セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

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第2章

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「その二人はナランスなのですが、ゴブリン相手にずいぶんと親しく付き合ってくださいましたなあ。前の長が領主様のもとで下部しもべのつとめをしている時に知り合ったらしいのですが。ああ、このあたりの村はろくに米がとれませんので、年貢米のかわりにまとまった人数を村ごとに送って、領主様のもとで下部として冬から春先まで働いております」

「うちは多少米が取れますが、先ほど申したようにたいした量は運べませぬので、下部の働きに行く時に米を担いでいって、その分人数は少なくしてもらっております」

「わしも長になるまでは行っておりましてな。色々と雑用をしていましたが、戦で手柄を立てた事もありました。ゴブリンなどはまとまった数がないと戦の役には立たぬなどと言われて、戦の時も下働きをさせられておりました」

「ところがある時に敵が少数ですが領主様のいる陣所まで不意に押し寄せて着ましてな。わしらゴブリンも武器を取って、敵を三人も討ち取ったのでありますよ。領主様も大いにほめてくださり、健という名もその時いただきました」

 どうやら長い自慢話になりそうな気配が感じられはじめた頃、ねそこさんが発言した。
「前の村長殿が塩を蓄えると発案したのは、この村に戻ってからの事かな?」
「左様です」
「いかにして時雨殿やその山の君と申す者に加勢を求めたのであろうか? 時雨殿はこのあたりにも来る事はあろうから、その時かな?」
「仰せのように、時雨様がこの村に来た時、前の長が相談し、時雨様が山の君を連れてきてくださったのです」
「そうであったか」
「はい。時雨様をご存じで?」
「名は聞いておるが、まだ会った事はない」
「そうでございますか。時雨殿は口数少なく、威厳のあるお方でした。何人もの巫女様を連れてきてくださいました。山の君は逆ににぎやかで気さくな方でしたが、大勢の配下を差配している姿を見ると、やはり上に立つのはこのような人なのかと感心させる男でした」

 ねそこさんはたずねる。
「それで米や材木はどのように運んだのであろうか?」
「実はわしもよくわかっておりませんので」
 山田村の住人は米や材木を東に流れる川の岸まで運ぶのが仕事で、それ以降は時雨と山の君がすべて段取りし、実行した。

 巫女さんたちが「携界収容」を使って滝の下まで米を運び、山の君の配下が筏を組んで米を乗せ、下流へと流したのだそうだ。材木の取引を行う木津きづまでの間にはいくつもの滝があり、筏の運航に適さない浅瀬も多いのだが、そこは巫女さんたちの力で乗り越えたらしい。

「懐かしいなあ」
 と思い出深げにきららさんがつぶやいた。
「きらら様はあの時おられたので?」
「いた」
「それはそれは気づきませず、申し訳ありません」
「一度ここに挨拶に来て、後は川の中にいたから」
「そうでしたか。改めてお礼申し上げます」
 きららさんは黙って頭を下げた。
 表情のわかりにくい人だが、俺にはきららさんが照れているように感じられた。


 山田村ではその後毎年、運び出した荷を売って銭を蓄え、やがて機を見て十分な量の塩を買い入れることが出来た。セリアンの巫女たちは、報酬を受け取らず、山田村と動物の扱いに関する約定だけ結んで去っていった。山田村はそれを守り続けている。

 一方、山の君の方は村に米と材木の売り上げの一部を分け前として受け取った。
 それだけでなく、村に木の器づくりと炭焼きの技術を持ち込み、それらを売った利益も得ていた。そして漆の木を植え、育ったら掻き取りに来るから、と言って楽しそうに村を去って行ったのだという。

「その後、前の長は病で亡くなり、器づくりを学んだ二人も死んでしまいました。炭焼きは今もやっておりますが」
 そこまで村長が話したところで、一人のゴブリンが駆け込んできた。
「長、来ましたぜ。盗賊の野郎ども、ぞろぞろとやってきやがった!」
 村長は立ち上がって、壁に掛けてあった槍をつかんで外に走り出た。他のゴブリンたちもそれに続く。
 俺たちも立ち上がり、西にある村の入り口に向かった。
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