セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

文字の大きさ
40 / 54
第3章

しおりを挟む
 戦闘結果の次は、敵の行動を予測できるかの話になる。
「敵の本拠地が分かればいいのですが、まだつかめていません。一か所に定めず、絶えず移動している可能性があります」
 チカさんの話では、もともと盗賊の集団は複数いて、それぞれが何か所かの隠れ家を持っていたらしい。今はそれらの集団を一人の頭がたばね、隠れ家の間を動いて、その時いる場所を本拠としているのだと、アポさんは推測していた。

「チカさんに聞いて判明している分と、それらの位置から推測した隠れ家の候補地をねそこさんに頼んで捜索したいと思います。うまく頭の居場所を突き止められれば、敵の動向を予想できるようになるでしょう」
「敵はすぐ来るでしょうか?」
 俺は聞いてみた。
「数をそろえての大規模な攻撃に失敗したので、しばらくは攻めてこないと思います。士気は下がっているでしょうし、作戦も立て直さねばなりません」

「しばしの猶予を得られたとして、その間に私たちは何をしましょう」
 アリシアさんの問いにアポさんが答える。
「義勇団としてはこれまでの方針と変わりません。計画に従って哨戒を行い、ここで待機して突発事に備える。後は敵の本拠の捜索と捕虜の尋問、村人の手伝いですね。それでいいですか」
 アポさんが確認し、俺は同意する。

 村人は戦いで傷んだ防御施設を補修し、南の森を伐採して開けた部分を増やし、北の林と森の間に垣などの防御施設を建設中なのだそうだ。そして垣などはかなり低めに作っているがそれでも人手は足りていない。
 アリシアさんが北での作業の手伝いに回り、アポさんは捕虜の尋問、俺はアリシアさんから遠くない地点で哨戒を行う事になった。


 俺は広場の北で、哨戒の任につく。探知できるのは村人たちゴブリンとアリシアさん。
 この距離ならはっきりと区別できた。
 そして、アポさんの言ったように、敵は来ない。
 眼に見えるものはアナウサギと犬たちの他は、林と畑と家々とその間からのぞく水田、そして青空を流れる雲。これまで好天続きだったが、少し雲が増えてきたようだ。でも、まだ雨は降りそうではない。


 やがて、飯が運ばれてきて、アポさんとアリシアさんが戻り、眠っていた三人が起こされ、村にいる義勇団全員での食事になる。
 村の女性たちは、さらにおひつを一つ増やしていた。だが、ねそこさんを擁する俺たちは、起きてきた巫女さんたちへの現状と予定を説明する間に、飯を食いつくしてしまった。

「捕虜から有益な話は聞けたかの?」
 ねそこさんの問いに、アポさんは答えた。
「直接的には何も。しかし、それぞれがもとはどの盗賊団に所属していたか、現状をどう思っているか、これまでの生い立ちなどをある程度聞けましたし、めいめいの性格や人間関係も少し把握できましたので、それらを利用して明日にでももっと切り込んだ尋問をしてみますよ」
はこれから村人に落とし穴掘りの手ほどきをして、夜になったら盗賊の本拠をさがしに行く心づもり。夜食を忘れずに頼んでおかなければ」
「それは心配なさらずとも大丈夫ですよ」
 チカさんが保証した。

「きららさんはこの後も休んでください。戦いになれば休みなしがずっと続きますから」アリシアさんがそう言い、きららさんが答える。
「わかった。一度川の様子を見て来てから休むよ」
 今のところ東からの敵の侵攻はないが、万一に備えて地形を詳しく知っておきたいのだそうだ。
「それに明日は大雨になりそう。その日のうちに止むけど」
 へえ、きららさんは気象について詳しいのか。それとも神術によるものなのか。その辺を知りたかったが、今度は南の哨戒をしなければいけないので、その暇はなかった。

 アポさんは眠り、アリシアさんとねそこさんは北へ村人の手伝いに行き、俺は南の哨戒でチカさんがついていてくれる。
 しばらくこの広場で起きている者はいなくなるので、アドラドさんの分け身であるアナウサギを天幕の一つに連れて行き、しばらくここにいてくれるように頼んだ。
 アナウサギは何度か軽くうなずいて、承諾した事を伝えてくれた。
 俺はチカさんや犬たちと南に向かいながら、その可愛らしい光景を何度も頭の中で回想した。

「村の女性たちは色々頑張っていますね」
 チカさんが歩きながらそう話しかけてきた。
 今朝俺が寝ている間に、村のゴブリンの女性たちと過ごす機会があり、彼女らの行動や会話を色々と話してくれた。そして食事の支度の話から、俺たちの飯について話題は流れた。

「それで今一番の目標は私たちを満腹させて、『もう食べられないよ』と言わせる事なんですって」
「それはねそこさんがいる限り難しそう」
 そう言って俺とチカさんは笑い合った。


 南での哨戒の間も敵は現れず、平和な時間が続いた。だが空は次第に曇ってきた。きららさんが予想したように明日は雨が降るのだろう。
 そんな事を思っていると突然。人の大きさの動物がそれまでいなかった場所に突然現れたのを探知した。その場所は義勇団が支援中心として使っている広場だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...