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懲戒
罹患
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部屋のドアを開け
篠崎の脚が止まる
流し台の下に
虚ろな目で倒れている
清人の姿が
酷く痩せ細り
骨張る手脚は
紐の切れた
操り人形の様に見え
僅か二ヶ月の間に
窶れる清人が
別人に成り変わっていた
テーブルへ置かれた
弁当を見る限り
食事を与えている物証があり
故意に食事を拒否するにしては
度が過ぎている
毎日 顔を合わす関には
痩せてゆく変化を
見抜けぬ程
数週間掛け
日に日に
衰弱していったのだろうか
清人の頭元へ屈む篠崎は
鼻穴に こびりつく
乾いた白い外用薬に気付き
清人の服を弄り
青い蓋の容器を見つけた
白い外用薬の
匂いを嗅ぐ篠崎は
マリファナが練り込まれた
皮膚を通じ吸収する
興奮剤だと解り
短期間に摂取した
THCの急性中毒の可能性が高く
若年者の清人には
効能が強く現れ
精神異常を引き起こしていた
パニックに陥る状況の中
性行為を営み
ホテルから関の部屋まで
帰り着いた清人
虚ろな眼をした清人は
重い瞼を 何度も閉じ掛け
その都度 片手がピクリと動く
僅かに残る清人の意識が
崩れた精神には屈さない
意地を張り続ける
篠崎は言葉を選び
清人の意地に賭けた
「仕事だ 清人」
細く長い腕を
床へ突き立て
上半身を持ち上げる清人は
流し台の端を掴み
躰を引き摺り上げ立ち上がった
「行くぞ」
壁に手を押し当て
靴を履く清人は
玄関先に落ちた傘を拾い
儀式的に傘を差し
篠崎の後を追う
清人の歩ける速度に合わせ
自社ビルから数分程の
和風スナック[小夜子]へ
連れ立った
清人の傘を
清人から引き離し
傘を閉じ店へ入る篠崎は
既に入店している客に
料金は いらないと告げ
退席を願い廻り
垂らした前髪で顔を隠す
清人を卓席へ座らせ
清人の様態を見る客達は
篠崎の申し出を飲み
次々と席を立ち店を出て行った
客を見送るママは
看板を消し
篠崎の卓席へ座り
「連絡してくれたら
帰しておいたのに」
省く手間を愚痴るママは
言葉とは裏腹に
笑みを浮かべ
「この子なのね
関ちゃんの同棲相手」
清人の前髪を指先で掬い上げ
蒼白い清人の顔を見て
小夜子ママは眼を細めた
「薬の急性中毒の可能性がある
今 正常な状態では無いが
残る程でも無いだろう
ただ飯が食えていない
何か食えそうなモノ
作ってくれ」
カウンターに腰を当て
腕組みする幸介は
篠崎へ質問を投げ掛ける
「薬の副作用的な断食?
それとも精神的な拒食?」
首を捻る篠崎は
痩せ細る清人の腕を眺め
「精神の方だろうな」
深い溜息を洩らす幸介は
髪を掻き上げ
暫く考え込み
「神経性無食欲症だと
食べる事事態を拒否するから
作ってみるけど
厳しいかもね」
厨房へ幸介の姿が消え
ソファー椅子へ凭れ
腕を組み項垂れる篠崎
「まだ諦めないで パパ」
小夜子ママは
低体温の清人の頬を
両手で包み
優しく撫で続けていた
篠崎の携帯が鳴り
席を立つ篠崎に
無言で相槌を打つママは
清人を引き受け
篠崎を外へと送り出した
篠崎の脚が止まる
流し台の下に
虚ろな目で倒れている
清人の姿が
酷く痩せ細り
骨張る手脚は
紐の切れた
操り人形の様に見え
僅か二ヶ月の間に
窶れる清人が
別人に成り変わっていた
テーブルへ置かれた
弁当を見る限り
食事を与えている物証があり
故意に食事を拒否するにしては
度が過ぎている
毎日 顔を合わす関には
痩せてゆく変化を
見抜けぬ程
数週間掛け
日に日に
衰弱していったのだろうか
清人の頭元へ屈む篠崎は
鼻穴に こびりつく
乾いた白い外用薬に気付き
清人の服を弄り
青い蓋の容器を見つけた
白い外用薬の
匂いを嗅ぐ篠崎は
マリファナが練り込まれた
皮膚を通じ吸収する
興奮剤だと解り
短期間に摂取した
THCの急性中毒の可能性が高く
若年者の清人には
効能が強く現れ
精神異常を引き起こしていた
パニックに陥る状況の中
性行為を営み
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帰り着いた清人
虚ろな眼をした清人は
重い瞼を 何度も閉じ掛け
その都度 片手がピクリと動く
僅かに残る清人の意識が
崩れた精神には屈さない
意地を張り続ける
篠崎は言葉を選び
清人の意地に賭けた
「仕事だ 清人」
細く長い腕を
床へ突き立て
上半身を持ち上げる清人は
流し台の端を掴み
躰を引き摺り上げ立ち上がった
「行くぞ」
壁に手を押し当て
靴を履く清人は
玄関先に落ちた傘を拾い
儀式的に傘を差し
篠崎の後を追う
清人の歩ける速度に合わせ
自社ビルから数分程の
和風スナック[小夜子]へ
連れ立った
清人の傘を
清人から引き離し
傘を閉じ店へ入る篠崎は
既に入店している客に
料金は いらないと告げ
退席を願い廻り
垂らした前髪で顔を隠す
清人を卓席へ座らせ
清人の様態を見る客達は
篠崎の申し出を飲み
次々と席を立ち店を出て行った
客を見送るママは
看板を消し
篠崎の卓席へ座り
「連絡してくれたら
帰しておいたのに」
省く手間を愚痴るママは
言葉とは裏腹に
笑みを浮かべ
「この子なのね
関ちゃんの同棲相手」
清人の前髪を指先で掬い上げ
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「薬の急性中毒の可能性がある
今 正常な状態では無いが
残る程でも無いだろう
ただ飯が食えていない
何か食えそうなモノ
作ってくれ」
カウンターに腰を当て
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篠崎へ質問を投げ掛ける
「薬の副作用的な断食?
それとも精神的な拒食?」
首を捻る篠崎は
痩せ細る清人の腕を眺め
「精神の方だろうな」
深い溜息を洩らす幸介は
髪を掻き上げ
暫く考え込み
「神経性無食欲症だと
食べる事事態を拒否するから
作ってみるけど
厳しいかもね」
厨房へ幸介の姿が消え
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「まだ諦めないで パパ」
小夜子ママは
低体温の清人の頬を
両手で包み
優しく撫で続けていた
篠崎の携帯が鳴り
席を立つ篠崎に
無言で相槌を打つママは
清人を引き受け
篠崎を外へと送り出した
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