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第2章
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目ざめた時には、すでにアドラドさんは使者とともに旅立った後だった。
どこかに避難していた女性たちが戻っていて、俺のために水の入った木鉢を用意してくれた。
それで顔を洗っている間に、女性たちは家から出てどこかに行く。他の村人も何人か北の方へと歩いていくようだ。
アドラドさんは分け身のアナウサギを一体残していった。それは俺が当面預かる事になり、そのアナウサギは、頭を下げて、よろしくといった感じのしぐさをする。俺も頭を下げた。
身支度を整えた後、犬たちに分け身を襲わぬように念を押し、俺たちも北の広場へ向かった。
その広場の北側は林になっていて、ゆるやかで平地の様な斜面が南へ下っていて、よく手入れされた地面はきれいに草を刈られていた。そこに村人たちが大勢で集まっている。手には鍬や鋤、木の棒を持ち、帯には鉈を差していた。鎌を持った女たちもいる。入り口の守りについている当番と、子供や怪我人、それらの世話をする者以外はすべて来いと伝えられたらしい。村長は北の端で槍を持って立っていたが、ゴブリンの背は低いので南の端にいる俺たちからもその姿はよく見えた。
俺たちはほぼ最後の到着で、さらに二人到着すると村長の話が始まった。
「盗賊ども許さんぞ!」
という叫びと、村人たちの唱和に続いて村長は現状の説明を始める。
「すでに使いは領主様に送った。村から行った者どももそろそろ帰ってくる頃じゃ」
説明の最後をそう締めくくると、次は村を守るためにどう対応するかを伝え、それぞれの役割分担を確認する。
「竹枯の家から屋根の萱を降ろせ、稲木に立てかけて矢防ぎとするぞ」
「そんな」
竹枯らしい村人が声を上げた。
「どうせ秋には、皆で葺き替えするんじゃ」
「それまで屋根なしの家でどう暮らすよ」
「誰かの家で預かってもらえ」
村長は次の指示を下す。
「田には水を入れるぞ」
「畔塗は終わっとるから、水は入れられるが、またやり直しをせねばならぬぞ」
「この際やむを得ん」
村人への指図が終わると、義勇団の話になった。
セリアン教団の巫女が義勇団として協力してくれると告げると、村人たちは喜んで歓声を上げた。
巫女さんたちがどのような形で協力するかや、実際に手を貸す時にはその指示に従う事、鳥や獣や山椒魚の姿になるが話は通じるからあまり驚くな、などの指示を伝える。
その説明の度に何回も恵義勇団の名があがった後で、俺が義勇団の代表として村人の前で話をする流れになった。巫女さんたちがあらかじめ考えておいてくれた話をなんとか言い終えたが、あまりの恥ずかしさに自分でも何を言ったのかよく覚えていない。
最後はその場にいた村人全員で気勢を上げて集会は終わりとなった。
俺はしばらく座り込んで、ただ息をしていた。その時になって気が付いたが、どうやらアドラドさんの分け身を腕に抱いたまま、村人の前で話をしていたらしい。
「とても威厳がありましたよ」
とチカさん。
「うむ、威圧感すら感じさせる、堂々とした有様であった」
とねそこさん。
優しく言葉をかけられる度に、恥ずかしさは増していき、俺は心の中で息も絶え絶えになり、腕の中のアナウサギをなでて、現実から逃避しようとする。
村人たちはそれぞれの持ち場に向かい、広場には四人の巫女さんと一体の分け身、六頭の犬、そして俺だけが残された。
どこかで気の毒な竹枯の家から萱を降ろすための作業が始まり、大声での叫び合いが聞こえてくる。
やがてきららさんが現れた。
昨夜に傷を負った淵木という名の村人は動かしてもいい状態になり、家に運ばれていったそうだ。
俺たちは支援中心地として貸してもらえたその広場にすわり、これから義勇団として村を守るための話し合いを始めた。
どこかに避難していた女性たちが戻っていて、俺のために水の入った木鉢を用意してくれた。
それで顔を洗っている間に、女性たちは家から出てどこかに行く。他の村人も何人か北の方へと歩いていくようだ。
アドラドさんは分け身のアナウサギを一体残していった。それは俺が当面預かる事になり、そのアナウサギは、頭を下げて、よろしくといった感じのしぐさをする。俺も頭を下げた。
身支度を整えた後、犬たちに分け身を襲わぬように念を押し、俺たちも北の広場へ向かった。
その広場の北側は林になっていて、ゆるやかで平地の様な斜面が南へ下っていて、よく手入れされた地面はきれいに草を刈られていた。そこに村人たちが大勢で集まっている。手には鍬や鋤、木の棒を持ち、帯には鉈を差していた。鎌を持った女たちもいる。入り口の守りについている当番と、子供や怪我人、それらの世話をする者以外はすべて来いと伝えられたらしい。村長は北の端で槍を持って立っていたが、ゴブリンの背は低いので南の端にいる俺たちからもその姿はよく見えた。
俺たちはほぼ最後の到着で、さらに二人到着すると村長の話が始まった。
「盗賊ども許さんぞ!」
という叫びと、村人たちの唱和に続いて村長は現状の説明を始める。
「すでに使いは領主様に送った。村から行った者どももそろそろ帰ってくる頃じゃ」
説明の最後をそう締めくくると、次は村を守るためにどう対応するかを伝え、それぞれの役割分担を確認する。
「竹枯の家から屋根の萱を降ろせ、稲木に立てかけて矢防ぎとするぞ」
「そんな」
竹枯らしい村人が声を上げた。
「どうせ秋には、皆で葺き替えするんじゃ」
「それまで屋根なしの家でどう暮らすよ」
「誰かの家で預かってもらえ」
村長は次の指示を下す。
「田には水を入れるぞ」
「畔塗は終わっとるから、水は入れられるが、またやり直しをせねばならぬぞ」
「この際やむを得ん」
村人への指図が終わると、義勇団の話になった。
セリアン教団の巫女が義勇団として協力してくれると告げると、村人たちは喜んで歓声を上げた。
巫女さんたちがどのような形で協力するかや、実際に手を貸す時にはその指示に従う事、鳥や獣や山椒魚の姿になるが話は通じるからあまり驚くな、などの指示を伝える。
その説明の度に何回も恵義勇団の名があがった後で、俺が義勇団の代表として村人の前で話をする流れになった。巫女さんたちがあらかじめ考えておいてくれた話をなんとか言い終えたが、あまりの恥ずかしさに自分でも何を言ったのかよく覚えていない。
最後はその場にいた村人全員で気勢を上げて集会は終わりとなった。
俺はしばらく座り込んで、ただ息をしていた。その時になって気が付いたが、どうやらアドラドさんの分け身を腕に抱いたまま、村人の前で話をしていたらしい。
「とても威厳がありましたよ」
とチカさん。
「うむ、威圧感すら感じさせる、堂々とした有様であった」
とねそこさん。
優しく言葉をかけられる度に、恥ずかしさは増していき、俺は心の中で息も絶え絶えになり、腕の中のアナウサギをなでて、現実から逃避しようとする。
村人たちはそれぞれの持ち場に向かい、広場には四人の巫女さんと一体の分け身、六頭の犬、そして俺だけが残された。
どこかで気の毒な竹枯の家から萱を降ろすための作業が始まり、大声での叫び合いが聞こえてくる。
やがてきららさんが現れた。
昨夜に傷を負った淵木という名の村人は動かしてもいい状態になり、家に運ばれていったそうだ。
俺たちは支援中心地として貸してもらえたその広場にすわり、これから義勇団として村を守るための話し合いを始めた。
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