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長すぎた待ち時間
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門の前に列が出来ている。多分だけど、あの大きい門の下にある小さな扉から商人とか旅人が出入りするんだろうな。
何人いるんだろう?列は大体、いや23人きっちり並んでるな。こんな感じだと一人一人の検問は大変だろうねぇ。
あ、なんか揉めてる。何を揉めているんだろうか?まぁ、面倒くさいから関わらない事にしておこう。そもそも最後尾が一番前まで行く事こそ面倒だしな。
あ、あの商人が衛兵に連れてかれた。なんかヤバイのでも持ってたのかな?
ヤバイのだったら隣にいる不可視の守護者の見た目だけどね。
時間が経つにつれて人が減り、日も傾く。いやー、思ったより問題が発生したらしくて人の通りが悪い。中で何かあったんだろうか?
「ご主人様ー、まだですか~?」
「もうすぐだから我慢しなさい」
「さっきからそればっかりですぅ~」
ハピもぐずり始めたぞ。これはマズイ、この子が1回ぐずったらなかなか機嫌を直してくれない。困った子だよ本当に。
端末を懐から取り出してっと、花の蜜(本人にとっておやつ感覚のやつ)を購入、ハピにあげる、と。
花の蜜を受け取ったハピはちゅうちゅうと耳元で蜜を吸い始めた。花の蜜には付属のストローがあるけど、素材は何だろうな?
待てども待てどもまだ順番が来ない。前には18人が並んでいる。1時間は経ったはずなのに5人しか終わってないとは先は長いぞ。
あーあ、こういう時にゲームとかあったら嬉しいのに。いくら端末がスマートフォンだからって探してみたけどゲームは無かった。
ひたすら待つだけにしておくか。騒いで迷惑をかけるのもヤダだもん。
「そこのお人さん?」
前にいたおじさんから声をかけられた。服装と馬(?)が載せている荷物からして商人の人だな。
流石に時間が長くかかると見たから暇つぶしに俺に話しかけてきたんだな。
「なんすか?」
「いや、ここではあまり見ない人だと思ってどこから来たんですか?」
「最近までは引きこもってたけど、世界を見てみたくなってね。おじさんは商売か?」
「あいや、分かりますよね?私は行商人でして、名前はマウと申します。お人さんの名前は?」
正直に名乗っておくか。名前を言うだけで損はしない…………筈。
「健五だ。機会があったらよろしくな」
「ああ、それなりの商品は揃えてあるからな。そういや、何でこの国に?って旅人だもんな。理由なんてないか。検問に通行料が必要になるが、金はあるのか?」
「ああ、一応な」
金はどこから調達したかって?ダンジョンポイントを変換させる事が出来るのかって調べたら出来た。今の所持金は214ゴールドだ。中途半端な金にしたのは変にぴったりな金額を持ってないから怪しまれない為だ。
そう言えば、この世界の金の単位ってゴールド何だな。端末によると1ゴールド500円、1ポイント1ゴールドくらいの価値らしい。
で、取り出したのが日本円にして107000円程度のお金だ。それだけあれば街の中でも何とかなるでしょ?
「この国の通行料はどれくらいだ?」
「20ゴールドだ。ちょっとばかり高い気がするが、戦争中だしなぁ。おかげで商売上がったりよ」
ああ、そうだったな。毎日あのアホが来るから人間と魔族が戦争中だって事を忘れかけてた。
そもそも何で魔族と人間は争ってるんだ?人種差別からの戦争か?
