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第61話 三人の刺客
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「ノジャ。仲直りしよう」
俺たちはギルドに帰った。その足で、ロビーのソファにいるノジャの所へ来た。
「伊吹? どういうことじゃ? わしのことは許さなくてもいいのじゃよ」
「俺が怒っているのは、ノジャが辛くなるまで黙っていたことだよ。話してくれて、ありがとう。ノジャとの旅は楽しかったよ」
俺はなんだか照れてしまい、捲し立てるように言ってしまった。
ノジャは立ち上がり、俺を見上げる。
「ノジャも、俺との旅が楽しくて黙っていたんだろ?」
「そうじゃが」
「……ノジャが黙っていてくれなかったら、こんな体験できなかった。全部良い思い出とは言わないけれど、ノジャと一緒にいられて良かったよ」
「伊吹」
ノジャは涙目になり、涙を拭うように、目を擦った。
「すまない……すまない。伊吹。わしがきちんと家まで送り届けるから、嫌いにならないでほしいのじゃ」
「嫌いになるなんて言ってないだろ。それに、元の世界に返すだけで良いから。家には一人で帰るって」
その言葉の後、ノジャは俺に抱きついて、わんわんと泣いた。
「仲直りできて良かったな」
アキラと皐月にそう言われた。
ノジャは俺と離れたくないのか、俺の後ろから顔を出して、服の裾を握っている。
「ああ、ありがとう。二人のおかげだよ」
「俺は何もしてない」
「俺も」
皐月とアキラはそう言いつつ、二人で顔を見合わせた。
「真似すんな!」
「お前こそ!」
喧嘩が始まりそうになった時、杏奈がやってきた。
「アキラ!」
「やあ、杏奈! 久しぶりだね。元気にしていたかい?」
「元気よ。アキラも元気そうじゃない」
杏奈はいつもと同じような対応をしていた。アキラが言っていた恋人っていうのは、皐月がいう通り冗談だったようだ。
「伊吹、ノジャ。これからどうするか話そうと思っていたのよ」
杏奈は俺とノジャの方を見た。にこりと笑い、食堂に行きましょうと言う。
その時、地鳴りがした!それはどんどん大きくなり、建物が震える。
「な、なんだ!」
「これは……」
杏奈やアキラ、皐月は辺りを見渡す。
ノジャの、俺の裾を掴む力が強くなる。
「刺客か?」
俺がそう言うと、杏奈は頷いた。
「本気で来たのかも」
俺たちが外に出ると、ギルドの前に三人いた。
ボブヘアーのアカツキと、俺を窓から連れ出したオレンジ色の長髪の人と、黒髪に青みがかかった背の高い人がいた。
「あんたは……」
俺は、オレンジ色の長髪の人をじっと見つめた。
「生きていたんだね。いや、ギリギリ殺さないようにしてしまったのかな」
「コノヨ……」
ノジャはその人の方を向いて、そう呼んだ。
「そのお姿なのですね」
黒髪の背の高い人がそう言って、前に出た。三人の中心にいる人だ。
「白銀の神様。我々の神様」
やっぱり、神様なのか。
ノジャを見ると、震えていた。怖いのだろうか。それとも……。
「そろそろ殺されてくれませんか?」
背の高い人は、後ろに背負っていた大きな剣を手に持つ。
アカツキは炎を出し、コノヨと呼ばれていた人は格闘技の構えのようなポーズをとった。
「ヨミ。この者たちには危害を加えるな」
ノジャは俺から離れて、前に出た。
「ああ。我々の神様。そうは行きませんよ」
ヨミと呼ばれた背の高い人は、杏奈たちを見る。
「彼らはあなたを差し出さない」
「杏奈! わしのことは良いのじゃ。もう」
「良くない! なんでかは知らないけれど、殺されそうになっている友だちを放っておけるわけない」
「杏奈……」
ノジャは俯く。俺はそんなノジャの手をとった。
「俺たちは邪魔になるから、少し下がろう」
「……うん」
「何を」
ヨミは声を発した。その声は震えていた。
「何をしているのだ。我々の神様に無礼にも触れるとは、なんたることだ!」
「そんなこと言っている場合なのか?」
アキラはそう言いながら、いつの間にか抜いていた……どこからか出した剣を握って、ヨミに切り掛かっていた。
ヨミは大きな剣でそれを受ける。
「邪魔なやつめ!」
俺たちはギルドに帰った。その足で、ロビーのソファにいるノジャの所へ来た。
「伊吹? どういうことじゃ? わしのことは許さなくてもいいのじゃよ」
「俺が怒っているのは、ノジャが辛くなるまで黙っていたことだよ。話してくれて、ありがとう。ノジャとの旅は楽しかったよ」
俺はなんだか照れてしまい、捲し立てるように言ってしまった。
ノジャは立ち上がり、俺を見上げる。
「ノジャも、俺との旅が楽しくて黙っていたんだろ?」
「そうじゃが」
「……ノジャが黙っていてくれなかったら、こんな体験できなかった。全部良い思い出とは言わないけれど、ノジャと一緒にいられて良かったよ」
「伊吹」
ノジャは涙目になり、涙を拭うように、目を擦った。
「すまない……すまない。伊吹。わしがきちんと家まで送り届けるから、嫌いにならないでほしいのじゃ」
「嫌いになるなんて言ってないだろ。それに、元の世界に返すだけで良いから。家には一人で帰るって」
その言葉の後、ノジャは俺に抱きついて、わんわんと泣いた。
「仲直りできて良かったな」
アキラと皐月にそう言われた。
ノジャは俺と離れたくないのか、俺の後ろから顔を出して、服の裾を握っている。
「ああ、ありがとう。二人のおかげだよ」
「俺は何もしてない」
「俺も」
皐月とアキラはそう言いつつ、二人で顔を見合わせた。
「真似すんな!」
「お前こそ!」
喧嘩が始まりそうになった時、杏奈がやってきた。
「アキラ!」
「やあ、杏奈! 久しぶりだね。元気にしていたかい?」
「元気よ。アキラも元気そうじゃない」
杏奈はいつもと同じような対応をしていた。アキラが言っていた恋人っていうのは、皐月がいう通り冗談だったようだ。
「伊吹、ノジャ。これからどうするか話そうと思っていたのよ」
杏奈は俺とノジャの方を見た。にこりと笑い、食堂に行きましょうと言う。
その時、地鳴りがした!それはどんどん大きくなり、建物が震える。
「な、なんだ!」
「これは……」
杏奈やアキラ、皐月は辺りを見渡す。
ノジャの、俺の裾を掴む力が強くなる。
「刺客か?」
俺がそう言うと、杏奈は頷いた。
「本気で来たのかも」
俺たちが外に出ると、ギルドの前に三人いた。
ボブヘアーのアカツキと、俺を窓から連れ出したオレンジ色の長髪の人と、黒髪に青みがかかった背の高い人がいた。
「あんたは……」
俺は、オレンジ色の長髪の人をじっと見つめた。
「生きていたんだね。いや、ギリギリ殺さないようにしてしまったのかな」
「コノヨ……」
ノジャはその人の方を向いて、そう呼んだ。
「そのお姿なのですね」
黒髪の背の高い人がそう言って、前に出た。三人の中心にいる人だ。
「白銀の神様。我々の神様」
やっぱり、神様なのか。
ノジャを見ると、震えていた。怖いのだろうか。それとも……。
「そろそろ殺されてくれませんか?」
背の高い人は、後ろに背負っていた大きな剣を手に持つ。
アカツキは炎を出し、コノヨと呼ばれていた人は格闘技の構えのようなポーズをとった。
「ヨミ。この者たちには危害を加えるな」
ノジャは俺から離れて、前に出た。
「ああ。我々の神様。そうは行きませんよ」
ヨミと呼ばれた背の高い人は、杏奈たちを見る。
「彼らはあなたを差し出さない」
「杏奈! わしのことは良いのじゃ。もう」
「良くない! なんでかは知らないけれど、殺されそうになっている友だちを放っておけるわけない」
「杏奈……」
ノジャは俯く。俺はそんなノジャの手をとった。
「俺たちは邪魔になるから、少し下がろう」
「……うん」
「何を」
ヨミは声を発した。その声は震えていた。
「何をしているのだ。我々の神様に無礼にも触れるとは、なんたることだ!」
「そんなこと言っている場合なのか?」
アキラはそう言いながら、いつの間にか抜いていた……どこからか出した剣を握って、ヨミに切り掛かっていた。
ヨミは大きな剣でそれを受ける。
「邪魔なやつめ!」
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