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春
5月
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あれから夏季は神田の店に通い続けている。大学のレポートを仕上げるという口実で、神田に会う為だ。
「いらっしゃい……お、神宮寺」
「こんばんは、神田くん。いつもの席、空いてる?」
「おう」
夏季は厨房に近い席に座って鞄からノートパソコンを取り出す。
「電気もらうね」
「ああ。注文はいつものでいいか?」
「うん。お願い」
「りょーかい」
暫くしてパソコンの隣に置かれたのは、ダージリンティーと季節のフルーツタルト。どちらも夏季の大好物である。夏季はコーヒーより紅茶が好きだ。神田はそれを葵に聞いてから、茶葉や淹れ方を研究したらしい。
「本当、お前には感謝だな」
「え?」
閉店後の手伝いは、いつの間にか習慣となっている。店全体の掃除をしながら神田と話していると、そのセリフが飛び出した。
「お前が来てくれるおかげで売り上げが上がったんだ。これでバイトも雇える」
「良かったじゃん!きっとこの店の魅力が伝わったんだよ」
神田はとても嬉しそうに頷いた。バイトを雇えるという事は、彼の負担が減ると言う事。これからもっと忙しくなるのだろう。
「でさ、今度来た時でいいんだけど、バイトの求人を出す時の決まりみたいなのがあったら教えてくれ。スマホで調べてもいいけど、法学部のお前のが詳しいだろうし、頼んでもいいか?」
「…いいよ。何なら作るの手伝う」
「本当か?サンキュ!」
弁護士を目指す夏季は、大学の誰よりも法律に詳しいと教授に言われている。それは買い被り過ぎだと本人は思っているが、その都度法学部特待生である事を持ち出されるので恥ずかしい。
「そういえば進藤から聞いたけど、お前特待生なんだってな」
「んぐっ…」
今まさに気にしている地雷を神田が踏んでしまった。夏季はまかないの柏餅を詰まらせ、慌てて水で流し込む。
「はぁ……」
「おい、大丈夫か?」
夏季は元凶である神田を涙目で睨みつける。だが効果はあまり無い。葵も一度同じ状況になった事があるが、そんな顔しても可愛いだけだと笑われた。きっと彼もそういう反応をするのだろう。
「悪かった。特待生なんて凄いなって意味で言ったんだが、嫌だったか?」
「…いや、別に……」
思ってた反応と違って拍子抜けしてしまった。夏季にとって、特待生なのは穴があったら入りたい程の恥ずかしさなのだ。そもそも夏季は目立つのが苦手なのに、どうして入試の法律問題で満点をとってしまったのか。その時の自分を殴ってやりたい。
「君の発言は嫌ではないのですが、もう特待生なんて言わないでください!すっごく恥ずかしいんです。穴があったら入りたい程なんですぅ!!」
「そこまで!?」
今度は神田が拍子抜けした。彼は純粋に凄いと思って言っただけなのは分かっている。分かってはいるが、当の夏季にとっては赤っ恥だった。神田は夏季に謝り倒し、その日はそこで解散した。
「ただいま…」
「おかえり、夏季」
「兄ちゃん!?」
夏季が帰宅すると、珍しくリビングに兄がいた。兄の奏は精神科医になるために、同じ大学の医学部に通っている。その為、普段はあまり顔を合わせない。
「勉強が一段落してね。久しぶりに夏季の顔を見ようと思って」
「……兄ちゃん。僕、好きな人ができた」
「本当?おめでとう」
「ありがとう。それでさ、その人喫茶店しててバイトを雇いたいみたいなんだ。その相談を弁護士を目指してる僕に頼みたいらしくて。今度家に呼ぶか僕が泊まるかしたいんだけど、良いかな?」
「ふふっ…好きにしたらいいよ。夏季はもう高校生じゃないんだし、自由にしていいんだよ。それに両親も海外で僕と二人だしね」
「ありがとう、兄ちゃん」
翌日。講義が終わると、夏季はすぐに神田の元に向かった。いつものようにレポートを終わらせ、軽く食事をして閉店を待つ。
「今日も手伝いありがとうな」
「いいよ、別に。いつもの事だし。あ、バイトの求人どこでする?明日は土曜で大学休みだから、時間の事は気にしなくていいよ」
「ありがとな。上が俺ん家だから、そこで。もう遅いから泊まっていけよ」
