セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

文字の大きさ
34 / 54
第2章

27

しおりを挟む
 目ざめた時には、すでにアドラドさんは使者とともに旅立った後だった。
 どこかに避難していた女性たちが戻っていて、俺のために水の入った木鉢を用意してくれた。
 それで顔を洗っている間に、女性たちは家から出てどこかに行く。他の村人も何人か北の方へと歩いていくようだ。

 アドラドさんは分け身のアナウサギを一体残していった。それは俺が当面預かる事になり、そのアナウサギは、頭を下げて、よろしくといった感じのしぐさをする。俺も頭を下げた。
 身支度を整えた後、犬たちに分け身を襲わぬように念を押し、俺たちも北の広場へ向かった。


 その広場の北側は林になっていて、ゆるやかで平地の様な斜面が南へ下っていて、よく手入れされた地面はきれいに草を刈られていた。そこに村人たちが大勢で集まっている。手にはくわすき、木の棒を持ち、帯にはなたを差していた。鎌を持った女たちもいる。入り口の守りについている当番と、子供や怪我人、それらの世話をする者以外はすべて来いと伝えられたらしい。村長は北の端で槍を持って立っていたが、ゴブリンの背は低いので南の端にいる俺たちからもその姿はよく見えた。

 俺たちはほぼ最後の到着で、さらに二人到着すると村長の話が始まった。
「盗賊ども許さんぞ!」
 という叫びと、村人たちの唱和に続いて村長は現状の説明を始める。
「すでに使いは領主様に送った。村から行った者どももそろそろ帰ってくる頃じゃ」
 説明の最後をそう締めくくると、次は村を守るためにどう対応するかを伝え、それぞれの役割分担を確認する。

竹枯たけがれの家から屋根のかやを降ろせ、稲木いなぎに立てかけて矢防ぎとするぞ」
「そんな」
 竹枯らしい村人が声を上げた。
「どうせ秋には、皆でき替えするんじゃ」
「それまで屋根なしの家でどう暮らすよ」
「誰かの家で預かってもらえ」

 村長は次の指示を下す。
「田には水を入れるぞ」
畔塗あぜぬりは終わっとるから、水は入れられるが、またやり直しをせねばならぬぞ」
「この際やむを得ん」
 村人への指図が終わると、義勇団の話になった。

 セリアン教団の巫女が義勇団として協力してくれると告げると、村人たちは喜んで歓声を上げた。
 巫女さんたちがどのような形で協力するかや、実際に手を貸す時にはその指示に従う事、鳥や獣や山椒魚の姿になるが話は通じるからあまり驚くな、などの指示を伝える。

 その説明の度に何回も恵義勇団の名があがった後で、俺が義勇団の代表として村人の前で話をする流れになった。巫女さんたちがあらかじめ考えておいてくれた話をなんとか言い終えたが、あまりの恥ずかしさに自分でも何を言ったのかよく覚えていない。
 最後はその場にいた村人全員で気勢を上げて集会は終わりとなった。


 俺はしばらく座り込んで、ただ息をしていた。その時になって気が付いたが、どうやらアドラドさんの分け身を腕に抱いたまま、村人の前で話をしていたらしい。
「とても威厳がありましたよ」
 とチカさん。
「うむ、威圧感すら感じさせる、堂々とした有様ありさまであった」
 とねそこさん。
 優しく言葉をかけられる度に、恥ずかしさは増していき、俺は心の中で息も絶え絶えになり、腕の中のアナウサギをなでて、現実から逃避しようとする。

 村人たちはそれぞれの持ち場に向かい、広場には四人の巫女さんと一体の分け身、六頭の犬、そして俺だけが残された。
 どこかで気の毒な竹枯の家から萱を降ろすための作業が始まり、大声での叫び合いが聞こえてくる。


 やがてきららさんが現れた。
 昨夜に傷を負った淵木という名の村人は動かしてもいい状態になり、家に運ばれていったそうだ。
 俺たちは支援中心地として貸してもらえたその広場にすわり、これから義勇団として村を守るための話し合いを始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...