3 / 11
姉と服
しおりを挟む
学校から帰ってから、部屋でクラスカーストを上げるにはどうすれば良いかじっくり考えた。さらに、ネットを駆使し、いかにすればクラスカーストを上げる事が出来るかねっとりと調べ上げた。その後。長時間の格闘の末、やっとの事で方針が決まった僕は、降り慣れた細くも広くもない階段をトトんと降りた。そして、開けっ放しにされたリビングに繋がる扉を抜けて、ぐてっとソファに沈み込むようにして小説を読んでいる女性に話しかけた。
「可愛い可愛い姉さん。ちょっとお金をかしてくれませんか?」
「ええ?いきなりどうしたのよ?」
姉は、素早く小説を置いて体を起こして、慌てて僕の方に身体を向け答えた。
下敷きにしていたパーマをあてた肩くらいまでの艶やかな黒髪は、いつもより乱れて荒ぶっている。その髪を直そうともしないところを見るとそれなりに驚いているのだろう。
「いや~姉さんなら、ちょっと頼めば貸してくれそうかなって」
「いや何!?なんでそんな甘く見られてんの!?」
「まあまあ。せっかく頼んでるんだから、札の一つもないのかい」
「いや、お茶の一つもださないのかい的な姑のノリでめっちゃクズい発言しないでよ!」
「もちろん、無利子でいいよ」
「それ、私が決めることだから!」
「実の弟から儲けを出そうなんて最低!」
「開口一番に姉からお金をむしろうとする弟なんて最低!」
「いや、まあ冗談なんだけどね」
「冗談じゃなかったら今後どうやって弟と付き合っていけばいいかわからなかったわよ......」
「もう、姉さんは冗談が通じないんだから。安心してよ。可愛い可愛いってところが冗談で他はほんとだよ」
「一番良いところだけが冗談じゃない!」
「ええええ!?姉さん。自分ことが可愛いと思ってたの!?」
「そうじゃないけど!」
まあ実際、姉さんは弟の贔屓目なしにしても姉は可愛い。昔から、ホワイトデーでは、誰に渡した訳でもないのに逆チョコでいっぱいになった袋をサンタクロースのように担いで帰ってきたものだ。
さて、それはともかく話を進めたいので、姉をからかうのもこの辺にしておこう。
「まあ、本当に冗談はこの辺にして。姉さんお金をかしてください」
「ええ。そこは、本当に冗談じゃないんだ……。なんで、お金に困ってるのよ。お小遣いが足りてないの?」
姉さんが呆れたように尋ねてきた。
僕は姉さんからお小遣いをもらっている。というのも、父は大企業のそこそこお偉いさんで、最近、海外の部門を担当するようになり、海外に住まざるを得なくなった。そして、母は家事がてんでダメな父についていき、僕たちもついて来るように提案されたが、今更海外で暮らしていく程の勇気がないため猛反対し、成人している大学生の姉さんが僕の面倒を見ることを条件に日本での暮らしを許された。
だから、両親から振り込まれる生活費を管理するのも姉さんであるし、お小遣いをくれるのも姉さんである。
姉さんは高校生の時にモデルをして、かなり稼いでいたにも関わらずにほとんど手をつけず、本当に必要なだけしか使ってないのである。そういうところを評価して、両親も安心して管理を任したのだろう。
「お小遣いが足りてるかどうかっていうのは難しい質問で、実際お小遣いが増えれば増えるほど嬉しいわけだから、そういう意味ではもちろん足りてないよ」
「おっけ。十分足りてるってことね」
「そんな酷いよ!」
「酷くないわよ!で、何に使うのにお金をせびってきたの?裕人がそんな事言うの初めてじゃない」
「それは、服を買おうと思ってね」
「ん?新しいゲームの名前?それともアニメの名前?ダメよ。ブルーレイBOXは高いんだから」
「ゲームでもアニメの名前でもないよ!それにブルーレイディスクを買うことを否定するのは実の姉でも許さない!確かに、この世の中、アニメを見るだけなら違法の動画から、専門の有料サイトまで安価で見る方法は山ほどあるよ!だけど、ファンとして自分を楽しませてくれたささやかなお礼として買うんだよ。これを買わないから制作会社にお金が落ちなくなるから買えって言ってるんじゃなくて、1ファンとしての気持ちなんだ!」