「わかった。ありがとう」
厨房の階段を上がって神田の家に着くと、リビングのソファに二人で座る。そして夏季がノートパソコンを取り出し、神田が近くのコンセントにプラグを繋ぐ。それを確認した夏季がノートパソコンを立ち上げ、途中まで作った求人票を見せる。
「求人票の見本はこんな感じ」
「おー、サンキュ。それで、決まりとかは?」
「そうだね。情報は出来るだけ正確に書いて。じゃないと職業安定法に違反する可能性があるんだ」
「わかった」
「あと、勤務時間は区切った方がいいよ。労働基準法を確認して一緒に考えよう?」
「おう!これは神宮寺に頼んで正解だったな」
「弁護士目指すならこれくらいは出来ないとって、思ったから」
「神宮寺はなんで弁護士になろうと思ったんだ?」
夏季は少し昔の記憶を手繰り寄せた。
「………僕の中学時代の友達さ、冤罪で捕まって前科ついて、未成年だから保護観察つけられたんだ」
「そうだったのか。ソイツはなんで冤罪に?」
「どっかの会社の社長が痴漢の罪を擦り付けたんだ。更にわざと転んで暴行だって言いがかりまで付けてさ」
夏季は順を追って話し始める。
「最低だな」
神田は顔も知らない友人の為に怒ってくれている。本当に彼は優しい男だ。
「彼が帰ってきた時、泣きながら抱きつかれたよ。信じてくれてありがとうって……それは、僕のセリフなのに……」
知らずの内に涙が溢れた。神田は泣きじゃくる夏季の頭を撫で、静かに口を開いた。
「お前はすげぇよ」
「……え?」
「普通はそこまで頑張れねぇよ。しかも進藤と和田に至っては、顔も知らない赤の他人を助けようとしたんだろ?尚更すげぇわ」
「本当に、僕には勿体無いくらい優しい友人たちだよ」
夏季は誇らしげに笑う。
「…神田くんは、どうして喫茶店を?」
神田は夏季の頭を撫でながら、自分がどうして喫茶店をやってるのかを話してくれた。
「じゃあ、ここは元々お父さんのお店だったんだ」
「ああ。で、今はお袋の入院代を稼いでる。でもじいちゃんばあちゃんも手伝ってくれてるし、親戚のおじさんおばさんも援助してくれてるからそこまで大変じゃねぇ」
「そっか。お見舞いは行ってるの?」
「明後日行く。定休日だし」
「そうなんだ」
ーーーああ、やっぱり彼が好きだ。
夏季は神田を直視出来ず、ノートパソコンを取り出して求人票を打ち込む。まずはレイアウトとフォントを決めて、喫茶店の名前と住所を打ち込む。
「おお、すげぇ…」
神田もすぐに気持ちを切り替えて覗き込んできた。
「はい、神田さんの名前打ち込んで」
「あー、苗字だけでいいか?」
「え?」
「やっぱ、俺にとっては親父の店なんだ。だから…」
「そういう事ならいいと思うよ。苗字だけでも問題はないし」
「ありがとな」
神田は苗字だけ打ち込んだ。
「後は採用人数と、仕事内容、雇用条件だね」
「おう」
神田はどんどん打ち込んでいき、夏季が法律と照らし合わせて確認していく。
「給与はちゃんと計算して。じゃないと職業安定法に引っ掛かる」
「悪い…」
「あとこれもアウト。勤務時間の表記は原則として実働8時間以内で、残業を含めない定時の勤務時間を記載すること。始業時間と終業時間を明記することが重要」
「おう」
その後も何度か突っ込まれながらなんとか求人票を完成させる。
「ふぅ…ありがとな、神宮寺。俺思ったより法律知らなかったな」
「皆そんなもんだよ。だから弁護士がいる」
「なるほど」
「じゃあこの求人票は僕の方で出しとくよ」
「おう、頼んだ。あ、面接の時お前も同席してくれないか?」
「元からそのつもりだよ。僕も片付けとか手伝ってる訳だし」
「ありがとな!」
その後はそれぞれお風呂に入り、神田は先に寝てしまった。夏季は求人票の最終チェックを済ませ、バイトの求人サイトにアップする。
翌朝。
「神宮寺……神宮寺起きろ」
「……ん…」
夏季は身体を起こし、伸びをする。
「なんですか、神田くん…」
「お前、こんな所で寝てたのかよ」
周りを見渡すと、どうやらローテーブルに突っ伏して寝ていたようだ。
「ああ、求人票をアップしてそのまま寝てしまったみたいですね。ご心配おかけしてすみませんでした」
「お、おう。お前寝ぼけてる時敬語になるんだな」
「そうみたいですね。顔洗ってきます」
