究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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中立を保ちランクを得る

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今の現状、『フェニックス』のギルドマスターと対面してお茶を飲んでいる。この紅茶イマイチだなー。

「で、俺に話って何だ?」

「貴方、誰につく?」

「おっと、そういう話か」

こりゃ面倒な事になったな。もしかしたら俺が魔王と繋がっている事に気づいたか?

あの魔王の事だ、実力主義と言うから本当に実力を持っている上で人格者を勧誘し回ってるんだろうな。このギルドマスターもそのうちの1人だろう。

「答えて、誰につく?」

「誰とは一体?ギルドの話か?いくら何でも『ワースター』は潰れたからつくかどうかなんて」

「はぐらかさない。貴方の実力なら魔族に勧誘されている筈。貴方が人格者じゃなかったら私の孫を助けない」

「あーららー?」

この様子だと間違いなく知っているぞ。彼女もあいつに勧誘された事があるんだな。

「何で俺が魔族に勧誘された事を知ってるんだ?その言い方だと自分も勧誘された事があるんじゃないか?」

「あ、いや、それは、その…………」

「言い訳くらい考えておけよ!」

何この無計画な人は、ちょっといろんな意味で油断しすぎじゃないのか?

「おばあちゃん、なに話してるの?」

「フリードは向こう行っててくれる?」

「はーい」

ギルドマスターに言われた孫はすぐに部屋から出て行った。どこかで遊ぶんだろうか?でも、目を離し過ぎたらさっきみたいに誘拐されるぞ?

「話を戻す。誰につく?」

「さらっと自分への質問を帳消しにしたな」

「な、何の事かさっぱり」

「その冷や汗を止めてしっかり俺の方を見て言ってくれよ」

嘘をつくのが下手くそすぎるよ。よくこんなのでギルドマスターやってるな。だが、魔族からの勧誘があったという事はこの人も実力もあって人格者だって事だ。

実力主義のあいつらは人間だろうが何だろうが仲間にしたい奴がいたら仲間にする主義だ。敵に回したくない奴を仲間にすると言う言い方もある。

「で、誰につくって話だったな」

「そ、そう。誰につく?」

凄く助かったって顔をしてるよ。せめてポーカーフェイス決めておけよ。

誰につくって言われてもなー?魔族側は超友好的、というか俺自身を欲しがって魔王が直接求婚してくるのがウザいけど、多分悪い奴らじゃない。それに人間側はまだ判断するべきじゃない。

だから『中立』を保つ。これが俺の言い分だ。

これを彼女に伝えてみた所、

「むー……………………」

何だその不服そうな顔は?何が不満なのか教えてくれませんかね?人の上に立つんだから表情はちゃんと操らないと。

「どうしてそんな事を聞く?俺が魔族についたら不都合、はありまくるか。やっぱり阻止したいのか?」

「そう」

「魔族に何か恨みがあるのか?」

「そう」

「ああ、それで必死になってたのか」

「必死、じゃ、ない」

「どもったら威厳が台無しだぞ。元々ないように見えるが」

「そんな事はない!」

バンッ!とギルドマスターは顔を真っ赤にしながら机を大きく叩いた。威厳が見えないのを気にしてたのか。さっきの様子を見ても感じられなかったけどな。

それは置いといて、ギルドと言えば何か狩人的な人達が仕事を斡旋してもらってお金を得る所だ。

今の俺はダンジョンポイントをお金に換金できるからお金を稼がなくていいという訳じゃない。まず、ポイントを稼ぐ事が、俺の所に魔王が襲来、アルとの手合わせで凄い勢いでポイントが入っていくけど、地道に稼ぐとしたらデイリーボーナスの100ポイント貰えるから、大体100ゴールド、日本円にして約50000円だ。

日給50000円、と言ったらかなりの稼ぎも言えるけど俺はダンジョンを作らなければならない。最低でも500ポイントから必要になるので人を呼んで稼がなければならない。

まぁ、ポイントをお金に換金するが面倒という理由が二番目に来るけど、一番の理由は俺は働きたいんだ。

恥ずかしながら俺はダンジョン管理を任されるまで無職、いわゆるニートだった。

実際、究極生命体と呼ばれた俺はヤンデレの母に就職活動を徹底的に妨害されていた。姉のコネを使おうとしてもあらゆる手段を使って妨害してきた母は完全に狂気に満ちていた。

でも、腐っても親、普通にしていたら俺にはデレデレ姉にはトゲトゲしたただの親バカだったんだ。正直な事を言って俺の根底はマザコンだったんだ。色々と無職なのを無理矢理納得してた。

でも、今となっては働きたい意欲が湧いてきた。お使いだろうがモンスターだろうが災害だろうが何だって来いや!

という訳で都合のいい話を彼女に押し付けてみよう。

「そんなに俺が不安か?」

「不安」

即答しないでくださいよ。そう言われるの結構悲しいんですよ。一体何回警察のお方々に1人にさせると不安って言われたと思うんですか?言われる度に泣きそうになってくるんだからやめてくれよ!

「それなら監視でもすればいいんじゃないのか?」

「監視を?」

「一応さ、俺も稼ぎたいたからギルドに入れてくれるか?」

「……………………何が望み?」

「あー、うん、ソロでやれる仕事、討伐系の依頼を斡旋してくれ。ランクは問わないけど、出来たら高めで」

「???」

ギルドマスターの頭の上にハテナマークを大量に浮かべている。

「あんたの孫や捕まったアホ共から俺の事を聞いてるか?」

「派手な格好、ピクシーをテイムしている、恐ろしく強い、傘が可愛い」

「うん、最後のは置いといて戦闘力としては?」

「十分、勝てるかどうか怪しい。何故そんな事を?レベリング?」

おっ、気がついたか。現在のハピのレベルは1のまま、メジェドさんはいつの間にかレベル3になってたけど低い。特にハピのレベルは上げておきたいんだよ。

それに、強い魔物なら素材も貴重、報酬も貰えるという訳だ。最悪、魔王から必要な情報を貰うつもりでいる。

「そもそもどういう感じでギルド会員になるのかも知らん。まぁ、要するに『このギルドに加入してやるから融通を利かせろ』と言いたいんだ」

「なるほど、それを私の判断で決めろと?」

「Yes」

「いえす?」

「肯定の意味だ」

そう言うとギルドマスターは顎に手を当てて考えている。不確定要素の俺を形だけどは言え管理できる、ギルド1つを単体で潰したという実績もあるため戦力としても上々。

断りたい、だが断ったら何をするか分からない。別に何もしないんだけどね。

「承諾する。『ワースター』を潰した実績、孫を助けてくれた恩としてある程度のランクをやる。ある程度の仕事もやる。流石に優先し過ぎたら他の者に依頼が回らなくなるから」

「そんくらいでちょうどいい。そういやさ、会員証とか必要になるのか?」

「必要、手続きは私がやっておく。少し待って」

ギルドマスターはカタンと音を立てて椅子から立ち上がり無言で部屋から出ていった。

どれだけ待つか分からないけど…………

「メジェドさん、いい加減警戒を解いたら?」

「…………………………………………」

若干空気になってたメジェドさんはずっと不可視だが俺の耳にはキュィィンという何かのチャージ音が聞こえていた。間違いなくビームを発射する為の音だった。

「あのギルドマスターはそこまで悪い人じゃないし、そこまで警戒しなくてもいいんじゃないのか?」

「…………………………………………」

返事は無し、いつも通りだな。

あ、ハピのことも忘れてた。いつの間にかいなくなってたしあいつどこに行ったんだろ?端末で探してみるか。一応、ハピも端末を持ってる筈だからGPS機能で…………何でこの世界にGPS機能があるのか分からないけど探してみよう。

あ、隣の部屋にいるのか。もしかしたらギルドマスターの孫と遊んでるのかもしれない。まぁ、ハピとメジェドさんは蚊帳の外だったもんな。暇になるのは仕方ない。

あーあ、後どれくらいで会員証的な物は出来るのかな?

「でけた」

「え、何その訛りは」

しかも五分も満たないうちに帰ってきた。仕事が早いですね。

「馬鹿にしないで、訛りを直すのに12年かかった」

「その情報はいらなかった…………」

それは長いのか短いのか、多分標準語だけで生きてきた俺には分からない。

それで、謎のカードを俺に差し出してきた。どれどれ、何が書かれてるんだろう?


名前・喧嘩屋
職業・テイマー
ランク・4


「おい、俺の名前は喧嘩屋じゃないぞ」

「むしろ、本名を知られない方がいい。本名は短い呪詛の元になる。だから、ギルドのメンバーはほぼ全員偽名」

「なるほどな」

どこで喧嘩屋って名を知られた、いや、捕まえた奴らから脅せば聞き出せるか。まあ、別にいいか。喧嘩って言葉だけで近寄りがたくなるからな。

職業のテイマーはともかく、ランクが気になるな。ランク4と言うのは上なのか下なのかよく分からない等級だな。

「ランクに不満?」

「いや、そもそもこのランクが高いのか低いのか分からない」

「そのランクは上の中くらい」

そうか、簡単に言うと『Sランク・Aランク・Bランク・Cランク・Dランク』のうち、俺はAランクという訳か。

それにしても結構質素なカードだな。経費削減の為なのかよく分からないが、そんなのを気にすることもないな。

それなりに高いランクにつけてくれたから俺は満足だ。それじゃあ試しの狩りに、

「登録初日には依頼を受けられない」

「そうか、明日に出直すとするか」

見透かされたのは恥ずかしかったけど、今日の宿でも探すか。

「待って」

今度は何だよ。まだ何か言いたいのか?

「10ゴールド、カード制作費」

…………流石にタダでやるとは言わないか。

「ほい、10ゴールドだ。また何か話があるなら明日にしてくれ」

「分かった」

もう明日までは話しかけてこないだろう。よし、部屋からも出たから、後はハピを呼び戻すか。端末から電話をかけたら戻ってくるかな?

とりあえず、通話をタップ。


プルルルル、プルルルル、プぶちっ


また間違えて切ったな。でも、なんかバタバタ聞こえるからすぐに戻ってくる、

「ご主人様のハイピクシー、ハピはただいま戻りました!」

おかえりなさい。それじゃあ明日の予定をたてなければならないから宿を取らないとな。

「ハピ、宿を探すか。俺から離れるなよー」

「了解しました!」

「…………………………………………」

なぜ私には声をかけない、と言いたそうな目で不可視の守護者は無視して宿を探そう。残ったお金は184ゴールド、これで1人と1匹+α、いや2人+αが安く泊まれる所を探そう。

あ、ギルドマスターに聞けばよかったかな?今更聞きに行くのもアレだし自力で探そうか。
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