【完結】イマジン 準備号〜仲間が強すぎるので、俺は強くならなくて良いらしい〜

夜須 香夜(やす かや)

文字の大きさ
66 / 77

第62話 刺客との戦い

しおりを挟む
 杏奈はコノヨと、アキラはヨミと、皐月はアカツキと対峙していた。
 杏奈とコノヨは素早く動きすぎて、ここからいなくなってしまった。大丈夫なのだろうか。
 俺はノジャを自分の後ろに移動させて、ギルドの壁際まで下がった。
 アキラとヨミは剣で斬り合っていて、お互い剣撃を受けないように避けたり、剣でいなしている。
 皐月はアカツキの炎の攻撃を避けるだけだ。様子を伺っているのだろうか。
「無理じゃ。戦うなんて、無理なのじゃ」
 ノジャは弱気になっている。
「そんな事言うなって」
「アカツキというやつは知らんが、ヨミとコノヨは別じゃ」
「知り合いなのか?」
「ヨミとコノヨはわしの近衛をしてくれていたのじゃ。わしの世界で、一番強いのはヨミじゃ。その次に続くのが、コノヨとアノヨだったのじゃ」
 ノジャの心配は杞憂な気がしていた。今まで、ギルドの人たちで弱いと感じた人たちはいなかった。力を見せていなかった人たち以外だが。
「アキラと皐月ではダメじゃ……」
「そうなのか?」
 見た感じだと、互角くらいに見えるし、皐月は攻撃すらしていない。
「わしは神だからわかる」
 ノジャは俺の服の裾を強く握る。
「ヨミだけはダメじゃ」
 そう言われ、俺はアキラとヨミの方を見た。
 押されているように見えた。アキラは後ろに下がりながら、ヨミの剣撃を受けている。
 ノジャの言う通りなのか?
「この世界の人は強くないな」
 ヨミはそう言って、大剣でアキラを吹き飛ばした。
「ぐ……」
 アキラは壁に叩きつけられる前に、剣を地面に突き刺して、後退しないようにした。アキラは跪く。
 アキラの剣はボロボロで、もう戦えるようには見えなかった。
「これじゃ、ダメか」
 アキラは立ち上がり、体の前で両手を合わせた。
 すると、そこが青く光り輝く。
 大きな十字架のようなものが現れた。細く長い棒の上の方に、それよりも短い棒がクロスするように付き、その交点に宝石のような玉が付いていて、棒の先端全てにも同じような玉が付いていた。赤、青、緑……玉は様々な色をしている。
「ライダンスの杖ならどうだ?」
 アキラはその棒を杖を言った。杖を左右に振り回してから、剣のように構える。
「それで何が変わる! どけ!」
 アキラは再び、ヨミと対峙した。
 杖を使って、剣撃を避ける。杖には浮遊する力があるのか、杖を支点にアキラは宙を舞う。
「飛び回るだけか!」
 ヨミはイライラしているのか、声を荒げる。
 戦いの合間にも、ヨミはこちらを気にしているようだった。たまに目が合うと、睨んでくる。
「ああ! やかましい!」
 ヨミの剣はだんだん荒々しくなってくる。
 アキラはそれを縫うように動き、ヨミの目の前まで現れた。
「大技過ぎてなかなか当たらないんだ」
 アキラはそう言って、杖の先端をヨミの腹に当てる。
「雷撃! ライトニング!」
 そう叫ぶと、ヨミの体から電が走った。
「ぐああああああ!」
 ヨミは白目をむき、膝をついた。
「ヨミ!」
 ノジャは叫んで、身を乗り出す。
「こ、殺してしまったのか!」
 ノジャは俺の方を向く。
「さすがにそれはないんじゃないか」
 アキラはヨミの方を見たまま後退りする。
 電撃を受けて、動けなくなったヨミを見ているようだった。
「どうする?」
 アキラはこちらを振り向き、ノジャに問いかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...