究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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俺のダンジョンEX 第一層目

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「ふぅむ…………」

この度、ある人間が所有しているダンジョンを攻略するために四天王であるバガンという武者鎧のような鎧を着た魔族が派遣されていた。

バガンは見た目通り武士であり戦いを義として活躍している猛者だ。此度のダンジョン攻略も戦いの一つである。

ダンジョン攻略を開始してまだ三十分も経っていないが既に二組がリタイアとなった。原因はダンジョンマスターが仕掛けた罠によるものだ。

液体生物、通称スライムは攻撃力はあまり持っていない。紙装甲と言われるほどの防御力を持つ者になら通るかもしれないが、そんな奴が冒険者をやる事はない。

それに、強制転移で戻ってきた者はまだ意識を取り戻していない。ただ、しっとりとしているという報告からスライムにやられたのは間違いない。

「しかし、どうやったらスライムに負ける?叩き切れば一瞬のはずだが」

「恐れながら一層に入る瞬間にスライムで溺れたという可能性は?」

「スライムで溺れてるなんぞ聞いたことが…………あ」

そこで彼は主人が言ってたことを思い出した。


『此度のダンジョンは魔物の調教や罠の設置は妾も関わっておる。さ、皆の者頑張るのだぞ!』


一瞬で理解できた。自由すぎる人我らの魔王が関わってるなら常識が通用しない。勝手にペットとして火龍を無理矢理連れて行こうとするわ老害を問答無用で消しとばしたりするわ…………

戦闘馬鹿と言われたバガンでも思い出すだけで嫌になる程の事後処理を四天王がしたのは言うまでもない。何故あれが魔王になったのかずっと疑問に思っていた。

魔王が出来る仕組みは体にある文様が浮かべば魔王になる素質があり、複数いた場合戦って勝ったほうが魔王になるというシステムだ。

強者は正義とはまさにこの事だ。そう考えていたが今はそれはどうでもいい。

「特別警戒だ。今までのダンジョンと思うと足元をすくわれるぞ」

「では、彼らがどうしてこんなに早く強制転移されたのかは…………」

「恐らくだが階段にでも罠を仕掛けていたのだろう。あの魔王はスライムで溺れるかと呟いてたのを覚えてる。このダンジョンでやったのだろうな」

半ば信じられないかもしれないが、それくらいしか思い付かない。彼が頭の中で思い浮かべられる同僚のバカはアッサリと見抜いてしまいそうだ。

「罠も我々の想定よりはるかに多いだろうな。最終階層になるまで少しづつ人員を送り続けろ」

「了解しました」

それから数回のうちに入り口の罠を回避する手段を見つけ、本当の意味でダンジョン攻略が始まった。




~●~●~●~●~

 


「流石にもう突破されたかぁ」

モニターで階段がすべり台になり落とし穴へ直行という罠を超えられるのを確認した。少し遅いんじゃないかなと思ったが、こんなものか。

第一層は天井からスライムがポンポン降ってくるステージと言っていいだろう。スライムはぶっ叩くと体積が減って生命維持ができなくなるが、素手だと液体だから中々触れられないという謎仕様なんだよな。

おっと、そう言ってるうちにまた一組脱落だ。上から落ちてきたスライムに口と鼻を覆われて窒息して瀕死状態にされて強制転移、と。

まだ強制転移のシステム作動させてるだけマシだよな。他のダンジョンならそのまま死ぬだけなんだから。

「…………主人、我ハドウシテモ気ニナルノダ」

「ん?何が気になってるんだ?」

「多分ですけど、ご主人様が出れば一瞬で終わりますよね?だってご主人様ならどかーん!と大地を裂くほどの力があると思うんですよ」

「同感ダ。ぽいんとガ欲シイトシテモ相手ヲ挑発シテだんじょん内ニ誘イコミ戦エバ済ム話ダ」

そんなこと言われてもなぁ、絶対に勝てるとは言えないし。

「今、弱気なこと考えてますよね?」

「サラッと心を読んだか?」

「読んでませんよ。大体、この前の反乱でしたっけ?その時とアッサリ連れてかれたそうじゃないですか!」

怒ったように耳元で叫ぶハピに驚きを隠せなかった。いつ何処で『ハルピュイア』のギルマスに抱えられたのを知ったのかは知らないが、マジおこみたいな感じで言われるのは初めて見た。

え、いや?どうせ俺も関わってたことだし強い奴こそ行くべきだったはずだ。当然のことだと思ってるんだが…………

「ソレニツイテハ同意見ダ。頼マレタ事ガ無イ人間ノヨウニ思エル。がちゃニ入レラレル前ニモ似タヨウナ者モイタガ…………」

「あの鬼畜外道魔王の事もそうですよ!何で部屋まで用意しちゃうんですか?さっさと追い出せばいいものを…………頼まれたら何でもしちゃうんですか!?」

「いや、頼まれた事だし」

「それがおかしいんです!」

えっと、なんか全面的に悪いような気がしてきたぞ。別に頼まれたからって犯罪まがいのような悪い事はするつもりもないし、そこら辺はきっちり仕分けてるつもりなんだが。

なんかメジェドさんの目も俺を非難してるようにしか見えなくないような…………まるで意味が分からないぞ。

まあ、向こうの世界で俺が頼られるなんてほぼ無かったせいかな?そんくらいしか理由が思いつかない。

働こうにも様々な妨害工作されてこの年まで無職だった訳だが、ダンジョンマスターという職を顔も知らない人に与えられて舞い上がってる、のか?

「嗚呼、これ完全に無自覚だ…………」

「マッタク、困ッタ主人ダ。ソレナリノ傲慢ダガソレニ合ウホドノ、イヤ、下手スレバソレ以上ノ力ヲ持ッテルカラたちガ悪イ」

色々と酷い事を言われてるが、それは後で考えよう。おっと、そろそろ第一層が突破されそうだ。

まあ、第一層目なんてチュートリアルみたいなもんだからな。本番は第二層目からの高度な知能持ちになってしまったウルフ達の連携だ。

それを仕込んだのは全部魔王だから恨むなよ。

「流石に自覚させなきゃいけませんよ…………」

「我々デナントカスルシカナイ。時間ヲカケテデモヤルノガ指名ナヨウナ気ガシテキタ」

「…………………………………………」

うちの者三人(?)が囲んで何か話してるが今はこっちの様子を見てみる。

『はぁ……はぁ……迷ったら終わりだったな。地図製作持ってて助かったぜ』

『宝箱取る時間も無かった、これ超高難易度じゃないか…………』

『でもやりがいがあるよね。参加した者は後で褒賞もらえるし』

『次の階層に行くぞ。また階段に罠があるかもしれないから気をつけろ』

『ええ』『おう』

こいつらは四人で一組で入ってきて初めて二層目に入ってきた。今度は知能の高いウルフ地獄だ。

ぼちぼち亜種とか混じってるはずだから攻略も大変だろう。それに狭い通路だから大きめの武器は使いづらいため小回りの効く武器になる。

ウルフも小回りが利くからレベル差が無ければ難しい相手だろう。

まだ二層目は初見だからすぐ脱落するだろうけど、向こう側の人数からして夜通し行われる可能性が高い。

それまでに人間側が干渉しなきゃいいけど…………

戦いはまだ始まったばかり、魔王軍の侵攻と俺達の防衛はまだまだ続く。
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