究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

文字の大きさ
13 / 49

喧嘩の華は桜の花びら

しおりを挟む
敵拠点上、探索完了。人質の場所を確認。偵察ピクシー帰還、待機完了。突入準備完了、守護者準備完了。


突入まで残り時間


5秒


4秒


3秒


2秒


1秒


「はいだらぁ!」

突入ーっ!なんてね。

はい、今から10分間のタイムアタックが開始されました!自分の中で7分は銅クラス、5分は銀クラス、3分は金クラスと勝手にクラス付けをしました。

突入した場所は天井からだ。ハピの風魔法で探索してもらって人質の場所を先に探って、突入してすぐに回収。回収した後は人質をメジェドさんに任せて俺は大暴れするという算段だ。

ちなみに、二階の一室に子供の反応があるとハピが言ったから間違いなくそいつがギルドマスターの孫だろう。

あ、忘れてたけどあのギルドの名前なんだっけ?今はいいか。暴れまくる事を考えよう。

「な、誰ブヘッ!」

突入して近くにいた敵を傘で速攻で軽く殴り倒して瞬時に俺の現状確認をする。

敵影2人、さっき1人倒したから3人いたんだな。

「てめぇ、話聞いてなかったのか!?こっちにはてめぇらのギルドマスターの孫が」

「知ったこっちゃないね!」

ゴスッ、と腹に桜吹雪をぶっ刺した。貫通はしてないが、鳩尾に入ったからダウンは確実だな。

間を空けずに桜吹雪を横に振ってもう1人も瞬時に殴り倒した。あ、壁を貫通しちゃった。ついでに誰か倒せたらいいな。

おっと、タイムアタック中だから早く人質を助けて暴れないと。確か部屋は…………あった。この部屋だった筈だ。

「お邪魔しまーす!文字通り邪魔するぜー!」

1人の隻眼の男と、その近くに縛られている子供がいる。子供の方が人質だろう。しかし、参ったな。こうも近くまでいるとはな。絶対に隻眼の男はこの、えーど、確か『ワースター』っていう名前のギルドマスターだろう。

「まさか、そこまで決断を早く決めてくるとはな。刺客さんよ、こいつがどうなってもいいってんならって待て。なぜリンゴを手に取っている」

あ、この果物の名前って普通にリンゴでいいんだ。てか、この世界にもリンゴってあるんだな。

そんな思考は0.5秒で終わらせて、始まって2分は経ったかな?下にもまだ残ってる筈だし、こりゃ金クラスは諦めだな。下手したら銀クラスも取れないかも。

「さて、あんたとこのリンゴ、どっちが強いんだろうな?」

「何をふざけた事を言ってる?」

子供の首元にナイフを突きつけ、もう片方の手でナイフを投げるモーションにながら男は言うが、もう何をするか決まっている。

あの男に掴まれて、いや、男じゃなくて壁に押し付けられている子供も泣いてる。早く解放してあげないとな。

隻眼の男がナイフを投げようとしたその時!

「べろべろばーっ!」

男の残っている目の前にあらかじめ待機していたハピが逆さまかつ超アップで、なんて言えばいいのか、まぁ、べろべろばーっ!っていう顔だ。俺はコレをどう表現すればいいのか全く分からなかったが。

突然現れたハピのせいで男がナイフを投げられない。そしてすぐにハピが退いた後の男の目に映ったのは間近まで迫ったリンゴだった。

バコッ!といい音がなってリンゴが砕けた。リンゴの破片が床に落ちたと同時に男も床に倒れ込んだ。よし、ヘッドショット確定っと。あ、3分になった。

それじゃ、子供の拘束を解いてっと。よし、引き千切れた。

「大丈夫か?後は不可視の守り神がついてるからな」

「うっ、うぅえええぇぇぇ」

やっと拘束から解かれた子供、多分男の子は泣き出した。それは仕方のない事だと思っている。だってさっきまで怖い人に連れ去られたんだもん。俺のような体を持ってないのに泣かない子供はいない。

「ささっ、天井から出よう。後は俺に任せて」

「やだ…………離れないで、ひっぐ…………」

不可視のメジェドさんがいるとは言え、やっぱ怖いか。それならハピもつけておこうかな。

「ハピ、メジェドさんと一緒に子守を頼めるか?」

「了解しました!ささっ、こっちだよ」

「…………………………………………」

ハピは男の子の服の裾を引っ張って誘導させ、メジェドさんはその後ろをついて行く感じだ。男の子はまだ半泣きだけどハピに引っ張られてついて行く。よし、後は2人(?)に任せて俺は下で暴れるか。あ、4分になってる。銀クラスも諦めるか。

てか、タイムアタック自体を諦めよう。タイムアタックは一対一でやるに限る。

自分で決めといてなんだけど、ダメだなこりゃ。有言実行くらいきちんとやらなきゃいけないなぁ。

よし、後は思う存分暴れるか。火事と喧嘩は江戸の華、なんてね?

「上から音がしたぞ!」

「なんだなんだ」

「あっ、おいあいつは誰だ!」

「侵入者だ!子供を逃すんじゃねえぞ!」

残念、もう逃げちゃってます。お前らはどんな人か知らないが、ローブを脱いで全員まとめてぶっ飛ばす!

「なんだあの変な服野郎は!」

「誰が変な服野郎だこの野郎!」

剣で斬りかかろうとしてきたので傘で薙ぎ払う。その時の風と共に桜吹雪が舞い散る。確か花弁1枚1枚に弱体化の効果があったんだよな。

さぁさ散れ散れ桜の吹雪よ!