「そ、そうですか」
突然、熱く語り始めた僕に、姉が若干引いてしまってる。
ぐうっ、さっきネットで調べたオタクの悪いところが出てしまったようだ。クラスカーストを上げる上で直さないと。
「わかればよろしい。じゃなくって!服だよ!」
「弟がそんな趣味に目覚めていたとは。大丈夫、お金を払わなくても私がやって上げるよ。肘を曲げて横から打つだけでしょ。さあ、ほほを出して」
「それは、フックだよね!てか、弟相手にどこ殴ろうとしてるのさ!殴るにしてももうちょい痛くない場所あるでしょ!」
「ああ!わかった!流石の私でも免許なくて捌けないから、しっかりさばいてあるのにするのよ」
「それはふぐだから!じゃなくて、衣服、clothes!」
「えええええええ!?どうしたのよ!?悪いものでも食べた!?」
「ふぐやフックを買おうとしているときより驚きが大きいってのがすんごい不服なんだけど!」
「服だけに不服?」
「違うよ!」
「ふっふっふ!冗談よ!さっきからかわれたからね!」
「くッ」
ぐぅ-!悔しい!絶対に今度からかい返してやる!
でも、姉さんと同じこの考えにたどり着くし、昔から周りの人に『やっぱり姉弟ね。似てるね。』とか言われるのは、こういうところなのだろうか……
「で、なんでいきなり服が欲しいなんて言い出したの?」
はあ。と一息ついて優しい目で僕のを目をまっすぐ見てくる姉に僕はおずおずと答える。
「いや~それは……言わなきゃだめ?」
「そりゃそうよ。服って高いんだから。ちゃんとした服を買おうとしたら、1着でゲーム3本じゃ足りないくらいするのよ」
「ええええ!?そんなにするの!?」
ゲーム三本って安く見積もっても1万5000で足りないじゃないか⁉︎
「そうよ。それでも欲しいの?」
姉の真剣な眼差しでまっすぐ僕を見つめてくる。しかし、僕はその眼差しから逃げることなく即答した。
「うん。それでも欲しい」
僕は自分でも驚くほど決意が揺らがなかった事を確認した。そして、目的の為、姉に自分の決意を打ち明けることにした。
「可愛い可愛い姉さん。ちょっとお金をかしてくれませんか?」
「ええ?いきなりどうしたのよ?」
姉は、素早く小説を置いて体を起こして、慌てて僕の方に身体を向け答えた。
下敷きにしていたパーマをあてた肩くらいまでの艶やかな黒髪は、いつもより乱れて荒ぶっている。その髪を直そうともしないところを見るとそれなりに驚いているのだろう。
「いや~姉さんなら、ちょっと頼めば貸してくれそうかなって」
「いや何!?なんでそんな甘く見られてんの!?」
「まあまあ。せっかく頼んでるんだから、札の一つもないのかい」
「いや、お茶の一つもださないのかい的な姑のノリでめっちゃクズい発言しないでよ!」
「もちろん、無利子でいいよ」
「それ、私が決めることだから!」
「実の弟から儲けを出そうなんて最低!」
「開口一番に姉からお金をむしろうとする弟なんて最低!」
「いや、まあ冗談なんだけどね」
「冗談じゃなかったら今後どうやって弟と付き合っていけばいいかわからなかったわよ......」
「もう、姉さんは冗談が通じないんだから。安心してよ。可愛い可愛いってところが冗談で他はほんとだよ」
「一番良いところだけが冗談じゃない!」
「ええええ!?姉さん。自分ことが可愛いと思ってたの!?」
「そうじゃないけど!」
まあ実際、姉さんは弟の贔屓目なしにしても姉は可愛い。昔から、ホワイトデーでは、誰に渡した訳でもないのに逆チョコでいっぱいになった袋をサンタクロースのように担いで帰ってきたものだ。
さて、それはともかく話を進めたいので、姉をからかうのもこの辺にしておこう。
「まあ、本当に冗談はこの辺にして。姉さんお金をかしてください」
「ええ。そこは、本当に冗談じゃないんだ……。なんで、お金に困ってるのよ。お小遣いが足りてないの?」
