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とにかく面倒な奴
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宿屋の前に立たせたアルがトラブルに巻き込まれたという事で直行したが…………
「おい、言葉の一つは喋れよー。知識高いってわかってんだぞー」
「シュコー…………シュコー…………」
あの時にアルと少しいい戦いをやってた女、ロザリーがアルの脛をゲシゲシと蹴っていた。
何してんのあいつ?つーか、昨日の今日だから骨折した時のギプスみたいなのつけてるのに元気だなおい。
しかもアルに話しかけてるのに完全に無視されてるのは周りの目からしてちょっとかわいそうな子を見る感じになっている。
とりあえず、喧しいし帰ってもらうか。
「おい、そこのヴァルキリーの方」
「聞ーいーてーんーのーかー!」
「おい、そこのアホ」
「誰がアホだゴラァ!」
そこはきっちり反応するのかよ。あいつの怒声で周りもザワザワしてる。
その中で「やっぱりあのキレやすさはロザリーさんだよな」とか「ロザリー様に向けてアホなんて言葉をかけるなんて!」とかいう声が聞こえた。
有名な奴は厄介だ。ちょっと関わるだけで無駄に有名になる奴もいるからな。例えば今そのアホに話しかけてる俺とか。
「おう、お前喧嘩屋だな」
「うん、帰れ」
「ち、ちゃんと話しかけたのに次の言葉が帰れとか人としてどうなのか!?」
「人の使い魔の脛を蹴ってたやつが言う口か」
そう言ったらすぐに顔を背けやがった。こいつ、あの時に直接しばきあげとけばよかった。
とりあえず、お帰りになってほしいのが現状。どう言いくるめられるかねぇ。
「まあ用件だけなら聞いてやる」
「リベンジし」
「せめて怪我を治してから言え」
最後まで言わせるつもりはなかった。この大怪我したバトルジャンキーはアルとの再戦を望んでいる。
腕にギプスつけたまま戦うってか?あの時の時点でボコボコにされたのにまた戦うか。
「ただの馬鹿だろ」
あ、つい口から出てしまった。
「ばっ!馬鹿でもアタシは筋肉馬鹿だ!」
「それを自分で言ってて悲しくならないか?」
「周りの評価もそうなんだから仕方ないだろ!」
ちょっと泣きそうになってるぞ。やっぱり悲しくなっていたんだな。
「シュコー…………シュコー…………」
「まーまー、怪我が治ったら話を聞いてやるからとりあえず帰れ」
「話なら今聞けよ。それくらいなら骨折ってたってできるだろ?」
そういうとこには頭が回るんだな。やれやれ、聞くだけ聞こう。まだめっちゃ目立ってるからな。
ん、待てよ?話ってリベンジの事じゃないか?
「話ってリベンジの事じゃ」
「そうだぞ?」
何言ってんだこいつみたいな顔をして言ってきやがった。殴りたいこの真顔。
「帰れ。お前にも家族がいるだろう」
「あぁん?アタシの親はアタシに強くなるまで帰ってくんなって言われてんだよ。まだ帰るつもりもねぇしな!」
なぜドヤ顔で言うんだ。こいつの保護者はどこにいるんだよ。ついでにハピと金時もでち公もどこにいる?本当に姿が見えないんだけど。
「シュコー…………シュコー…………」
そして相変わらずアルの表情は分からないな。流石に主人としてそれくらい分かるようにしたいな。
「ほらほら、帰れ帰れ」
「くぅ、帰るかぁ!せめてこいつに一戦報いてから!」
ボロボロの女がどう足掻こうともアルに勝てる訳がない。実際、アルに対して数発打ち合えただけでもかなり評価できるのにさらに力を求めるか。
俺には理解しがたいな。
いや、俺も肉体的にはかなり強い方だ。トラックに轢かれようがマシンガンの弾幕にさらされようが空から降ってきたロードローラーが直撃しようが一切傷つかない肉体だ。
しかも、一切鍛えていないというね。太らないし痩せすぎない、しかも完全に引き締まっていい筋肉をしているんだ。
卑怯、という言葉は甘んじて受ける。だってこれは俺の肉体だからな。
その代わりと言ってはなんだが、俺には技術が無い。柔は剛を制すと言うが、まさに俺がその剛なのだ。柔の敵はいくらでもいたが俺に敵う奴はいなかった。だが、いつかは出るだろうな。
っと、話が逸れた。ロザリーとかいう奴の対処だ。アルには悪いが、アルと戦う約束をする事でで済ませよう。
とりあえず、いざという時に用意してた羊皮紙とペンを端末から出してっと。
「とりあえず、アルと戦う約束はする」
簡易な契約書的なものを書きつつ言う。ロザリーがジト目で俺を見てくるがふと疑問を抱く目になった。
「それどこから出したんだ」
「秘密だ。とりあえず戦闘訓練的なのでいいよな?」
そんな会話をしている間に契約書を書き終えた。俺のサインを入れてっと。
「ほれ、これやるから帰ってサインした上で持ってこい」
「これ契約書作ってたのかよ。無駄に律儀だなおい」
「ちゃんと契約書読んでサインしてこいよ。怪我治すまで絶対に受け取らないからな」
「分かった!すぐにマリー姉ちゃんにサインしてもらってから来るぜ!」
「人の話聞いてた!?」
俺の言葉を最後まで言う前にダッシュで走り去っていった。はぁ、ああいうタイプの馬鹿は困る。
まあ、実はあの契約書なんてただの紙切れだがな。
怪我を治してこいとは言ったがいつやるかの期限を20年後にしておいてやった。
ちゃんと契約書を見て持っていかないからだ。ちゃんと気づいてくれたら消してやったのに。ああいう奴は詐欺に引っかかりそうだ。
「シュコー…………シュコー…………」
「すまんなアル。面倒なことに巻き込むことになって」
「シュコー…………シュコー…………」
アルは首を横に振ったが本当のところはどうなんだろうか?テイムしたからこそ絶対に従わなければならないという呪いみたいなのが存在して無理矢理うんと言わせてるのかもしれない。
ま、そこら辺は知ることもできないけどな。
さて、いつまであのアホをごまかせるか分からないけどギルドに戻って依頼を探るか。
「おい、言葉の一つは喋れよー。知識高いってわかってんだぞー」
「シュコー…………シュコー…………」
あの時にアルと少しいい戦いをやってた女、ロザリーがアルの脛をゲシゲシと蹴っていた。
何してんのあいつ?つーか、昨日の今日だから骨折した時のギプスみたいなのつけてるのに元気だなおい。
しかもアルに話しかけてるのに完全に無視されてるのは周りの目からしてちょっとかわいそうな子を見る感じになっている。
とりあえず、喧しいし帰ってもらうか。
「おい、そこのヴァルキリーの方」
「聞ーいーてーんーのーかー!」
「おい、そこのアホ」
「誰がアホだゴラァ!」
そこはきっちり反応するのかよ。あいつの怒声で周りもザワザワしてる。
その中で「やっぱりあのキレやすさはロザリーさんだよな」とか「ロザリー様に向けてアホなんて言葉をかけるなんて!」とかいう声が聞こえた。
有名な奴は厄介だ。ちょっと関わるだけで無駄に有名になる奴もいるからな。例えば今そのアホに話しかけてる俺とか。
「おう、お前喧嘩屋だな」
「うん、帰れ」
「ち、ちゃんと話しかけたのに次の言葉が帰れとか人としてどうなのか!?」
「人の使い魔の脛を蹴ってたやつが言う口か」
そう言ったらすぐに顔を背けやがった。こいつ、あの時に直接しばきあげとけばよかった。
とりあえず、お帰りになってほしいのが現状。どう言いくるめられるかねぇ。
「まあ用件だけなら聞いてやる」
「リベンジし」
「せめて怪我を治してから言え」
最後まで言わせるつもりはなかった。この大怪我したバトルジャンキーはアルとの再戦を望んでいる。
腕にギプスつけたまま戦うってか?あの時の時点でボコボコにされたのにまた戦うか。
「ただの馬鹿だろ」
あ、つい口から出てしまった。
「ばっ!馬鹿でもアタシは筋肉馬鹿だ!」
「それを自分で言ってて悲しくならないか?」
「周りの評価もそうなんだから仕方ないだろ!」
ちょっと泣きそうになってるぞ。やっぱり悲しくなっていたんだな。
「シュコー…………シュコー…………」
「まーまー、怪我が治ったら話を聞いてやるからとりあえず帰れ」
「話なら今聞けよ。それくらいなら骨折ってたってできるだろ?」
そういうとこには頭が回るんだな。やれやれ、聞くだけ聞こう。まだめっちゃ目立ってるからな。
ん、待てよ?話ってリベンジの事じゃないか?
「話ってリベンジの事じゃ」
「そうだぞ?」
何言ってんだこいつみたいな顔をして言ってきやがった。殴りたいこの真顔。
「帰れ。お前にも家族がいるだろう」
「あぁん?アタシの親はアタシに強くなるまで帰ってくんなって言われてんだよ。まだ帰るつもりもねぇしな!」
なぜドヤ顔で言うんだ。こいつの保護者はどこにいるんだよ。ついでにハピと金時もでち公もどこにいる?本当に姿が見えないんだけど。
「シュコー…………シュコー…………」
そして相変わらずアルの表情は分からないな。流石に主人としてそれくらい分かるようにしたいな。
「ほらほら、帰れ帰れ」
「くぅ、帰るかぁ!せめてこいつに一戦報いてから!」
ボロボロの女がどう足掻こうともアルに勝てる訳がない。実際、アルに対して数発打ち合えただけでもかなり評価できるのにさらに力を求めるか。
俺には理解しがたいな。
いや、俺も肉体的にはかなり強い方だ。トラックに轢かれようがマシンガンの弾幕にさらされようが空から降ってきたロードローラーが直撃しようが一切傷つかない肉体だ。
しかも、一切鍛えていないというね。太らないし痩せすぎない、しかも完全に引き締まっていい筋肉をしているんだ。
卑怯、という言葉は甘んじて受ける。だってこれは俺の肉体だからな。
その代わりと言ってはなんだが、俺には技術が無い。柔は剛を制すと言うが、まさに俺がその剛なのだ。柔の敵はいくらでもいたが俺に敵う奴はいなかった。だが、いつかは出るだろうな。
っと、話が逸れた。ロザリーとかいう奴の対処だ。アルには悪いが、アルと戦う約束をする事でで済ませよう。
とりあえず、いざという時に用意してた羊皮紙とペンを端末から出してっと。
「とりあえず、アルと戦う約束はする」
簡易な契約書的なものを書きつつ言う。ロザリーがジト目で俺を見てくるがふと疑問を抱く目になった。
「それどこから出したんだ」
「秘密だ。とりあえず戦闘訓練的なのでいいよな?」
そんな会話をしている間に契約書を書き終えた。俺のサインを入れてっと。
「ほれ、これやるから帰ってサインした上で持ってこい」
「これ契約書作ってたのかよ。無駄に律儀だなおい」
「ちゃんと契約書読んでサインしてこいよ。怪我治すまで絶対に受け取らないからな」
「分かった!すぐにマリー姉ちゃんにサインしてもらってから来るぜ!」
「人の話聞いてた!?」
俺の言葉を最後まで言う前にダッシュで走り去っていった。はぁ、ああいうタイプの馬鹿は困る。
まあ、実はあの契約書なんてただの紙切れだがな。
怪我を治してこいとは言ったがいつやるかの期限を20年後にしておいてやった。
ちゃんと契約書を見て持っていかないからだ。ちゃんと気づいてくれたら消してやったのに。ああいう奴は詐欺に引っかかりそうだ。
「シュコー…………シュコー…………」
「すまんなアル。面倒なことに巻き込むことになって」
「シュコー…………シュコー…………」
アルは首を横に振ったが本当のところはどうなんだろうか?テイムしたからこそ絶対に従わなければならないという呪いみたいなのが存在して無理矢理うんと言わせてるのかもしれない。
ま、そこら辺は知ることもできないけどな。
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