「うわっ!何だこれ、花弁?」

「怪しいもん使いやがって!みんなかかれ!」

ありゃ?効果は無かったか?目くらましとしては十分な力を持ってるけど弱体化の効果としてはイマイチなのかな?

でも、ちょっと弱体化させるだけで勝負が大きく変わってくるからなぁ。目に見えない効果なんだろうな。

それじゃ、返り討ちにするか。

「ほらよっと!」

「ベディ!テメェよくも兄弟を!」

「さぁな、お前らがやった事をじっくり夢の中で考えてみろや!」

ばっこんばっこんと桜吹雪でなぎ倒していく。あー、この感覚は殺し屋をそこら辺にあった三角コーンで殴り倒しているような感覚だ。

この感覚はよくあったな。でも、あまり興奮しないな。

異世界だったらある程度大暴れできると思ったんだけどなー。

「何だあの男は!」

「『フェニックス』にあんな派手な服を着た奴はいねぇ!」

「ならどこの雇われもんだテメェ!」

うーん?何と言えばいいんだろう?ただのテイマーと名乗っても何か違うんだよなー。おっ、そうだ。この喧嘩にちなんで…………

「ただの喧嘩屋だこの野郎!」

ちょくちょく湧いてくる男達、たまに女を壁を突き破る勢い、てか突き破るようにぶっ飛ばしまくった。

そしてだんだんと敵が少なくなって遂に俺以外に立っている者は誰1人いなかった。

「……………………はぁ」

無意識でため息が出た。自分の中でつまらないと思っているんだ。

今まで身体的な事で本気出した事は無かった。学校での体力測定、体育の授業、そして無理矢理因縁付けられた喧嘩。何一つ本気を出さずにこなしてきた。

俺は本当に本気で暴れたいんだろうなぁ…………

おっと、そろそろ俺も抜け出すか。ローブを回収して始めに突入した天井からさようなら~ってね。


~●~●~●~●~


「よぅ、騒ぎは治ったみたいだな」

ギルド『フェニックス』に時間を空けて戻ってきた俺はちょっとだけ話をしたおっさんに声をかけた。

「ん、さっきのあんちゃんか。そうなんだよ!誰だか知らねぇがギルドマスターの孫をあいつらから連れ去った奴がいてよ、少し前に気絶してたあいつらを叩き起こして聞いたら『喧嘩屋』って名乗ったやつがやったらしい」

「ほー、それはそれは」

適当に名乗ってたけど結構雰囲気出てるんじゃない?まぁ、正体さえバレなければ俺にとって何の問題は無い。

あー、腹減ったな。もう4時になったし早く何か頼んで飯にすっか!

「すみませーん!」

「ごめんなさい、ちょっとお待ちください!」

……………………まだ先のようだな。

「ご主人様、お腹減ってますよね?」

「それくらい我慢できるさ。待つだけだからな」

それから待ち続けて30分くらいだった後だった。

「お待たせしました!ご注文は?」

「やっときた…………ここのオススメを一つ」

「かしこまりました」

店員がやっときて注文できた!まだかまだかと待ち続けたから空腹もそれなりにきている。そもそも朝しか食べてないからな。

さーて、何が出てくるかな?オススメだから上手いのが出てくるよな。

そして10分後…………

「お待たせしました、ドムドムの煮込みスープです。料金は5ゴールドです」

「お、分かった」

お金は先払いらしいな。まぁ、日本じゃあるまいし注文してすぐにお金を出さなきゃ喰い逃げされるかもしれないからな。

「ごゆっくり」

俺は5ゴールドを店員に渡してドムドムのスープを食べ始めた。白色のスープの中に芋っぽいのと何かの肉、多分ドムドムの肉が入っている。よし、いただきます。

んぐっ、普通に美味いな。芋っぽいのはまんま芋でドムドムの肉は豚肉に近い感じだった。何だろう、スープの味のせいで豚汁食ってる気分だな。

素材は全く別物だが、再現できてるなーと思ってしまう。

「おばあちゃん、こっちこっち」

ん、この声はさっき助けた子供の声だ。あの時は泣いてたけど今は元気にしてるからよかったよかった。後ろに見た目は30歳に入る前くらい、実年齢はもっといってる感じ女の人を引き連れている。

……………………あれ?なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか?いや、俺のこういう時の勘は酷いほど当たるから…………

頼む、こっちに来ないでくれ!

「この人だよ」

「…………………………………………」

ダメでした。ローブの裾を引っ張られましたよ。ああ、終わった。何かが終わったような気がした。

「よし、アンタ」

「スープ食べ終わった後にしてください朝しか食べてないからお腹減ってるんですよ」

「よし、待つ」

ううぅ…………絶対この人ギルドマスターだよ。食べ終わるまで隣の椅子で座ってますよ。

よし、早く食べよう。人生で何番目にか入るくらいの早食いで食事を終わらせた。

「で、俺に何の用ですか?」

「話は事務所で」

ローブの袖を引っ張られた。何この人、おばあちゃんと言われてる人なのに若干の幼さを感じるんだけど。

まぁ、大人になっても幼さを残してる人は俺の身近にいたよな。例えば母さんとか。

今は仕方が無い、大人しくついて行くか。この後の話で俺達にとって出来るだけ悪い方向になりませんよーに!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...