種だと!?」
ダンッ!と驚いて立ち上がるが、新しく淹れたミルクティーが溢れそうになったのですぐに座った。でも、ミルクティーはちょっと溢れた。
「力だけはあるタイタンの亜種とは殺り合った事はあるが、希少種がこんな所に…………」
「アルはまだ低レベルですが適当なレベルの亜種よりは強いと思ってます」
「亜種と希少種を比べられるか!ただでさえ通常種と亜種の差を見るだけでも5倍以上あるのに、記録によれば亜種と希少種の差はさらに50倍以上と言われとる!考えたらこのダンジョンはちと理不尽すぎやしないかのぅ?」
そりゃ理不尽だと、そう思ってるよ。1階はスライムしか出ない簡単なダンジョンなのにボスがタイタン希少種とかいう超強い奴だもんな。
普通の奴だったら死にたくないから挑みたくない。
「これだけでも過剰戦力、ますます妾の軍に欲しい!軍人奴隷の件は無しにしてくれ。代わりに正式な幹部の立場で部隊をくれてやる!どうだ?」
「残念ですが、お断りさせていただきます」
「くっ、なら…………」
「ここで1つ、ビジネスをしてみようかなと」
「ビジネス?聞きなれない響き、それは何だ?」
この世界にはビジネスという単語が無いのか。いや、この際そんな事はどうでもいい。
「商売の話、です。このダンジョンの主は俺です。いい話を思いつきましたよ?」
「ほぅ、魔王である妾に直接商売の話を持ち込んでくるとは、一体何の商売だ?」
よし、話に食いついてきたな。ここから先なら何とかできる筈だ。
「ここを、専属とは言いませんが訓練所代わりに使ってもよろしいです。それなら、格上相手に訓練できるし、このダンジョンの攻略回数が増えるとダンジョンも新しく作り変える事も出来る。ある程度の実力はあればアルの所までたどり着けますよね?そこで、アルと死なない程度にやり合えばレベルも上がります。分かりますか?」
「ほぅ、なるほどのぅ。下には着かんが場所なら貸す、と?しかし、ヌシに利は無いのでは…………いや、攻略回数が増えるとダンジョンを新しく作り変える?どういう事だ?」
「そこは企業秘密、いや、秘密という事で」
「食えん奴だのぅ」
ケラケラと笑う魔王様は絵になるな。ここにカメラがあったら写真を撮って飾れるくらいの美しさはあると思うぞ。
「なら、しかないのぅ」
悪い条件じゃない。なんせ、タイタン希少種と戦えるなんて普通に出来る事じゃない。それに、アルに負けたら撃退扱いでポイントもガッポガッポ入ってくる筈!
「でも断る!」
…………………………………………えっ?
「ヌシを下に付けるまで妾は諦めんからな!妾はしつこいぞ?はっはっはっ。キタマチケンゴよ、いつか観念するんだな!」
ドタバタといきなり立ち去った魔王様に対して、俺は硬直しっぱなしだった。
「はっはっはうぎゃぁんっ!?」
あ、階段あたりで自分の豪華な服を踏んづけて転げ落ちてまたボス部屋まで転がり戻ってきた魔王様だ。
「い、今のは見なかった事にしてくれ!」
恥ずかしくて顔をやや赤くした魔王様はそんな事を俺に向かって言い、今度こそドタバタとダンジョンを立ち去ったのだ。
…………………………………えっ、帰っちゃうの?
「ご主人様ー?」
魔王様はいいのそれで?
「シュコー…………シュコー…………」
「ゴーシュージーンーサーマー!」
はっ、ちょっと錯乱してたっぽい。自信があったのに断られるとは思ってなかったな。くっ、ポイントをガッポガッポ儲けるのは夢のまた夢、か。
「さっきからご主人様の箱がなってますけど」
「ん、箱って?ああ、端末の事か。これからこれは端末って言ってくれ」
「はーい!わかりました!」
ぼーっとしすぎてたな。で、端末は俺に何の用だ?
『
魔王来訪ボーナスで10000ポイント手に入りました
魔王負傷ボーナスで10000ポイント手に入りました
魔王撃退ボーナスで10000ポイント手に入りました 現在のポイントは30600ポイントです』
あちゃー、こりゃガッポガッポ入ったな。もしかして、魔王様が来るたびに10000ポイント入るのか?いやいや、そんなうまい話がある訳ないよな。
つーか、魔王負傷ってさっきの階段で転げ落ちた時のやつか?それでもすり傷程度の怪我で10000ポイントって…………
あ、コレで武器&アクセサリーガチャ引けるじゃん。今引くか?いや、今あるのでダンジョンを新しく作ってから引いてみるか。
「ご主人様、お腹すきました!」
「もうそんな時間か?ああ、確かにもう昼前か」
今日は色々とイベントがあって、もう今日は外に出たくないや。昼飯を食べてからダンジョンを作ろっと。
「ハピはお昼何がいい?」
「花の蜜でお願いします!」
アルはどうする?
「シュコー…………シュコー…………」
…………サンドウィッチでいいよね。
よし、端末から注文して昼飯にするか!
「ごじゅじんざまー!」
戻ってきていきなりハピが泣きじゃくりながら顔面にひっついてきた。確かに面倒事が起こったからしばらく帰れないかもしれないって言ったけど、心配しすぎなんじゃないか?
てか、きっちりと2つ目の端末を背中にくくりつけている。今更だけど何となくメールは読めたんだな。
「バビばごじゅじんざまをずっどじんばいじてで、いずがえっでぐるのがどぞゔぞゔじだだげでゔぅゔうゔゔゔ!」
何を言ってるか翻訳しておこう。
『ハピはご主人様をずっと心配してて、いつ帰ってくるのかと想像しただげでうぅううううう!』
何で翻訳出来るかは…………1人で何を言ってるんだ。
「はいはい、帰ってきたよ。次からは連れて行くから泣き止んで泣き止んで」
「ぼんどゔでずか?」
ハピの泣き顔が俺の前でアップで映される。こんなに泣いてちゃ連れて行かないとね?
ってそうだ!多分すぐに魔王様が来るんだった!大した物もないし、それ以前に客間が無いぞ!今から間に合うか?
端末を開いて…………
「ご主人様?」
まだ涙のあとは残ってるハピが疑問符を浮かべて問いかけてくる。ああ、説明しなきゃいけないな。
「今から超超VIPなお客様が来るからちょっと準備しなきゃいけないんだ。ハピ、お前は周りをチョロチョロ飛んでるだけでいいから」
「何か嫌な言い方ですね!でも、ハピひちゃんとご主人様の命令に従います!」
よし、ハピは無駄な事をしなくていいだろう。正直な事を言うと、まだハピの性格がよく分かってないんだ。他人と接したら人が変わる奴とかいるからな。
「シュコー…………シュコー…………」
あ、アルの扱いは…………立ってるだけでいいや。
「シュコー…………シュコー…………」
で、客間を作らないとな。ここは奮発して600ポイントを全部使って高いのを購入し
「スライムしか出なくてつまらなかったぞ!ま、宝箱からはまあまあなマントが出たから良しとする」
「来るのが早過ぎるわ!」
「なぜ妾が怒られなければならんのだ!」
~●~●~●~●~
「粗茶です」
ただいま、ボス部屋に椅子とテーブルを置いただけの簡易型の場が作られた。机の上には俺が淹れたミルクティーがある。
魔王様はドキドキしてる俺をよそに、ミルクティーをゴクゴクと飲んでいる。緊張感のない魔王様だ。いや、緊張する時がないんだろうな。
「ふむ、甘いな。だが、この紅茶は多くの魔族が好みそうだな。売ってみるか?」
「材料が高いので量産はちょっと難しそうですね」
なんせ、砂糖と牛乳を使っているのだ。この2つの材料は異世界だと貴重な品になってる事が多いからな。
端末だといくらでも出せるが、そんな事したらバランスが崩れるからしない方がいいんだろう。
「まさか、任された事とはダンジョンの主か。これはこれでヌシへの興味がさらに湧くのぅ?誰からダンジョンを任されたのだ?」
んー、そんな事を聞かれても誰に任されたのか知らないな。多分、何かしらの候補の中でランダムで選ばれるんだと思う。
「多分、何かしらの候補の中でランダムに選ばれるんだと思います。実際、任せた人の顔なんて見た事無いですから」
「それは怪しすぎんかのぅ?そもそも、ヌシも怪しい仕事に巻き込まれたって自覚はあるのか?」
「そらゃあ自覚はありますよ。でも…………」
「でも?」
言いたくても言えないのが辛い。母親に就職活動をあらゆる手段を使って妨害されて、働きたくてもずっとニートな生活を送ってたなんて言えない!