姉さんが呆れたように尋ねてきた。
僕は姉さんからお小遣いをもらっている。というのも、父は大企業のそこそこお偉いさんで、最近、海外の部門を担当するようになり、海外に住まざるを得なくなった。そして、母は家事がてんでダメな父についていき、僕たちもついて来るように提案されたが、今更海外で暮らしていく程の勇気がないため猛反対し、成人している大学生の姉さんが僕の面倒を見ることを条件に日本での暮らしを許された。
だから、両親から振り込まれる生活費を管理するのも姉さんであるし、お小遣いをくれるのも姉さんである。
姉さんは高校生の時にモデルをして、かなり稼いでいたにも関わらずにほとんど手をつけず、本当に必要なだけしか使ってないのである。そういうところを評価して、両親も安心して管理を任したのだろう。
「お小遣いが足りてるかどうかっていうのは難しい質問で、実際お小遣いが増えれば増えるほど嬉しいわけだから、そういう意味ではもちろん足りてないよ」
「おっけ。十分足りてるってことね」
「そんな酷いよ!」
「酷くないわよ!で、何に使うのにお金をせびってきたの?裕人がそんな事言うの初めてじゃない」
「それは、服を買おうと思ってね」
「ん?新しいゲームの名前?それともアニメの名前?ダメよ。ブルーレイBOXは高いんだから」
「ゲームでもアニメの名前でもないよ!それにブルーレイディスクを買うことを否定するのは実の姉でも許さない!確かに、この世の中、アニメを見るだけなら違法の動画から、専門の有料サイトまで安価で見る方法は山ほどあるよ!だけど、ファンとして自分を楽しませてくれたささやかなお礼として買うんだよ。これを買わないから制作会社にお金が落ちなくなるから買えって言ってるんじゃなくて、1ファンとしての気持ちなんだ!」
「そ、そうですか」
突然、熱く語り始めた僕に、姉が若干引いてしまってる。
ぐうっ、さっきネットで調べたオタクの悪いところが出てしまったようだ。クラスカーストを上げる上で直さないと。
「わかればよろしい。じゃなくって!服だよ!」
「弟がそんな趣味に目覚めていたとは。大丈夫、お金を払わなくても私がやって上げるよ。肘を曲げて横から打つだけでしょ。さあ、ほほを出して」
「それは、フックだよね!てか、弟相手にどこ殴ろうとしてるのさ!殴るにしてももうちょい痛くない場所あるでしょ!」
「ああ!わかった!流石の私でも免許なくて捌けないから、しっかりさばいてあるのにするのよ」
「それはふぐだから!じゃなくて、衣服、clothes!」
「えええええええ!?どうしたのよ!?悪いものでも食べた!?」
「ふぐやフックを買おうとしているときより驚きが大きいってのがすんごい不服なんだけど!」
「服だけに不服?」
「違うよ!」
「ふっふっふ!冗談よ!さっきからかわれたからね!」
「くッ」
ぐぅ-!悔しい!絶対に今度からかい返してやる!
でも、姉さんと同じこの考えにたどり着くし、昔から周りの人に『やっぱり姉弟ね。似てるね。』とか言われるのは、こういうところなのだろうか……
「で、なんでいきなり服が欲しいなんて言い出したの?」
はあ。と一息ついて優しい目で僕のを目をまっすぐ見てくる姉に僕はおずおずと答える。
「いや~それは……言わなきゃだめ?」
「そりゃそうよ。服って高いんだから。ちゃんとした服を買おうとしたら、1着でゲーム3本じゃ足りないくらいするのよ」
「ええええ!?そんなにするの!?」
ゲーム三本って安く見積もっても1万5000で足りないじゃないか⁉︎
「そうよ。それでも欲しいの?」
姉の真剣な眼差しでまっすぐ僕を見つめてくる。しかし、僕はその眼差しから逃げることなく即答した。
「うん。それでも欲しい」
僕は自分でも驚くほど決意が揺らがなかった事を確認した。そして、目的の為、姉に自分の決意を打ち明けることにした。
0
あなたにおすすめの小説
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる