24 / 26
第24話 エリーの涙
しおりを挟む
ラボに着き、ひとまずエリーをカプセルに寝かせた。
エリーに会話が聞こえないように、隣の部屋にうつった。
「おそらく、中枢部を中心に腐食が進んでるんだろう」
生守が冷静に推論をいった。
「そうですね。」
折原もその推論に同意した。
「まだ、会話ができているということは中枢部が活きている証拠だ。このままだと中枢部ごと腐食する」
「そうですね。」
「中枢部は壊したくない、エリーを停止するぞ」
――そうなんですけど。
やることはわかっている、生守の考えが正しいのもわかっている。だが、折原の感情がついていかなかった。
「中枢部が腐食するのも時間の問題だ。」
――そうなんですけど。
折原は、下を向き両手を強く握りしめていた。
「君がやらないなら、俺がやる。」
折原の肩を叩き、生守はエリーのカプセルがある部屋に入って行った。折原もおいていかれないように、続いた。
「エリー、調子はどうだ?」
生守は優しい口調で問う。
「陽介さん。私、もうダメだね。」
横たわっていたエリーが生守の方に視線を向けた。
エリーの瞳から涙がこぼれていた。
生守は近くの椅子にすわり、エリーと視線を合わせた。
「そうだな。君の核が壊れる前に、スリープさせたいと思ってる。何か伝えておきたいことあるか?」
「3年稼働できなかったのが残念かな。」
「そうか。」
「……アージェル。」
名前を呼ばれ、エリーのすぐ近くまでよった。生守は椅子から立ち上がり、折原に席を譲った。
「エリー、どうしました!?」
「アージェル。私、幸せだったよ。一緒にコーヒー飲んで、一緒に本を読んで、一緒に笑えて、一緒に過ごせて。」
エリーの瞳から次々と涙の粒が流れていた。
ライブでも打ち上げでも、涙を流してなかったエリーが泣いていた。
「アージェルと一緒に過ごせて、私幸せだった。本当だよ」
「…はい、僕もエリーと過ごす時間は幸せでした。」
「ねえ、アージェル」
エリーは、折原の手をそっと取った。
「アージェルの手は、いつも暖かかった。」
エリーはそう言って、少しだけ微笑んだ。
「泣かないで……」
エリーはそっと手を伸ばし、折原の髪をなでた。
エリーは次に指で折原の涙をすくった。折原はその手を両手でつつみ指をからませた。
「アージェルの事、忘れない。忘れないから。だから泣かないで」
涙をこらえられずにいる折原をエリーは優しく見つめていた。生守も見守っていたが折原の肩を叩き別れの時を告げた。
「エリー、また会おうな。」
「陽介さんもありがとう。アージェルのこと、よろしくね」
「任せておけ」
生守はエリーの髪を数回なでた。
エリーは、最後の時を悟ったように目を閉じる。
エリーに会話が聞こえないように、隣の部屋にうつった。
「おそらく、中枢部を中心に腐食が進んでるんだろう」
生守が冷静に推論をいった。
「そうですね。」
折原もその推論に同意した。
「まだ、会話ができているということは中枢部が活きている証拠だ。このままだと中枢部ごと腐食する」
「そうですね。」
「中枢部は壊したくない、エリーを停止するぞ」
――そうなんですけど。
やることはわかっている、生守の考えが正しいのもわかっている。だが、折原の感情がついていかなかった。
「中枢部が腐食するのも時間の問題だ。」
――そうなんですけど。
折原は、下を向き両手を強く握りしめていた。
「君がやらないなら、俺がやる。」
折原の肩を叩き、生守はエリーのカプセルがある部屋に入って行った。折原もおいていかれないように、続いた。
「エリー、調子はどうだ?」
生守は優しい口調で問う。
「陽介さん。私、もうダメだね。」
横たわっていたエリーが生守の方に視線を向けた。
エリーの瞳から涙がこぼれていた。
生守は近くの椅子にすわり、エリーと視線を合わせた。
「そうだな。君の核が壊れる前に、スリープさせたいと思ってる。何か伝えておきたいことあるか?」
「3年稼働できなかったのが残念かな。」
「そうか。」
「……アージェル。」
名前を呼ばれ、エリーのすぐ近くまでよった。生守は椅子から立ち上がり、折原に席を譲った。
「エリー、どうしました!?」
「アージェル。私、幸せだったよ。一緒にコーヒー飲んで、一緒に本を読んで、一緒に笑えて、一緒に過ごせて。」
エリーの瞳から次々と涙の粒が流れていた。
ライブでも打ち上げでも、涙を流してなかったエリーが泣いていた。
「アージェルと一緒に過ごせて、私幸せだった。本当だよ」
「…はい、僕もエリーと過ごす時間は幸せでした。」
「ねえ、アージェル」
エリーは、折原の手をそっと取った。
「アージェルの手は、いつも暖かかった。」
エリーはそう言って、少しだけ微笑んだ。
「泣かないで……」
エリーはそっと手を伸ばし、折原の髪をなでた。
エリーは次に指で折原の涙をすくった。折原はその手を両手でつつみ指をからませた。
「アージェルの事、忘れない。忘れないから。だから泣かないで」
涙をこらえられずにいる折原をエリーは優しく見つめていた。生守も見守っていたが折原の肩を叩き別れの時を告げた。
「エリー、また会おうな。」
「陽介さんもありがとう。アージェルのこと、よろしくね」
「任せておけ」
生守はエリーの髪を数回なでた。
エリーは、最後の時を悟ったように目を閉じる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる