究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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俺のダンジョンEX 入り口編

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この世界のダンジョンにはEXモードというものがある。それは隠された設定でありほとんどの者が知らない難易度だ。

例えるならレベル1のダンジョンがレベル5になるほど難易度が跳ね上がるくらいのモードで、その分宝箱から出てくる物が良いものになるという仕組みで釣るモードである。

スポーンから湧く魔物が亜種になりやすくなるという点もあり冒険者にとってレア素材をゲットできるチャンスというのもあって、EXモードと知らないとはいえ危険を顧みず挑戦する奴もいるとか。

当然ながらリスクもありEXモードにするにはダンジョンポイントを20万消費し、元に戻すのも20万ポイント消費してしまう。

相手が強敵であれば強敵であるほど撃退ポイントも多くなるが、今回のような軍勢ほどで来ないと元が取れない。そもそも今回で元が取れるかどうかすら怪しいところなのに…………

「やると言ったら問答無用でモノにしようとしてくるだろうな…………」

「ご主人様、大丈夫でしょうか…………」

「完全武装したアルは魔王が出るまでは大丈夫だろう。問題は物量で押されないかどうかだ」

ダンジョンを完全開放したことによって床が突然粘着質になって身動きが取れない上に天井の一部が落ちてくるという悪質なトラップも増える。

だが、行ってしまえばそれっきりでマップを覚えられたら犠牲は少なくなる。

それ故に犠牲を覚悟した特攻によって無理に攻略するということも可能なのだ。

マップが自動で変わるという設定もあるが、なちせダンジョンポイントの維持費が高すぎて割りに合わない。この機能使ってるダンジョンは取れ高あるのだろうか?

「主人、外ノ様子ハ見レナイカ?」

「今モニターに映してる…………は?」

モニターを出してダンジョンの入り口付近を映し出すと入り口の前で小さめの鍋を被り木の棒を振り回してるでち公がいた。

いやいやいや、お前何してんの!?木の棒で魔族に向けてブンブン振ってるけど甘くないからな!?ダンジョンのこと想ってる…………のかどうかは知らないけど!

『でちー!』

『将軍、なんか居ますけど』

『そこら辺にポイっと捨てたら良いだろう。戦闘力も無さそうだ。恐らく、ダンジョンを守ろうとしてるのだろうな』

『では、そこら辺に捨てますわ』

あいつは、えーと…………思い出した。ダンジョンの入り口の裏に仕込まれていた魔法陣で俺が魔王城に転移した時にいきなり襲いかかってきたやつだ。四天王出張ってんじゃん…………

『大人しくしてててでででで!?』

『…………なに?』

「…………えっ」

『でちちー!』

でち公の服の裾を掴んで投げ捨てようとした魔族の男に木の棒が当たった瞬間、一瞬で真っ黒焦げになり煙を吐いて倒れた。

俺にも何が起きたか分からなかったがでち公は勝利の雄叫びをあげた。まさか、でち公が役に立ってるだと?マスコットキャラとして役目がないでち公が役に立ってるだと!?

恐らく、でち公が持ってる木の棒は実は木の棒ではないと見た。なんかギャグ補正みたいなのがかかってるように見えるのは置いといて、一瞬で真っ黒焦げにして煙を吐かせたのは電撃系統のものだと思われる。

俺も低圧電流に弱いからなぁ。電は神のものとか言うけど割と合ってるかもな。

しかし、でち公は幹部すらやってくれるかもしれない。なんでか分からないがそんな気がしてきた!

でち公の戦いは始まった!そして3秒で終わった。

『恐らく、あの棒に何か仕込んでたのでしょう』

『よくやった。流石は魔王様が認めた者の配下、弱そうに見えたが一癖あるな』

『でちちー…………』

全身を包帯で巻かれている女性らしき声を持つ魔族がでち公を包帯でぐるぐる巻きにして縛り上げ、プラーンとそこにあった木の枝にぶら下げた。

文字通り瞬殺すぎて何も言えない。なんか知らんがさっきの不意打ちで俺の評価が上がったような気がするようなしないような…………

『では、攻略を開始する!内容はダンジョンマスターに聞かれる可能性があるためあらかじめ行った打ち合わせ通り動け!』

『『『『はっ!』』』』

なにぃ!?ここで油断しつつどう動くか聞けるかと思ったのは甘かったか。いや、これ絶対魔王がモニター見れること教えただろ?

まあ、様子を見る限り五人一組で来るようだ。まだ大量に残ってるが周りを警戒している。

軍勢と言えるほどだから人間に感づかれてもおかしくない為だろう。まあ、一組目は早めにリタイヤしてもらうがな。


ガコンッ


お、最初のトラップが発動したな。最初のトラップは階段に仕掛けてある。はっはっはっ、いつ誰がこの世の全てのダンジョンの階段が安全だと言ったかね?

入り口から見えなくなるほどで階段が滑り台になり滑って行く先に落とし穴があるのサ!

「先発組は引っかかったみたいですよ!」

「初見殺し要素だからな。まだまだ初見殺しはあるぞ?」

そして落とし穴に大量のスライムが落ちてきて足掻こうとしても身動きが取れなくなった魔族の方々。そのままスライムに溺れて意識を失ったのか動かなくなった。

端末が鳴って討伐ポイントが入ったのを確認する。割としょっぱい…………

簡単に撃退してしまったが、こっちから見たら侵略して来てるのだからそれくらいの覚悟はして来てるはずだ。

奴の事だから俺は殺そうとしないだろう。それでも俺は誰かさんに任された以上、ここを育てなきゃいけないからな。意識を失った魔族をダンジョンマスターの権限によって外に放り出す。

「外の反応は?」

「現在、突然転移サレタコトニヨリ軽イぱにっく状態ダ。指揮官ガ冷静ナ以上、スグニ収マルダロウ」

「罠に気づいた様子は?」

「マダナサソウダ。我ノ予想デハ三組目ニ気ヅカレルトミタ」

「そんくらいかぁ」

時が来れば隠しキャラとして四層目にメジェドさんを配置させる予定だ。ギミックとして見えない壁の役割だが、真性の悪人の心臓は容赦なく食べていいと伝えている。

もし、それで死人が出たとしてもメジェドさんの事を説明したら納得するだろう。勝手な思い込みだが奴なら信じそうだ。

実はEXモードの罠の仕込みは全て俺がやった。ぶっちゃけEXモードの恩恵なんて魔物が強くなるくらいだ。

魔族の王よ、ここから先は地獄だぞ?少なくとも普通のダンジョンの常識は通用しない世界だ、ついてこれるか?
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