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逸脱
寂寞
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翌週から
夜勤前には
神城邸へ寄り
清人の様態を
確認する久我は
食事を摂取し
体温も上がり血色も良く
痩けていた頬も
僅かばかり膨らむ清人に
ホッと
胸を撫で下ろす
夜勤明けの
早朝五時にも
神城邸へ寄りたいのだが
清人の心血を考え
期待を懐かせるよりは
清人の心情負担が少ない
自宅直帰を選んだ
久我なりの
慎重な行動だった
一時間程 雑談し
夜勤へ出掛ける
久我を見送り
清人はシンクの中へ
珈琲カップを
水に浸した状態で
風呂へ向かった
なるべく久我に
心配を掛けたくない清人は
必死に食事を摂取するが
吐き気が治まらず
幾度も嘔吐いては
嘔吐を堪え続け
長風呂に浸かる事で
心身共に 軽減する疲労感を
癒していた
浮力のある浴槽から上がると
細身の清人ですら
重力が掛かり
ドライヤーで
髪を乾かすだけで
体力を奪われる
振らつく脚取りで
キッチンへ戻り
テレビを付けた清人は
蛇口を捻り
水に浸したカップを洗う
僅かな数分間
玄関のドアが開く音を
聴き逃していた
半袖短パンの寝間着に
薄手のロングガウンを羽織り
いつもの様に
調理台の椅子へ腰掛け
壁に寄り掛かり
暇潰しに買った本を
読み始めた瞬間
フロアへ立ち尽くす
人影に気づいた清人は
全身が凍り付いた
白髪混じりの整った髪に
銀縁眼鏡を掛けた
スラリとした背広姿の
中年男性は
立ち尽くしたまま
清人の姿を眺め続け
ゆっくりと
近寄って来る
清人の傍まで
脚を止める事なく
歩み寄る男性は
清人の脚元に跪き
左側へ傾け組んだ
清人の脚に触れた
そのまま 清人の脚を
摩り続ける男性は
脚に頬を寄せ
唇を這わせる
組んでいた脚が
自然に外れ
左脚の脹脛を
両手で優しく抱え上げた男性は
愛おしそうに
清人の脚の指を
一本づつ丁寧に
口へ含んでは咥え舐めた
そして
透き通る滑らかな
柔肌の内腿を舌先で辿り
清人の腰に手を回す男性は
膝まづいた姿勢のまま
清人の腹へ顔を埋め
噎び泣く
清人は静かに 躰を屈め
男性の頭を 両腕で包み込み
優しく抱き寄せ
「隆一さん」
男性の名を呼んだ
躰を震わせ噎び泣く
神城隆一は
幾度も 嗚咽を漏らし
「…清乃」
清人の母親の名を
呟き
とめどなく
溢れ出る涙が
優しく微笑む清人の頬を
流れ落ちた
脚を組み座る姿は
まるで映し鏡の様に
清乃の姿を生き写す
小林が 激怒し
注意し続けた意味を
漸く理解した清人は
小林との約束を
守れなかった
罪の深さを知り
母親の身代わりを渇望し
自ら御霊を父親へ捧げていた
清乃の血を引継ぐ者として
夜勤前には
神城邸へ寄り
清人の様態を
確認する久我は
食事を摂取し
体温も上がり血色も良く
痩けていた頬も
僅かばかり膨らむ清人に
ホッと
胸を撫で下ろす
夜勤明けの
早朝五時にも
神城邸へ寄りたいのだが
清人の心血を考え
期待を懐かせるよりは
清人の心情負担が少ない
自宅直帰を選んだ
久我なりの
慎重な行動だった
一時間程 雑談し
夜勤へ出掛ける
久我を見送り
清人はシンクの中へ
珈琲カップを
水に浸した状態で
風呂へ向かった
なるべく久我に
心配を掛けたくない清人は
必死に食事を摂取するが
吐き気が治まらず
幾度も嘔吐いては
嘔吐を堪え続け
長風呂に浸かる事で
心身共に 軽減する疲労感を
癒していた
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重力が掛かり
ドライヤーで
髪を乾かすだけで
体力を奪われる
振らつく脚取りで
キッチンへ戻り
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蛇口を捻り
水に浸したカップを洗う
僅かな数分間
玄関のドアが開く音を
聴き逃していた
半袖短パンの寝間着に
薄手のロングガウンを羽織り
いつもの様に
調理台の椅子へ腰掛け
壁に寄り掛かり
暇潰しに買った本を
読み始めた瞬間
フロアへ立ち尽くす
人影に気づいた清人は
全身が凍り付いた
白髪混じりの整った髪に
銀縁眼鏡を掛けた
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立ち尽くしたまま
清人の姿を眺め続け
ゆっくりと
近寄って来る
清人の傍まで
脚を止める事なく
歩み寄る男性は
清人の脚元に跪き
左側へ傾け組んだ
清人の脚に触れた
そのまま 清人の脚を
摩り続ける男性は
脚に頬を寄せ
唇を這わせる
組んでいた脚が
自然に外れ
左脚の脹脛を
両手で優しく抱え上げた男性は
愛おしそうに
清人の脚の指を
一本づつ丁寧に
口へ含んでは咥え舐めた
そして
透き通る滑らかな
柔肌の内腿を舌先で辿り
清人の腰に手を回す男性は
膝まづいた姿勢のまま
清人の腹へ顔を埋め
噎び泣く
清人は静かに 躰を屈め
男性の頭を 両腕で包み込み
優しく抱き寄せ
「隆一さん」
男性の名を呼んだ
躰を震わせ噎び泣く
神城隆一は
幾度も 嗚咽を漏らし
「…清乃」
清人の母親の名を
呟き
とめどなく
溢れ出る涙が
優しく微笑む清人の頬を
流れ落ちた
脚を組み座る姿は
まるで映し鏡の様に
清乃の姿を生き写す
小林が 激怒し
注意し続けた意味を
漸く理解した清人は
小林との約束を
守れなかった
罪の深さを知り
母親の身代わりを渇望し
自ら御霊を父親へ捧げていた
清乃の血を引継ぐ者として
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