悪役転生〜主人公に全てを奪われて追放される踏み台悪役貴族に転生した〜

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主人公と悪役貴族と幼馴染

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「えッ!? えッ!? 本当に、ローランですかッ?!」
「そうだよッ!」
「ほ、本当に……」

 困惑した様子のアリシア。
 
「風呂ぐらい入ったらどうなんだ……お前はいつもそんな不衛生な格好をしているのか?」
「貴様ッ!」
 
 呆れたように言う、俺をローランは敵意を剥き出しにして睨みつける。

「一体、ど、どうしたんですか……、その格好は……?」
「なんで、なんで……、コイツと……ッ! アリシアがッ!」

 わなわなと震えながら、怒鳴り声をあげるローラン。

「ま、まずは少し落ちついてはどうでしょうか?」
「そうだぞ。少し落ち着くのだ。俺のような大人の落ち着きがお前には足らん」
「なんでだ……ッ! なんで……ッ! コイツがここに……ッ!」

 ローランは言葉を上手く紡げず吃り続けている。

「ロ、ローラン、本当にどうしたのですか?」
「……まずは落ち着いて風呂にでも入れ」
「早くッ! 早くッ! ここから逃げて……ッ! コイツから逃げて……ッ!」
「な、何を言って……」

 ――俺は、格好良くクールに去る筈なのに、こいつのせいで、台無しではないか……。
 
「いいから聞いて、コイツは……悪党なんだッ!」
「悪党? あのレクスさんがですか?」
「そうだよッ!(レクス? あれ、その名前どこかで)」
「全く……、失礼な奴だ。俺のような超良い人をつかまえて」
「ろ、ローラン……レクスさんはそんなに悪い人では……、悪党は言い過ぎでは?」
「いいや、こいつは悪なんだ……」
「……悪だと? 俺は外見だけではなく、内面までもイケメンなのだ。なぁ……?」

 アリシアに俺は視線で訴えかける。
 何故だろうか、とてもローランの言葉に俺はイラついていた。
 徹夜明けのせいだろうか。
 だが、この体になってから俺の体は疲れ知らずだ。
 やはり、コイツを前にすると俺はどこかで感情のザワつきを感じる。

 「え……? えと……(本当にちょっとどうしたら良いのか分かりません……ッ!)」

 俺とローランの顔を交互に見るアリシア。

「アリシアに話しかけるなッ! この悪党ッ!」
「そんなのは、俺の勝手だ。何故、お前に命令されなければならない……」
「ろ、ローラン……ッ! 過去に何があったのかは知りませんが……一度落ち着いて話合ってみては……?」

 仲裁に入ろうとするアリシアだが、

「そんな事できるわけがないッ!」
「ちゃ、ちゃんと話してみないと……」
「だって――ッ!」
「分からない事も……」
「――だって、コイツは……ッ! この男はぁ!!! 僕のッ!! 僕の目の前で、無理やり女の子を攫ったんだぁ! 酷いことをするためにぃ!」
「え……?(――嘘。)」 

 ローランのその一言に、黙るアリシア。

「……酷い事? 確かに最初会った時は抵抗したが、サーシャは今では喜んで俺の言うとおりにしている。反抗だってしない。俺のやりたい事を率先してやってくれる……心が通じ合っているのかもな」
「貴様ッ! あの子に何をしたッ!」
「何、大したことは何もしていない。ちょっと金をやって、俺の素晴らしさを教えてやった。それだけの事さ……」
「この下衆がぁあッ!」
「えッ? えええッ…?(本当なんですか?)」

 激昂するローランに、動揺するアリシア。

「うるさい奴だな……さっきから……—サーシャの事なら心配するな、アイツとはうまくやっている」
「それで……ッ! 今度はアリシアか? アリシアを連れていくつもりなのか?  妾にするために……ッ!」
「いや……。そんなつもりはないな。俺はちょうど今帰るところだったん——」

 だぞ、と続けようとするが。

「え……妾? 妾って、それってなんですか……? ローラン……」

 話に割り込むアリシア。

「コイツがッ! コイツが自分の口で僕にそう言ったんだッ! アリシアはこのままいくと、こいつの妾になるってッ! そう言ったんだッ!」
「ほ、本当なんですか? わ、私がレクスさんの妾に……?」

 思わず口元に手を当てるアリシア。

「そうだよッ! だけどそんな事……。この僕がさせないッ!」
「……前にも言ったが、それは俺の本意では無いと。家のものが勝手に進めようとしているだけだ。権力で女を手に入れるなどというのは、俺のようなイケメンのやる事ではない」
「えーッ? えーッ!?」

 困惑するアリシア。

「聞けローラン。俺は、アリシアをサーシャの様に強引に連れて行くつもりなどはない」
「どの口が……この性悪貴族めが……ッ!」
「貴族……? 貴族って……レクスさんが貴族って事ですか?」
「そうだよッ! こいつはアリシアの事を狙っている性悪貴族なんだッ!」
「……俺は唯、アリシアの魔術の才能が開花するところを見たいだけだと言ったではないか……」
「あ、あの……――」

 アリシアが会話に入ろうとするが、

「ふざけるなッ! アリシアはもう魔術は使えないんだッ! お前だって知ってるだろッ!」
「――ッ!」

 その一言にアリシアは黙る。

「周りがそう思い込んでいるだけだ……。またどうせ使えるようになる」
「そんなのは不可能だッ!」
「いいや、不可能ではない」
「お前にそんな事分かるわけがないッ!」
「いいや、俺が出来ると言うんだからできるのだ」
「もう無理なんだッ!」
「無理ではない……」
「お前みたいな奴がいるから……ッ!」
「話にならんなローラン。ガッカリだ。俺は、お前はもっと夢を見れる男だと思っていたぞ?」
「待ってて……アリシア……、僕が今ここで、コイツを倒して終わりにする……ッ!」

 剣を振りかぶるローラン。

「なんだ? またやるのか? ついこの前。俺に負けたばかりではないか?」
「……この前とは違う……ッ! 僕は強くなったッ!」
「多少お前が強くなろうと、結果は変わらんと思うがな」
「行くぞ……、この悪党……ッ!」

 この世界の主人公と、踏み台悪役貴族の二戦目が始まる——
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