そんな中、突然こんな所に飛ばされてダンジョンマスターやれって言われたら俺はやる。やる気満々でやってやるぞ!
「さっきから黙り込んでどうした?腹が痛いのか?」
「いや、何でも無いです。聞かないでください」
「ご主人様はお腹が痛いんですか!?」
「ハピ、ちょっと今はほっといて」
この会話をしてる最中にそこら辺を暇そうに飛んでいたハピが乱入してきた。アルは言われたままずっと部屋の隅で立っているだけだった。
「ハイピクシーか、妾も見るのは久しぶりだな。ま、あの時は通りすがりのハイピクシーだったからじっくりとは見れんかったがのぅ」
「どうでしょうか?ハピの美しさはそこら辺の者に比べては美しいでしょう!」
「おーおー、確かに普通のピクシーに比べたら綺麗だのぅ」
「ありがとうございます!」
この2人(?)は気が合うんじゃないかと思った。地味にさっきから俺そっちのけでハイピクシーの生態とかを話し込んでるし。
あ、魔王様のミルクティーが空っぽになったな。補給しておかなきゃ。
「ふむ、これはいい人材を揃えたダンジョンだ。ハピは間違いなく有能よ。ところで、さっきからそこで立ってるタイタンはどうなのだ?見たところ、ヌシの代わりにダンジョンボスをしてそうな雰囲気だが」
お、魔王様がついにアルに興味を示したか。
「シュコー…………シュコー…………」
でも喋らない。それがアルという生き物だ。
「全く喋らないのぅ?どうした、喋られないのか?」
「シュコー…………シュコー…………」
「ケンゴよ、こやつはどうなのだ?」
「そもそも普通のタイタンは喋る事ができるのか?」
「む、それすら知らずにタイタンを部下に置いてるのか?まぁ、タイタンは喋らないし、知能が低いから簡単な言語しか理解できんがの」
それに比べたらアルはスキルに知能(レベル4)を持ってるからとてつもなく賢いんだろう。どうする、希少種だって事を伝えるか?
いや、それで余計に興味を持たれて俺のダンジョンに押し入られたら困る…………ん?待てよ、考え方によったらこっちの都合のいい方に導けるかもしれない。
よし、いっちょバラしてみるか。
「アルは普通のタイタンじゃないですよ。タイタンの中でも亜種を超す希少種ですから」
「希少種だと!?」
ダンッ!と驚いて立ち上がるが、新しく淹れたミルクティーが溢れそうになったのですぐに座った。でも、ミルクティーはちょっと溢れた。
「力だけはあるタイタンの亜種とは殺り合った事はあるが、希少種がこんな所に…………」
「アルはまだ低レベルですが適当なレベルの亜種よりは強いと思ってます」
「亜種と希少種を比べられるか!ただでさえ通常種と亜種の差を見るだけでも5倍以上あるのに、記録によれば亜種と希少種の差はさらに50倍以上と言われとる!考えたらこのダンジョンはちと理不尽すぎやしないかのぅ?」
そりゃ理不尽だと、そう思ってるよ。1階はスライムしか出ない簡単なダンジョンなのにボスがタイタン希少種とかいう超強い奴だもんな。
普通の奴だったら死にたくないから挑みたくない。
「これだけでも過剰戦力、ますます妾の軍に欲しい!軍人奴隷の件は無しにしてくれ。代わりに正式な幹部の立場で部隊をくれてやる!どうだ?」
「残念ですが、お断りさせていただきます」
「くっ、なら…………」
「ここで1つ、ビジネスをしてみようかなと」
「ビジネス?聞きなれない響き、それは何だ?」
この世界にはビジネスという単語が無いのか。いや、この際そんな事はどうでもいい。
「商売の話、です。このダンジョンの主は俺です。いい話を思いつきましたよ?」
「ほぅ、魔王である妾に直接商売の話を持ち込んでくるとは、一体何の商売だ?」
よし、話に食いついてきたな。ここから先なら何とかできる筈だ。
「ここを、専属とは言いませんが訓練所代わりに使ってもよろしいです。それなら、格上相手に訓練できるし、このダンジョンの攻略回数が増えるとダンジョンも新しく作り変える事も出来る。ある程度の実力はあればアルの所までたどり着けますよね?そこで、アルと死なない程度にやり合えばレベルも上がります。分かりますか?」
「ほぅ、なるほどのぅ。下には着かんが場所なら貸す、と?しかし、ヌシに利は無いのでは…………いや、攻略回数が増えるとダンジョンを新しく作り変える?どういう事だ?」
「そこは企業秘密、いや、秘密という事で」
「食えん奴だのぅ」
ケラケラと笑う魔王様は絵になるな。ここにカメラがあったら写真を撮って飾れるくらいの美しさはあると思うぞ。
「なら、しかないのぅ」
悪い条件じゃない。なんせ、タイタン希少種と戦えるなんて普通に出来る事じゃない。それに、アルに負けたら撃退扱いでポイントもガッポガッポ入ってくる筈!
「でも断る!」
…………………………………………えっ?
「ヌシを下に付けるまで妾は諦めんからな!妾はしつこいぞ?はっはっはっ。キタマチケンゴよ、いつか観念するんだな!」
ドタバタといきなり立ち去った魔王様に対して、俺は硬直しっぱなしだった。
「はっはっはうぎゃぁんっ!?」
あ、階段あたりで自分の豪華な服を踏んづけて転げ落ちてまたボス部屋まで転がり戻ってきた魔王様だ。
「い、今のは見なかった事にしてくれ!」
恥ずかしくて顔をやや赤くした魔王様はそんな事を俺に向かって言い、今度こそドタバタとダンジョンを立ち去ったのだ。
…………………………………えっ、帰っちゃうの?
「ご主人様ー?」
魔王様はいいのそれで?
「シュコー…………シュコー…………」
「ゴーシュージーンーサーマー!」
はっ、ちょっと錯乱してたっぽい。自信があったのに断られるとは思ってなかったな。くっ、ポイントをガッポガッポ儲けるのは夢のまた夢、か。
「さっきからご主人様の箱がなってますけど」
「ん、箱って?ああ、端末の事か。これからこれは端末って言ってくれ」
「はーい!わかりました!」
ぼーっとしすぎてたな。で、端末は俺に何の用だ?
『
魔王来訪ボーナスで10000ポイント手に入りました
魔王負傷ボーナスで10000ポイント手に入りました
魔王撃退ボーナスで10000ポイント手に入りました 現在のポイントは30600ポイントです』
あちゃー、こりゃガッポガッポ入ったな。もしかして、魔王様が来るたびに10000ポイント入るのか?いやいや、そんなうまい話がある訳ないよな。
つーか、魔王負傷ってさっきの階段で転げ落ちた時のやつか?それでもすり傷程度の怪我で10000ポイントって…………
あ、コレで武器&アクセサリーガチャ引けるじゃん。今引くか?いや、今あるのでダンジョンを新しく作ってから引いてみるか。
「ご主人様、お腹すきました!」
「もうそんな時間か?ああ、確かにもう昼前か」
今日は色々とイベントがあって、もう今日は外に出たくないや。昼飯を食べてからダンジョンを作ろっと。
「ハピはお昼何がいい?」
「花の蜜でお願いします!」
アルはどうする?
「シュコー…………シュコー…………」
…………サンドウィッチでいいよね。
よし、端末から注文して昼飯にするか!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる