究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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主戦派との対立

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「喧嘩屋、相手が誰か分かった」

先日に起きた俺の泊まってる宿の部屋爆破事件での犯人はこちらでも特定していた。

しかし、何故かギルドマスターから犯人が分かったという発言を聞いて俺は驚いた。

「へぇ、犯人が分かったって誰だったんだ?まさか、貴族とか言わないだろうな」

「申し訳ないけど、そのまさか」

「こちらからも追っ手を出してたとはいえ、昨日の今日でギルドでも犯人が特定できるってどんだけ甘いんだよ」

「同感。でも、相手が思った以上に、厄介」

最後の厄介と言った時はギルドマスターは隠しもせずに渋い顔をして言った。まあ、相手が相手だからな。

犯人は『ユーリーチン家』という貴族の家だ。今現在進行形で魔族との戦いの最前線における重鎮である。その当主が俺にちょっかいをかけてきたのだ。

おそらくだけど、ギルド『ヴァルキリー』との戦いで俺に目をつけたとしか俺からは言えない。

ちなみに、情報源はメジェドさんとハピのタッグだ。ハピは風魔法で気配をかなり落とせるし、メジェドさんは無力化を得意としている。

そしてハピが盗みのスキルで金庫から書類を抜き取り端末で写真を撮って俺にメールで送ってきたという訳だ。

なんか面倒な傭兵団を雇ってたりお抱えのエリート暗殺集団で俺を殺ろうとかなんとか。

しかし、ハピが偶然盗み聞きした話だと暗殺集団の方はユーリーチンから離れるというのを聞いたらしい。

完全にこの街に俺を中心とした波乱が起こってきたな。

「しかし、動機がいまいちわからん。何か分かったことはあるか?」

これは俺の嘘だ。動機は知っているがギルドがその情報をちゃんと持ってるのか合わせてみるのを確かめるのだ。

「主戦派のユーリーチン氏は、テイマーをよく思ってない。彼はテイムした魔獣を、一切認めてない。それに、喧嘩屋は非常に強い魔獣をテイムしている、それが理由」

「それは憶測で言ってるのか?」

「いや、ここだけの話、本人から聞いた」

「本人って、ユーリーチン家の当主がか?」

「…………それなりの、付き合いはあるけど、今回はおかしい」

「おかしいも何も、本人から聞くなんざおかしすぎるだろ。自分のギルドに入ってるのにちょっかいを出されたら困るのは、ギルドマスター、分かってるんだろ?」

「元々、ユーリーチン氏は、テイマーを消すべきだと、強く主張している。そんなこと、簡単じゃないのに、裏で粛清を、行ってる可能性も出てきた。そんな矢先にこれ…………」

これは黒確定ですわー。ソコソコの噂も立ってただろうけど、俺は依頼で駆除ばっかりやってて出払ってたから噂にゃ無縁に近いんだよな。

しかも、本人がやってるという事をギルドマスターが直接本人から聞いたとなると、事情が複雑に絡んでくる。

「テイマーで不審死したのは、うちでも何人かいた、けど、それもやったって…………」

「……………………」

ギルドマスターの悲しそうな顔を見ると何とも言えなくなる。あの時、ギルドマスターの孫が人質に取られた時もギルドの冒険者は一致団結して取り返そうとしていた。

相当な絆と信頼があるんだ。それに、家族に近い親愛も。

そんな中で仲間を殺したと公言されたら?普通は激怒するに決まっている。

だけど、今は相手が悪すぎる。戦争が終わればいいだけの話だが、最前線で活躍する貴族が現状の黒幕だ。

ギルドだけでなく国が、人類が脅かされるかもしれない。

「ったく、国王に直訴するしかないか?ま、戦争が終われば裁けると思うけど、何時に終わるか分かんねぇもんな」

「…………本当に、最悪」

恐らくだが、戦争が終わるまで俺はユーリーチン家当主から狙われるだろう。

俺は馬鹿じゃないからダイレクトに攻めて行きたくない。せめてネチネチしたような嫌がらせをして降格させて潰すのがいい。

権力と戦力はあっても頭が馬鹿だと厄介なんだよな。前線には有能な息子達がでてるってはなしだけど、はやく倒れて息子が当主継げよと言いたい。

「この件に関して、ギルド『フェニックス』から抗議を行い、ユーリーチン家に関わらないよう、御触れを出す」

「一種の経済制裁みたいなものか」

「ケイザイセイサイ?」

「こっちの話だ」

他のギルドでも抗議と経済制裁は行うつもりらしい。いくら前線で活躍してる家とは言っても、いつか音をあげて潰れるだろうな。

もしかしたらこの話は国王ににも伝わってるかもしれない。まあ、そう簡単に俺が呼び出される心配は無いだろう。

じゃあ、俺はそろそろ出るとするか。ギルドマスターと話すことは大体話したし、でち公が揉みくちゃにされてるだろうからな。

「ギルドマスター!ヤベェ事になった!」

ドアをバンと勢いよく開けて開けて一人の大男が入ってきた。しかも尋常じゃ無い勢いでドアをぶっ壊した。

「…………後で弁償」

「今は扉を気にしてるどころじゃねえ!ユーリーチン家が蜂起しやがった!もうすぐここにも兵が来るぞ!」

「「はぁっ?」」

思わずギルドマスターとハモってしまった。いやいやいや、昨日の今日で蜂起する普通?昨日の襲撃が失敗したからって兵を雇ってここまで攻めてくるか普通?んん?

「馬鹿な、これは反乱に近い」

「あの野郎がテイマーを消すとか言ってるんだ!喧嘩屋の事だろうけどあそこの当主はここまでするのかよ!?」

「…………ユータス、気でも狂ったのか」

「最前線に兵をやってるくせにここに兵をやるとは随分と戦力を持て余してるんじゃ無いか?」

「今、その皮肉は、いらない」

しかし、この街にアルはいない。今はダンジョンに戻してるし、今すぐ連れてくることはできない。

ハピと金時とでち公は大丈夫か?まだ兵は来てないけど不安だ。あ、メジェドさんはずっとここにいます。

「ギルドマスター!ここが戦場になるぞ!指示をくれ!」

「…………まず、戦えない者の避難誘導、そしてギルドの防壁を、全力で固めておいて」

「了解した!すぐ伝える!」

壊れた扉から走って男は出て行った。名前は知らない。というか今のユーリーチン家の当主ってユータスって言うんだな。

「「はぁ…………」

二人同時にため息を吐いた。仕方のないことだけど、俺がメインで狙われてるし、ギルドマスターはある程度の中をやってた相手が暴走し始めたんだ。

ため息も吐きたくなるわくそったれめ。

「…………小規模な戦争が起こる」

「もしかしたら他のギルドでも似たような騒ぎが起こってるんじゃ…………?」

「…………どうしよう」

ギルドマスターは頭を抱えている。さて、俺は今ここにいない3人(?)の使い魔を呼び戻して対策を立てよう。

はぁ、本当に何でこうなったんだ…………
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