ま、低レベルとはいえアルを軽くあしらう奴に勝てる見込みなんて無いよ。勇者ボルトなんて(不意打ちとは言え)火炎放射器で燃やしたらすぐに撤退したし。
「にしても、長いなぁ。いつもならこんなに時間がかからないのに」
「何回も来てんのか。やっぱ仕入れか?」
「仕入れもあるし売り出しもだよ。ただ、ちょっと商品の質が落ち気味じゃないんかなぁと思ってる。早く終わらせてちゃんとした品を仕入れてぇな。中で何やってんだか」
「本当だよなぁ」
戦争ってのは本当、ヤダよ。あの時は組みに狙われて実質1人で戦争やったからなぁ。銃や刀が飛び交う中を拳で切り抜けて全滅させたのはあまり思い出したくない思い出だ。
狙撃されるのはよくあったけど、近距離からのサブマシンガンは勘弁してほしかったな。
ま、マウの旅話を聞きながらしばらく待ってるか。
~●~●~●~●~
「いやー、あの時はヤバかった。デリル騎士団が来なかったら私はここにいないだろうね」
「ヘぇ~?その熊は雇った護衛じゃ歯が立たなかったんだ」
「幸いにも死者は出なかったけど酷い目にあったよ!商品の8割が駄目になったし…………おっと、あと1人だ。私は少し準備をするよ。お人さんは…………大した荷物もないな。しいて言うならその子と傘だけか?」
「まぁ、な」
結構話し込んだ後にやっとマウの順番がやってきた。ここまで来るのに凄く長かったな。でも、マウの話がゆっくり聞けてよかったよ。
ちなみに、マウと話してる間のハピはずっと黙ったままぶすっとしていた。メジェドさんは近くで立ちっぱなしのままだった。
見せるとしたら俺の財布と桜吹雪とハピ、見せたくないけど天夜叉の着物だけか?
メジェドさんを見せる必要はあるかなぁ?下手したら人間だと言われそうだし…………
ま、何とかなるでしょ!
大体20分程度でマウの検問は終わった。さて、どう誤魔化そうかな?
「次、お前の名前と職は?」
「世間知らずの旅人だ。別の言葉言うならテイマーだ。ハピ、疲れたからってむくれんなよ。ああ、すみません、フードの奥に俺のピクシーが居るんですが少々機嫌を損ねててね。ほら、顔だけでも出しなさい」
俺がつけているフードの中からすごすごとハピが出てきた。そこまでいじける必要はないだろ?
「むっすー…………」
「口で効果音をつけるんじゃないぞ」
「だってご主人様が構ってくれなかったんだもん!酷いですよ!」
「わーったから後で構ってやるからさ、な?」
不機嫌の理由はそれか。確かに母さんも全然構わなかったらいじけだすもんな。
「なるほど、他に飼ってる魔物は?」
「飼ってるて…………あ、いや、彼女だけだ」
メジェドさんはどうせ不可視だから面倒な事に引っかかりはしないだろう。魔眼持ちとかだったら見えるかもな。
てか、飼ってるという表現は嫌だな。牛や馬みたいな家畜ならともかく、ハイピクシーのハピは高度な知能を持ってるから飼ってるとは言いたくない。いや、こんな事言ったら牛や馬を家族と思ってる人に失礼だな。
でもさ、ちょっと不快なのは本当だな。
「それじゃあ持ち物検査だ。ローブの下を見せてくれ」
うっ、やっぱこれか。天夜叉の着物って結構派手だからなぁ。そもそも着物ってどんな目で見られるんだろう?
仕方なし、いや平和的に衛兵に着物を見せようか。
「ほら、これでどうだ?」
ローブを脱いで天夜叉の着物を見せつけた。
「何だこの服は?見た事もないが…………」
「ダンジョンで手に入れた服だ。あと、この傘もダンジョンで手に入れたんだ。金は214ゴールド持ってる。たしか、通行料が20ゴールドだったか?」
「あ、ああ。そうだよ。払ってくれたら入っても…………そうだ、忘れてた。入国する目的は?」
「言ったろ?旅人だから観光と小遣い稼ぎだ」
「そうだな。旅人はそんなもんか。よし入ってよし」
はぁ~、やっと入れる!もう昼はとっくに過ぎてるぞ。ハピには待ち時間に花の蜜をあげたからお腹空いてないけど、俺は腹減ったな。
中の店で何か食べてみるか。ダンジョンにいた時は端末から俺が知ってるのしか食べなかったから、この世界の料理なんて全く知らないからなぁ。
まずは飯から取ろうかな?あそこの大きい看板を掲げた酒屋っぽい所に行ってみよう。真昼間、は過ぎたけど酒屋の料理でもいいや。
まずは入ってから…………
おあっ!?なんか結構騒がしいな。一体何があったんだろうか?酒場だからそんなものか。とりあえず、近くの椅子に座って何か頼むか。
メニューらしき物はなかった。これじゃあ何が食べられるか分からないな。店員さんに聞いてみるか。
「すみませーん」
「ごめんなさい、今はちょっとダメなんです!」
なんか断られた。俺に返事した店員はとても慌ててるようだ。やっぱり何かおかしいぞ?
「ご主人様に注文をさせないなんてハピは許せません!」
「待て、何かおかしいぞ」
手っ取り早く誰かに聞くのが一番だけど、どうしようか?そこのおっさんに話しかけてみるか。
「おい、何があったんだ?」
「クソッタレが!あぁん?まさかお前、何も知らねぇのか?」
「さっき入国できたばかりの新参者だ。で、何があっなんだ?」
「なるほど、そりゃ知らない訳だ。結構向こうにある『ワースター』っていうギルドを知ってるか?」
『ワースター』というギルド?ギルドって言ったら何らかの依頼を受けて金を稼ぐ所だよな。そんなギルドとこの酒場が何の関係があるんだ?
「どうやら知らないって言う顔だな。まぁ、ウチのギルドと敵対してるトコだ。向こうの方が稼ぎはいいが、なんせガラが悪すぎて依頼がこっちに回ってくるのに腹を立てたらしくて」
「らしくて?」
「こっちのギルド長の孫を誘拐しやがった!向こうの要求はウチのギルドを解散させろ、だ!俺らが何かしたらギルド長の孫の安全の保証は無いっていうからこっちはまともに動けん…………」
「そりゃあ…………」
向こうが馬鹿としか言いようがない。事件を起こした時点で信用はガタ落ち、依頼は回ってこないわ犯罪者リストに入る事になるじゃないのか?
こういうトコって信用が有るからこそ依頼できるもんだ。遅かれ早かれ『ワースター』は潰れるな。
だが、ここを潰しにかかると路頭に迷う奴らが増える。そうなったらどうするんだろう?
別に俺が干渉したいわけじゃない、が、このまま放っておくのも後味が悪い。てか、飯を早く食いたい。
はぁ、仕方ないか。飯の為だ、さっさと済ませよっと。えーと、傘を持ってっと。
「ご主人様ー?何するんですか?」
「腹減ったからちょっと運動しに行くだけだ」
「普通は逆じゃないんですか?」
「ま、気にすんなって」
端末の時計を見たら2時49分だった。もうちょいで3時になるからさっさと終わらせよう。
タイムアタックの縛りをつけてみようかな?よし、3時になるまでのタイムアタックを開始…………って俺は『ワースター』の場所知らないじゃん!
『ワースター』を見つけてから大体10分くらいのタイムアタックをやろうか。
あ、この世界の人間と直接対決はした事ないな。ある程度の力だめしという事で、ショータイムだ!
何人いるんだろう?列は大体、いや23人きっちり並んでるな。こんな感じだと一人一人の検問は大変だろうねぇ。
あ、なんか揉めてる。何を揉めているんだろうか?まぁ、面倒くさいから関わらない事にしておこう。そもそも最後尾が一番前まで行く事こそ面倒だしな。
あ、あの商人が衛兵に連れてかれた。なんかヤバイのでも持ってたのかな?
ヤバイのだったら隣にいる不可視の守護者の見た目だけどね。
時間が経つにつれて人が減り、日も傾く。いやー、思ったより問題が発生したらしくて人の通りが悪い。中で何かあったんだろうか?
「ご主人様ー、まだですか~?」
「もうすぐだから我慢しなさい」
「さっきからそればっかりですぅ~」
ハピもぐずり始めたぞ。これはマズイ、この子が1回ぐずったらなかなか機嫌を直してくれない。困った子だよ本当に。
端末を懐から取り出してっと、花の蜜(本人にとっておやつ感覚のやつ)を購入、ハピにあげる、と。
花の蜜を受け取ったハピはちゅうちゅうと耳元で蜜を吸い始めた。花の蜜には付属のストローがあるけど、素材は何だろうな?
待てども待てどもまだ順番が来ない。前には18人が並んでいる。1時間は経ったはずなのに5人しか終わってないとは先は長いぞ。
あーあ、こういう時にゲームとかあったら嬉しいのに。いくら端末がスマートフォンだからって探してみたけどゲームは無かった。
ひたすら待つだけにしておくか。騒いで迷惑をかけるのもヤダだもん。
「そこのお人さん?」
前にいたおじさんから声をかけられた。服装と馬(?)が載せている荷物からして商人の人だな。
流石に時間が長くかかると見たから暇つぶしに俺に話しかけてきたんだな。
「なんすか?」
「いや、ここではあまり見ない人だと思ってどこから来たんですか?」
「最近までは引きこもってたけど、世界を見てみたくなってね。おじさんは商売か?」
「あいや、分かりますよね?私は行商人でして、名前はマウと申します。お人さんの名前は?」
正直に名乗っておくか。名前を言うだけで損はしない…………筈。
「健五だ。機会があったらよろしくな」
「ああ、それなりの商品は揃えてあるからな。そういや、何でこの国に?って旅人だもんな。理由なんてないか。検問に通行料が必要になるが、金はあるのか?」
「ああ、一応な」
金はどこから調達したかって?ダンジョンポイントを変換させる事が出来るのかって調べたら出来た。今の所持金は214ゴールドだ。中途半端な金にしたのは変にぴったりな金額を持ってないから怪しまれない為だ。
そう言えば、この世界の金の単位ってゴールド何だな。端末によると1ゴールド500円、1ポイント1ゴールドくらいの価値らしい。
で、取り出したのが日本円にして107000円程度のお金だ。それだけあれば街の中でも何とかなるでしょ?
「この国の通行料はどれくらいだ?」
「20ゴールドだ。ちょっとばかり高い気がするが、戦争中だしなぁ。おかげで商売上がったりよ」
ああ、そうだったな。毎日あのアホが来るから人間と魔族が戦争中だって事を忘れかけてた。
そもそも何で魔族と人間は争ってるんだ?人種差別からの戦争か?
ま、低レベルとはいえアルを軽くあしらう奴に勝てる見込みなんて無いよ。勇者ボルトなんて(不意打ちとは言え)火炎放射器で燃やしたらすぐに撤退したし。
「にしても、長いなぁ。いつもならこんなに時間がかからないのに」
「何回も来てんのか。やっぱ仕入れか?」
「仕入れもあるし売り出しもだよ。ただ、ちょっと商品の質が落ち気味じゃないんかなぁと思ってる。早く終わらせてちゃんとした品を仕入れてぇな。中で何やってんだか」
「本当だよなぁ」
戦争ってのは本当、ヤダよ。あの時は組みに狙われて実質1人で戦争やったからなぁ。銃や刀が飛び交う中を拳で切り抜けて全滅させたのはあまり思い出したくない思い出だ。
狙撃されるのはよくあったけど、近距離からのサブマシンガンは勘弁してほしかったな。
ま、マウの旅話を聞きながらしばらく待ってるか。
~●~●~●~●~
「いやー、あの時はヤバかった。デリル騎士団が来なかったら私はここにいないだろうね」
「ヘぇ~?その熊は雇った護衛じゃ歯が立たなかったんだ」
「幸いにも死者は出なかったけど酷い目にあったよ!商品の8割が駄目になったし…………おっと、あと1人だ。私は少し準備をするよ。お人さんは…………大した荷物もないな。しいて言うならその子と傘だけか?」
「まぁ、な」
結構話し込んだ後にやっとマウの順番がやってきた。ここまで来るのに凄く長かったな。でも、マウの話がゆっくり聞けてよかったよ。
ちなみに、マウと話してる間のハピはずっと黙ったままぶすっとしていた。メジェドさんは近くで立ちっぱなしのままだった。
見せるとしたら俺の財布と桜吹雪とハピ、見せたくないけど天夜叉の着物だけか?
メジェドさんを見せる必要はあるかなぁ?下手したら人間だと言われそうだし…………
ま、何とかなるでしょ!
大体20分程度でマウの検問は終わった。さて、どう誤魔化そうかな?
「次、お前の名前と職は?」
「世間知らずの旅人だ。別の言葉言うならテイマーだ。ハピ、疲れたからってむくれんなよ。ああ、すみません、フードの奥に俺のピクシーが居るんですが少々機嫌を損ねててね。ほら、顔だけでも出しなさい」
俺がつけているフードの中からすごすごとハピが出てきた。そこまでいじける必要はないだろ?
「むっすー…………」
「口で効果音をつけるんじゃないぞ」
「だってご主人様が構ってくれなかったんだもん!酷いですよ!」
「わーったから後で構ってやるからさ、な?」
不機嫌の理由はそれか。確かに母さんも全然構わなかったらいじけだすもんな。
「なるほど、他に飼ってる魔物は?」
「飼ってるて…………あ、いや、彼女だけだ」
メジェドさんはどうせ不可視だから面倒な事に引っかかりはしないだろう。魔眼持ちとかだったら見えるかもな。
てか、飼ってるという表現は嫌だな。牛や馬みたいな家畜ならともかく、ハイピクシーのハピは高度な知能を持ってるから飼ってるとは言いたくない。いや、こんな事言ったら牛や馬を家族と思ってる人に失礼だな。
でもさ、ちょっと不快なのは本当だな。
「それじゃあ持ち物検査だ。ローブの下を見せてくれ」
うっ、やっぱこれか。天夜叉の着物って結構派手だからなぁ。そもそも着物ってどんな目で見られるんだろう?
仕方なし、いや平和的に衛兵に着物を見せようか。
「ほら、これでどうだ?」
ローブを脱いで天夜叉の着物を見せつけた。
「何だこの服は?見た事もないが…………」
「ダンジョンで手に入れた服だ。あと、この傘もダンジョンで手に入れたんだ。金は214ゴールド持ってる。たしか、通行料が20ゴールドだったか?」
「あ、ああ。そうだよ。払ってくれたら入っても…………そうだ、忘れてた。入国する目的は?」
「言ったろ?旅人だから観光と小遣い稼ぎだ」
「そうだな。旅人はそんなもんか。よし入ってよし」
はぁ~、やっと入れる!もう昼はとっくに過ぎてるぞ。ハピには待ち時間に花の蜜をあげたからお腹空いてないけど、俺は腹減ったな。
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まずは入ってから…………
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手っ取り早く誰かに聞くのが一番だけど、どうしようか?そこのおっさんに話しかけてみるか。
「おい、何があったんだ?」
「クソッタレが!あぁん?まさかお前、何も知らねぇのか?」
「さっき入国できたばかりの新参者だ。で、何があっなんだ?」
「なるほど、そりゃ知らない訳だ。結構向こうにある『ワースター』っていうギルドを知ってるか?」
『ワースター』というギルド?ギルドって言ったら何らかの依頼を受けて金を稼ぐ所だよな。そんなギルドとこの酒場が何の関係があるんだ?
「どうやら知らないって言う顔だな。まぁ、ウチのギルドと敵対してるトコだ。向こうの方が稼ぎはいいが、なんせガラが悪すぎて依頼がこっちに回ってくるのに腹を立てたらしくて」
「らしくて?」
「こっちのギルド長の孫を誘拐しやがった!向こうの要求はウチのギルドを解散させろ、だ!俺らが何かしたらギルド長の孫の安全の保証は無いっていうからこっちはまともに動けん…………」
「そりゃあ…………」
向こうが馬鹿としか言いようがない。事件を起こした時点で信用はガタ落ち、依頼は回ってこないわ犯罪者リストに入る事になるじゃないのか?
こういうトコって信用が有るからこそ依頼できるもんだ。遅かれ早かれ『ワースター』は潰れるな。
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別に俺が干渉したいわけじゃない、が、このまま放っておくのも後味が悪い。てか、飯を早く食いたい。
はぁ、仕方ないか。飯の為だ、さっさと済ませよっと。えーと、傘を持ってっと。
「ご主人様ー?何するんですか?」
「腹減ったからちょっと運動しに行くだけだ」
「普通は逆じゃないんですか?」
「ま、気にすんなって」
端末の時計を見たら2時49分だった。もうちょいで3時になるからさっさと終わらせよう。
タイムアタックの縛りをつけてみようかな?よし、3時になるまでのタイムアタックを開始…………って俺は『ワースター』の場所知らないじゃん!
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