クラスカースト頂点のギャルに復讐するためにリア充目指します

kitatu

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姉と服

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学校から帰ってから、部屋でクラスカーストを上げるにはどうすれば良いかじっくり考えた。さらに、ネットを駆使し、いかにすればクラスカーストを上げる事が出来るかねっとりと調べ上げた。その後。長時間の格闘の末、やっとの事で方針が決まった僕は、降り慣れた細くも広くもない階段をトトんと降りた。そして、開けっ放しにされたリビングに繋がる扉を抜けて、ぐてっとソファに沈み込むようにして小説を読んでいる女性に話しかけた。

「可愛い可愛い姉さん。ちょっとお金をかしてくれませんか?」

「ええ?いきなりどうしたのよ?」

 姉は、素早く小説を置いて体を起こして、慌てて僕の方に身体を向け答えた。
 下敷きにしていたパーマをあてた肩くらいまでの艶やかな黒髪は、いつもより乱れて荒ぶっている。その髪を直そうともしないところを見るとそれなりに驚いているのだろう。

「いや~姉さんなら、ちょっと頼めば貸してくれそうかなって」

「いや何!?なんでそんな甘く見られてんの!?」

「まあまあ。せっかく頼んでるんだから、札の一つもないのかい」

「いや、お茶の一つもださないのかい的な姑のノリでめっちゃクズい発言しないでよ!」

「もちろん、無利子でいいよ」

「それ、私が決めることだから!」

「実の弟から儲けを出そうなんて最低!」

「開口一番に姉からお金をむしろうとする弟なんて最低!」

「いや、まあ冗談なんだけどね」

「冗談じゃなかったら今後どうやって弟と付き合っていけばいいかわからなかったわよ......」

「もう、姉さんは冗談が通じないんだから。安心してよ。可愛い可愛いってところが冗談で他はほんとだよ」

「一番良いところだけが冗談じゃない!」

「ええええ!?姉さん。自分ことが可愛いと思ってたの!?」

「そうじゃないけど!」

 まあ実際、姉さんは弟の贔屓目なしにしても姉は可愛い。昔から、ホワイトデーでは、誰に渡した訳でもないのに逆チョコでいっぱいになった袋をサンタクロースのように担いで帰ってきたものだ。
 さて、それはともかく話を進めたいので、姉をからかうのもこの辺にしておこう。

「まあ、本当に冗談はこの辺にして。姉さんお金をかしてください」

「ええ。そこは、本当に冗談じゃないんだ……。なんで、お金に困ってるのよ。お小遣いが足りてないの?」

 姉さんが呆れたように尋ねてきた。

 僕は姉さんからお小遣いをもらっている。というのも、父は大企業のそこそこお偉いさんで、最近、海外の部門を担当するようになり、海外に住まざるを得なくなった。そして、母は家事がてんでダメな父についていき、僕たちもついて来るように提案されたが、今更海外で暮らしていく程の勇気がないため猛反対し、成人している大学生の姉さんが僕の面倒を見ることを条件に日本での暮らしを許された。
 だから、両親から振り込まれる生活費を管理するのも姉さんであるし、お小遣いをくれるのも姉さんである。
 姉さんは高校生の時にモデルをして、かなり稼いでいたにも関わらずにほとんど手をつけず、本当に必要なだけしか使ってないのである。そういうところを評価して、両親も安心して管理を任したのだろう。

「お小遣いが足りてるかどうかっていうのは難しい質問で、実際お小遣いが増えれば増えるほど嬉しいわけだから、そういう意味ではもちろん足りてないよ」

「おっけ。十分足りてるってことね」

「そんな酷いよ!」

「酷くないわよ!で、何に使うのにお金をせびってきたの?裕人がそんな事言うの初めてじゃない」

「それは、服を買おうと思ってね」

「ん?新しいゲームの名前?それともアニメの名前?ダメよ。ブルーレイBOXは高いんだから」

「ゲームでもアニメの名前でもないよ!それにブルーレイディスクを買うことを否定するのは実の姉でも許さない!確かに、この世の中、アニメを見るだけなら違法の動画から、専門の有料サイトまで安価で見る方法は山ほどあるよ!だけど、ファンとして自分を楽しませてくれたささやかなお礼として買うんだよ。これを買わないから制作会社にお金が落ちなくなるから買えって言ってるんじゃなくて、1ファンとしての気持ちなんだ!」

「そ、そうですか」

 突然、熱く語り始めた僕に、姉が若干引いてしまってる。
 ぐうっ、さっきネットで調べたオタクの悪いところが出てしまったようだ。クラスカーストを上げる上で直さないと。

「わかればよろしい。じゃなくって!服だよ!」

「弟がそんな趣味に目覚めていたとは。大丈夫、お金を払わなくても私がやって上げるよ。肘を曲げて横から打つだけでしょ。さあ、ほほを出して」

「それは、フックだよね!てか、弟相手にどこ殴ろうとしてるのさ!殴るにしてももうちょい痛くない場所あるでしょ!」

「ああ!わかった!流石の私でも免許なくて捌けないから、しっかりさばいてあるのにするのよ」

「それはふぐだから!じゃなくて、衣服、clothes!」

「えええええええ!?どうしたのよ!?悪いものでも食べた!?」

「ふぐやフックを買おうとしているときより驚きが大きいってのがすんごい不服なんだけど!」

「服だけに不服?」

「違うよ!」

「ふっふっふ!冗談よ!さっきからかわれたからね!」

「くッ」

 ぐぅ-!悔しい!絶対に今度からかい返してやる!
 でも、姉さんと同じこの考えにたどり着くし、昔から周りの人に『やっぱり姉弟ね。似てるね。』とか言われるのは、こういうところなのだろうか……

「で、なんでいきなり服が欲しいなんて言い出したの?」

 はあ。と一息ついて優しい目で僕のを目をまっすぐ見てくる姉に僕はおずおずと答える。

「いや~それは……言わなきゃだめ?」

「そりゃそうよ。服って高いんだから。ちゃんとした服を買おうとしたら、1着でゲーム3本じゃ足りないくらいするのよ」

「ええええ!?そんなにするの!?」

 ゲーム三本って安く見積もっても1万5000で足りないじゃないか⁉︎

「そうよ。それでも欲しいの?」

 姉の真剣な眼差しでまっすぐ僕を見つめてくる。しかし、僕はその眼差しから逃げることなく即答した。

「うん。それでも欲しい」

 僕は自分でも驚くほど決意が揺らがなかった事を確認した。そして、目的の為、姉に自分の決意を打ち明けることにした。
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