18 / 20
17
しおりを挟む
日向は静かに涙を流し続けている。
その横顔が凄く儚くて綺麗だった。
……こんな顔をするようになったんだね。
あの頃はまだ日向は私を毛嫌いしていて全身から近寄るな、関わるなという雰囲気を漂わせていた。
表情もあまり変わらなくて、目すらも合わせない。
どうしてだと思う前に、私の何が嫌いなんだろうと思った。
私はよく人から嫌われていた。
男からも女からも……家族でさえも。
いつも学校では1人で、いつの間にか1人が当たり前になっていた。
それからはその環境も楽になった。
周りの反応を気にせずに過ごせるから。
怪我や痣があっても追及されることはない。
いつの間にか、感情も表に出すことがなくなっていた。
怖い、と言われた。
気持ち悪い、と言われた。
何故なのだろうか。
私から関わりに行くことはなかったじゃないか。
あなた達から関わって来ているでしょう?
怖いなら、気持ち悪いのなら私に関わって来るな。
…そんな生活はいつから始まっていたのだろうか。
……きっと、生まれた時からなのだろう。
そしていつからか、お母さんから手を上げられることがなくなった。
その理由はそれから1年くらい経った頃に理解した。
再婚のために私の怪我や痣を少しでも癒そうとしていたのだ。
だが怪我や痣は幼い頃からあるものだから完璧に消えることはない。
それをお母さんは元気な子で、と言って誤魔化していた。
そこで出逢ったのが日向。
日向を初めて見た時同じだと思った。
関わるなと全身で表すその様子に惹かれた。
知ってる?日向。
日向は私よりも先に好きになったと思っているけど私はあの出逢った日からずっと好きだったんだよ?
だから、確かに1人だけを愛すことは出来ないけど日向だけは別格。
だから、お願いだから日向、苦しまないでよ。
日向が不安がることはないんだよ。
………って、口で言ってないから分かんないよね。
ごめんね、日向。
私はこれを言うつもりはないの。
私はもう、戻れないところにいる。
情報屋のことは言ったけど、それと同時にまだ言ってないことがあるの。
……私は情報屋であると同時に、殺し屋でもある。
殺し屋の時の通り名がnight killer。
知る人ぞ知るっていう感じで、私に殺しの依頼が出来るのは紹介制。
情報屋のJokerと殺し屋のnight killerが同一人物だなんて誰も思わないでしょう?
それに私は、私情で人を殺した。
釈放されたお母さんを事故と見せ掛けて。
その時の驚いた顔は忘れられない。
今まで反抗したことがなかった私がそれをすることに驚いたのだろうか?
………皮肉なものよね?
身内同士での蹴落としなんて。
それの原因が日向に手を出したことだなんて。
私の大切なモンに手を出すことは誰で在ろうと許さない。
それが例えお母さん、家族だったモノとしても。
「日向、知ってる?お母さん、事故で死んだって」
「………え?」
私の唐突な質問に日向は首を傾げた。
あは、可愛い。
「お母さんって……あの?」
「そう、"あの"お母さん。随分前なんだけどねぇ、釈放されてすぐ事故ったんだって」
「そう、だったんですか。どうして知っているんですか?」
本当に驚いたらしくひなちゃんは涙が引っ込んでいた。
……本人は気付いていなさそうだけども。
ていうか、どうして知っているって…そりゃ私が犯人ですもん。
とは言えない。
だが、知ってとしても怪しまれないことをしている。
こういう時のために情報屋であることをバラしたんだよねぇ。
「ねぇ、ひなちゃん?私が誰か、忘れちゃった?私は世界トップの情報屋のJokerなんですが?」
「……………ぁ。」
本当に忘れていたらしくひなちゃんは気まずそうに視線を逸らした。
うーむ、最近私への扱い雑じゃない?
まさか存在が薄い?