夏季は歯磨きと洗顔を済ませてリビングに戻る。
「スッキリした~」
「おー、戻ってる」
「ん?」
その日は神田の作った朝食を食べ、店の事務作業を手伝った。
「いらっしゃい……お、神宮寺」
「こんばんは、神田くん。いつもの席、空いてる?」
「おう」
夏季は厨房に近い席に座って鞄からノートパソコンを取り出す。
「電気もらうね」
「ああ。注文はいつものでいいか?」
「うん。お願い」
「りょーかい」
暫くしてパソコンの隣に置かれたのは、ダージリンティーと季節のフルーツタルト。どちらも夏季の大好物である。夏季はコーヒーより紅茶が好きだ。神田はそれを葵に聞いてから、茶葉や淹れ方を研究したらしい。
「本当、お前には感謝だな」
「え?」
閉店後の手伝いは、いつの間にか習慣となっている。店全体の掃除をしながら神田と話していると、そのセリフが飛び出した。
「お前が来てくれるおかげで売り上げが上がったんだ。これでバイトも雇える」
「良かったじゃん!きっとこの店の魅力が伝わったんだよ」
神田はとても嬉しそうに頷いた。バイトを雇えるという事は、彼の負担が減ると言う事。これからもっと忙しくなるのだろう。
「でさ、今度来た時でいいんだけど、バイトの求人を出す時の決まりみたいなのがあったら教えてくれ。スマホで調べてもいいけど、法学部のお前のが詳しいだろうし、頼んでもいいか?」
「…いいよ。何なら作るの手伝う」
「本当か?サンキュ!」
弁護士を目指す夏季は、大学の誰よりも法律に詳しいと教授に言われている。それは買い被り過ぎだと本人は思っているが、その都度法学部特待生である事を持ち出されるので恥ずかしい。
「そういえば進藤から聞いたけど、お前特待生なんだってな」
「んぐっ…」
今まさに気にしている地雷を神田が踏んでしまった。夏季はまかないの柏餅を詰まらせ、慌てて水で流し込む。
「はぁ……」
「おい、大丈夫か?」
夏季は元凶である神田を涙目で睨みつける。だが効果はあまり無い。葵も一度同じ状況になった事があるが、そんな顔しても可愛いだけだと笑われた。きっと彼もそういう反応をするのだろう。
「悪かった。特待生なんて凄いなって意味で言ったんだが、嫌だったか?」
「…いや、別に……」
思ってた反応と違って拍子抜けしてしまった。夏季にとって、特待生なのは穴があったら入りたい程の恥ずかしさなのだ。そもそも夏季は目立つのが苦手なのに、どうして入試の法律問題で満点をとってしまったのか。その時の自分を殴ってやりたい。
「君の発言は嫌ではないのですが、もう特待生なんて言わないでください!すっごく恥ずかしいんです。穴があったら入りたい程なんですぅ!!」
「そこまで!?」
今度は神田が拍子抜けした。彼は純粋に凄いと思って言っただけなのは分かっている。分かってはいるが、当の夏季にとっては赤っ恥だった。神田は夏季に謝り倒し、その日はそこで解散した。
「ただいま…」
「おかえり、夏季」
「兄ちゃん!?」
夏季が帰宅すると、珍しくリビングに兄がいた。兄の奏は精神科医になるために、同じ大学の医学部に通っている。その為、普段はあまり顔を合わせない。
「勉強が一段落してね。久しぶりに夏季の顔を見ようと思って」
「……兄ちゃん。僕、好きな人ができた」
「本当?おめでとう」
「ありがとう。それでさ、その人喫茶店しててバイトを雇いたいみたいなんだ。その相談を弁護士を目指してる僕に頼みたいらしくて。今度家に呼ぶか僕が泊まるかしたいんだけど、良いかな?」
「ふふっ…好きにしたらいいよ。夏季はもう高校生じゃないんだし、自由にしていいんだよ。それに両親も海外で僕と二人だしね」
「ありがとう、兄ちゃん」
翌日。講義が終わると、夏季はすぐに神田の元に向かった。いつものようにレポートを終わらせ、軽く食事をして閉店を待つ。
「今日も手伝いありがとうな」
「いいよ、別に。いつもの事だし。あ、バイトの求人どこでする?明日は土曜で大学休みだから、時間の事は気にしなくていいよ」
「ありがとな。上が俺ん家だから、そこで。もう遅いから泊まっていけよ」
「わかった。ありがとう」
厨房の階段を上がって神田の家に着くと、リビングのソファに二人で座る。そして夏季がノートパソコンを取り出し、神田が近くのコンセントにプラグを繋ぐ。それを確認した夏季がノートパソコンを立ち上げ、途中まで作った求人票を見せる。
「求人票の見本はこんな感じ」
「おー、サンキュ。それで、決まりとかは?」
「そうだね。情報は出来るだけ正確に書いて。じゃないと職業安定法に違反する可能性があるんだ」
「わかった」
「あと、勤務時間は区切った方がいいよ。労働基準法を確認して一緒に考えよう?」
「おう!これは神宮寺に頼んで正解だったな」
「弁護士目指すならこれくらいは出来ないとって、思ったから」
「神宮寺はなんで弁護士になろうと思ったんだ?」
夏季は少し昔の記憶を手繰り寄せた。
「………僕の中学時代の友達さ、冤罪で捕まって前科ついて、未成年だから保護観察つけられたんだ」
「そうだったのか。ソイツはなんで冤罪に?」
「どっかの会社の社長が痴漢の罪を擦り付けたんだ。更にわざと転んで暴行だって言いがかりまで付けてさ」
夏季は順を追って話し始める。
「最低だな」
神田は顔も知らない友人の為に怒ってくれている。本当に彼は優しい男だ。
「彼が帰ってきた時、泣きながら抱きつかれたよ。信じてくれてありがとうって……それは、僕のセリフなのに……」
知らずの内に涙が溢れた。神田は泣きじゃくる夏季の頭を撫で、静かに口を開いた。
「お前はすげぇよ」
「……え?」
「普通はそこまで頑張れねぇよ。しかも進藤と和田に至っては、顔も知らない赤の他人を助けようとしたんだろ?尚更すげぇわ」
「本当に、僕には勿体無いくらい優しい友人たちだよ」
夏季は誇らしげに笑う。
「…神田くんは、どうして喫茶店を?」
神田は夏季の頭を撫でながら、自分がどうして喫茶店をやってるのかを話してくれた。
「じゃあ、ここは元々お父さんのお店だったんだ」
「ああ。で、今はお袋の入院代を稼いでる。でもじいちゃんばあちゃんも手伝ってくれてるし、親戚のおじさんおばさんも援助してくれてるからそこまで大変じゃねぇ」
「そっか。お見舞いは行ってるの?」
「明後日行く。定休日だし」
「そうなんだ」
ーーーああ、やっぱり彼が好きだ。
夏季は神田を直視出来ず、ノートパソコンを取り出して求人票を打ち込む。まずはレイアウトとフォントを決めて、喫茶店の名前と住所を打ち込む。
「おお、すげぇ…」
神田もすぐに気持ちを切り替えて覗き込んできた。
「はい、神田さんの名前打ち込んで」
「あー、苗字だけでいいか?」
「え?」
「やっぱ、俺にとっては親父の店なんだ。だから…」
「そういう事ならいいと思うよ。苗字だけでも問題はないし」
「ありがとな」
神田は苗字だけ打ち込んだ。
「後は採用人数と、仕事内容、雇用条件だね」
「おう」
神田はどんどん打ち込んでいき、夏季が法律と照らし合わせて確認していく。
「給与はちゃんと計算して。じゃないと職業安定法に引っ掛かる」
「悪い…」
「あとこれもアウト。勤務時間の表記は原則として実働8時間以内で、残業を含めない定時の勤務時間を記載すること。始業時間と終業時間を明記することが重要」
「おう」
その後も何度か突っ込まれながらなんとか求人票を完成させる。
「ふぅ…ありがとな、神宮寺。俺思ったより法律知らなかったな」
「皆そんなもんだよ。だから弁護士がいる」
「なるほど」
「じゃあこの求人票は僕の方で出しとくよ」
「おう、頼んだ。あ、面接の時お前も同席してくれないか?」
「元からそのつもりだよ。僕も片付けとか手伝ってる訳だし」
「ありがとな!」
その後はそれぞれお風呂に入り、神田は先に寝てしまった。夏季は求人票の最終チェックを済ませ、バイトの求人サイトにアップする。
翌朝。
「神宮寺……神宮寺起きろ」
「……ん…」
夏季は身体を起こし、伸びをする。
「なんですか、神田くん…」
「お前、こんな所で寝てたのかよ」
周りを見渡すと、どうやらローテーブルに突っ伏して寝ていたようだ。
「ああ、求人票をアップしてそのまま寝てしまったみたいですね。ご心配おかけしてすみませんでした」
「お、おう。お前寝ぼけてる時敬語になるんだな」
「そうみたいですね。顔洗ってきます」
夏季は歯磨きと洗顔を済ませてリビングに戻る。
「スッキリした~」
「おー、戻ってる」
「ん?」
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