ギフテッド――嘘つきな先生と両思いになるまで

ぬい

文字の大きさ
59 / 80

【59】待ち時間のテンション

しおりを挟む
「あとこうなんか、セックスボランティアみたいな人を探すべきなのかな? まぁ身体状況により、一生不可なら別だけど。話しか聞いたことないけど、あれって風俗嬢雇うってことなのかな?」
「なんですかそれ?」
「一人で出来なくなっちゃった男の人、あるいは女の人の性処理のお手伝いをする感じみたいだねぇ。んー……」
「初めて聞きましたけど、風俗関係なら佳奈ちゃんなら何か知ってるかなぁ? 後で聞いてみます!」
「……んー……」
「上村先生?」
「いや、僕はね、特定のセフレが何人かいるんだ。で、鏡花院も僕と一緒で女好きなのね。しかもメンクイ。中身より外見。年齢は問わない。ただしあんまりにも年下とかは無理。けど僕と鏡花院の唯一の違いは、鏡花院はちゃんと付き合ってからヤって即座にあきて別れてるって所……だったんだけどねぇ……ほう」
「じゃあその最後に飽きた人を呼べば良いんですよきっと!」
「いや……記憶に残ってないほどに短期間でヤリ捨ててるから、相手覚えてないレベル。気に入ったその日に口説いてヤって捨てて帰ってくるやつ。最後の相手も数日くらいかも」
「それってあの、ヤリチンというやつであり、付き合ってないんじゃ?」
「こいつ基準だと付き合ってるんだって。振られたらヤってないし! 振られるとかめったにないみたいだけど! そのパターンで開始して、一番短かったので三時間、長かったので九ヶ月。僕が知ってる範囲では。話聞いてるとね、ちゃんと好きになってるみたいなの。その話ばっかりになるからよく分かるよ。他に話題ないんですかって感じになるから!」
「すっごくイメージ変わったかもしれません! そういう女性関係が!」
「鏡花院はさぁ、自分の患者と被験者とその時いる職場関係者と学生と院生と自殺未遂したことがある女は無理だって言ってたんだ。僕と完全に一緒」
「なんかすっごくそれはイメージできます! それに、それらの人と別れたら噂が広まる可能性もあります! CIAの先生じゃなかったら、私自身も結婚してもらえないレベル!」
「でしょ!? っていや……うん、そうなんだよね。それもあるしさ、粘着質な感じの相手とか、別れたら死ぬーみたいな人は、面倒だし……うわぁ、僕すっごく一生の不覚だけど良いことしてるって発見した!」
「なにをしたんですか!?」
「鏡花院が最後に別れた日時を今思い出した! 女がいない時はその時興味あるものの話しかしないやつだから忘れてた! 僕のバカー! そうか、そういうことか! だから僕が佳奈ちゃんとセフレになっちゃったって報告したら、イラってしてたんだー! たくさん説明してようやく思い出した途端、すっげぇムカッとした顔してたから何かと思ったらそういうことか! 溜まってんのかと勘違いしてたけど、あってんのかなぁ!?」
「えー!? うそー!? いつからですか!?」
「ごく最近だから! 卒業後! って、あ、本当に秘密にしてね! 佳奈ちゃんにも言っちゃダメ!」
「ど、どんな経緯で!? 佳奈ちゃんに聞けないので、先生から教えてください!」
「CIAをしていた時に仲良くなった! CIAとか言ってないし、雛辻さんの話題を僕から振ったことは一回もない! 今もない! まさか君と僕がこういう会話するとは思ってないと思う! 秘密で! お店で連絡先交換してたんだ、僕たち!」
「承知致しました!」
「思い出してみると、すっごくこいつの機嫌が悪くなり、直後凹み、それから普通になったと思って見てたら、ものっすごく機嫌良くなった時期があった頃に、僕は気づくべきだった!」
「無いに!?」
「くっそ古い陽性転移の文献なんか今更読んでるから何事かと思った記憶まである! 僕精神科医以前に親友名乗れないわー!」
「大丈夫! 上村先生はきっと鏡花院先生の大親友です! 鏡花院先生は、楽しそうに上村先生の名前を出してました!」
「なんて?」
「私が真面目に書いた卒論をゾンビ風コメディ小説として爆笑しながら読んだとか! 二人でお酒飲みながら!」
「あれすっごく笑った! 真面目に文学部の先生のところに回したから! 僕たちもうずーっと雛辻さんの話しかしてなかったんだった、最近!」
「私をネタにしないでください!」
「ごめんごめん――……ああ、でも、そっかぁ、そうだ、そうだったんだ……介護になった場合、僕との結婚は無しで!」
「別になんでも良いです! 生きててくれれば良いです!」
「だよね! ところで雛辻さんは、最近恋愛とかは?」
「それが全然無くって!」
「片思いしたりされたりは?」
「微塵の欠片も無いんです!」
「セフレとかは?」
「爛れた関係は、人がしてるのは別に良いですが、自分は嫌です!」
「微塵の欠片も無いんだね!?」
「爛れた関係の欠片なんか無いです!」
「いや、片思いされてる気配は無いんだね!?」
「はい!」
「――大学時代にされた記憶は!?」
「ずーっと元カレがいたし、入学時から卒業まで、一回冗談でナンパだったのにって言われたほかは、ゼロです!」
「……ああ、そう。そうなんだ! ちなみにナンパされたことは!?」
「あるんですよ! すごいでしょう! それもいっぱいあるんです! ナンパはされる場所が決まっていて、人数も決まっているから、待てばされるそうです! 教えてもらいました! ナンパ待ちっていう技術があるんです! そしてナンパしてきた相手が、単純にお酒を飲むのだけあるいはカラオケだけを楽しんで帰る人だと見極めてから、されるんです! そして決して迂闊に一人にはならず、ひとりきりの時もナンパされちゃだめなんです!」
「……それさぁ、終電逃した時の始発待ち技術だよね? 男の人にお酒おごってもらうかカラオケしながら始発まつやつ。特に東口とかで飲んでる時の!」
「そういった側面もあります!」
「それ以外の側面って何かあるの?」
「お酒が美味しいです!」
「思いのほか酒豪みたいだったね、そういえば! 女子どころか男子学生入れても、サークルで上の方の大酒飲みだったって調べてある! そうだよ、そこ! 鏡花院は、お酒飲む女あんまり好きじゃないんだよ、煙草吸う女も! 君はどっちにも該当してる! ああ、なんでこうなった!?」
「つまり私と鏡花院先生の偽装結婚って、鏡花院先生には嫌な面しかないじゃないですかー! 嫌いな部分全部つまってる!」
「そう、そうなの! そうなんだよー!」
「わかりました! 鏡花院先生とも結婚しません!」
「それはどうなのか僕には何とも言えない! 本人に確認してみよう!」
「はぁ? するまでもなくないですか?」
「き、機会があれば! 生存した場合に!」
「はい!」
「なんか前にね、どこからがロリコンかっていう話になったんだぁ。僕はさぁ、適当に、二十二くらいまでの相手に手出したらまぁロリコンを名乗ってもいいんじゃないっていっちゃったことがあった! 合法の範囲内だと! 君が二十か二十一くらいの頃! だって普段僕たち、若くても二十代後半しかそういう話してなかったの! 年の差ってどこまで許されるかって話をしたときは、十歳くらいじゃなぁいって適当に言ったんだけど、ああああ。僕は完全に早まった。やつの心を傷つけた自信がある! どうしよう! 地雷踏んでた!」
「地雷を踏んでもずーっと仲良しなんだから、やっぱり大親友です!」
「確かに! そうかも! ちなみに雛辻さんは年の差ってどう思う?」
「んー? 元カレが五歳も年上だったから、逆に他が分からないです!」
「何歳上までいけそう?」
「んー? 相手を見て考えてみないとわからないです!」
「何を考えるの?」
「いけるかいけないかじゃないんですか?」
「そりゃあまあそうだよね! じゃあ僕とか鏡花院とかって、いけそう?」
「考えたことなくて!」
「だよね! 僕も無いもん! 折角の機会だし、二人で考えてみよう!」
「はい!」
「……」
「考えました!」
「早くない!?」
「じっくり考えたんです、早いけど! 先生と佳奈ちゃんが大人の関係なんだから、いけるんですよ、きっと私の年代と先生たちの年代!」
「その現実に鏡花院はイラってしてたんだよ! 君が言った通りの現実があるから!」
「つまり前回十歳から年の差って言っていた先生が、十歳以上年下の佳奈ちゃんと大人の関係になったから、イラっとしたんですね! 鏡花院先生は、ロリコンかっていう質問をしたくらいだから、実は若い女の人が好きだったんだ! 上村先生が羨ましかったんだ!」
「そうじゃなくて、似てるんだけど遠いことを僕は推測してる。自分は我慢して片思いしてるのに、セフレに持ち込んだ僕が羨ましかったんだ! あいつ僕と違って自分の恋愛感情重視するタイプだから!」
「鏡花院先生が片思い!? その相手を呼ばないと!」
「……この推測が当たっているとして、もう僕に出来ることはやった。外れててくれる事を祈る。当たっていたら、僕は素晴らしいことをしてしまった! もし死んじゃったら、雛辻さんにも教えてあげるね! その後の結果!」
「はい! それにしても、すっごく、意外です! 流れ的に、鏡花院先生は大学生に恋してたってことですよね? あの鏡花院先生が!? うわー、見えない!」
「だよね? 信じられないよね!? だけどもう、そうとしか考えられない!」
「そもそもあの鏡花院先生に顔覚えられるっていうか、先生の視界に入るっていうか、その時点で相手の女の子、結構インパクトありそうですね!」
「そう! 見た目も性格も、ドストライク! 学生その他の余計な事柄さえなければ、完璧に鏡花院の好み! むしろ最初にその人物の話題が出た時、僕はからかったレベル。すっごく君の好みのタイプだねって! 向こうもさぁ、あー、せめて学生じゃなきゃなぁっぽいことを言っていた! けど異性として好み云々っていうより、インパクトがありすぎる人物でネタに尽きないもんだから、全然気がつかなかった!」
「おおおお! お二人にそんなにインパクトを与えられる人間がこの世にいるとは!」
「想定外すぎるよね!?」
「はい!」
「そろそろこの話やめよう! 僕余計なこと言っちゃいそうで怖くなってきた!」
「わかりました! 私も誰にも言わず心に秘め、鏡花院先生の片思いを決して潰すようなまねはしません!」
「……ま、まぁ、そうだね!」
「こう見えて口は硬いんです!」
「うん! それは調査済み!」

 なんか終始そんな感じのどうでもいい話をして、二人でテンションを上げまくりながらまっているうちに、手術が終わった。非常に長かった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

白衣の下 I 悪魔的破天荒な天才外科医と惨めな過去を引きずる女子大生の愛情物語。先生っひどすぎるぅ〜涙

高野マキ
キャラ文芸
弟の主治医と女子大生の甘くて切ない波乱の愛情物語。主治医は天才的外科医(性格に難あり)女子大生のミチルは破天荒で傍若無人な外科医の手綱を操ることができる? 東京、神戸 オーストラリア、アメリカ西海岸に及ぶ二人の世界。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...