いや、それはないだろう。
情報屋なんてことしているんだし。
「と、そろそろ蓮達帰って来る頃だねー。下に降りよっか?」
その横顔が凄く儚くて綺麗だった。
……こんな顔をするようになったんだね。
あの頃はまだ日向は私を毛嫌いしていて全身から近寄るな、関わるなという雰囲気を漂わせていた。
表情もあまり変わらなくて、目すらも合わせない。
どうしてだと思う前に、私の何が嫌いなんだろうと思った。
私はよく人から嫌われていた。
男からも女からも……家族でさえも。
いつも学校では1人で、いつの間にか1人が当たり前になっていた。
それからはその環境も楽になった。
周りの反応を気にせずに過ごせるから。
怪我や痣があっても追及されることはない。
いつの間にか、感情も表に出すことがなくなっていた。
怖い、と言われた。
気持ち悪い、と言われた。
何故なのだろうか。
私から関わりに行くことはなかったじゃないか。
あなた達から関わって来ているでしょう?
怖いなら、気持ち悪いのなら私に関わって来るな。
…そんな生活はいつから始まっていたのだろうか。
……きっと、生まれた時からなのだろう。
そしていつからか、お母さんから手を上げられることがなくなった。
その理由はそれから1年くらい経った頃に理解した。
再婚のために私の怪我や痣を少しでも癒そうとしていたのだ。
だが怪我や痣は幼い頃からあるものだから完璧に消えることはない。
それをお母さんは元気な子で、と言って誤魔化していた。
そこで出逢ったのが日向。
日向を初めて見た時同じだと思った。
関わるなと全身で表すその様子に惹かれた。
知ってる?日向。
日向は私よりも先に好きになったと思っているけど私はあの出逢った日からずっと好きだったんだよ?
だから、確かに1人だけを愛すことは出来ないけど日向だけは別格。
だから、お願いだから日向、苦しまないでよ。
日向が不安がることはないんだよ。
………って、口で言ってないから分かんないよね。
ごめんね、日向。
私はこれを言うつもりはないの。
私はもう、戻れないところにいる。
情報屋のことは言ったけど、それと同時にまだ言ってないことがあるの。
……私は情報屋であると同時に、殺し屋でもある。
殺し屋の時の通り名がnight killer。
知る人ぞ知るっていう感じで、私に殺しの依頼が出来るのは紹介制。
情報屋のJokerと殺し屋のnight killerが同一人物だなんて誰も思わないでしょう?
それに私は、私情で人を殺した。
釈放されたお母さんを事故と見せ掛けて。
その時の驚いた顔は忘れられない。
今まで反抗したことがなかった私がそれをすることに驚いたのだろうか?
………皮肉なものよね?
身内同士での蹴落としなんて。
それの原因が日向に手を出したことだなんて。
私の大切なモンに手を出すことは誰で在ろうと許さない。
それが例えお母さん、家族だったモノとしても。
「日向、知ってる?お母さん、事故で死んだって」
「………え?」
私の唐突な質問に日向は首を傾げた。
あは、可愛い。
「お母さんって……あの?」
「そう、"あの"お母さん。随分前なんだけどねぇ、釈放されてすぐ事故ったんだって」
「そう、だったんですか。どうして知っているんですか?」
本当に驚いたらしくひなちゃんは涙が引っ込んでいた。
……本人は気付いていなさそうだけども。
ていうか、どうして知っているって…そりゃ私が犯人ですもん。
とは言えない。
だが、知ってとしても怪しまれないことをしている。
こういう時のために情報屋であることをバラしたんだよねぇ。
「ねぇ、ひなちゃん?私が誰か、忘れちゃった?私は世界トップの情報屋のJokerなんですが?」
「……………ぁ。」
本当に忘れていたらしくひなちゃんは気まずそうに視線を逸らした。
うーむ、最近私への扱い雑じゃない?
まさか存在が薄い?
いや、それはないだろう。
情報屋なんてことしているんだし。
「と、そろそろ蓮達帰って来る頃だねー。下に降りよっか?」
0
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる