セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

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第3章

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 アリシアさんに傘を渡された。手に持つのではなく頭にかぶる種類のものだ。時代劇で見るような、これまでかぶったことのない傘をうまく固定するのに手間取ったが、チカさんがつけるのを見よう見まねで何とかなった。
 アポさんときららさんは天幕に入って睡眠。他の巫女さんは雨に打たれながら、それぞれの任に着く。

「戦いになる前に団長と二人で村を見てきます」
 ガイさんがそう言い、犬たちを連れて俺たちはまずは北の林に向かう。
 ガイさんの指定した場所で、探知を始める。まだ敵に動きはなし。
 取りあえず判明した敵の位置を、地面に点として記していく。上には枝が密集していて雨はかかりにくい。その間にガイさんは村人に障碍物の設置についての指導をしている。

 横目で見ていると、垣を作る場合、乗り越えて地面に降りるあたりに、先をとがらせた枝を刺していた。
「実際に怪我をするかより、相手をひるませられるかの方が重要です」
 そう説明していた。

 盗賊は三十人いた。俺が作業を終えると、ガイさんが戻って来て検分する。
「おそらく敵はまだ団長の能力そのものには気づいていないだろうと推測していましたが、やはりその可能性が高いですね」
「そうなんですか?」
「私が敵の立場だったらもっと密集させて、絶えず誰かが移動している状態にしますね、」
 なるほど、それをされると確かに個々人の判別はやりにくくなるだろう。
「しかし、こちらにセリアン教団の巫女がいるのはわかっているし、何らかの能力で動きを探っているとは思って用心はしているのでしょう。組頭の位置はまだわかりませんね。攻撃の時を待つしかなさそうです」

 次は南に向かいましょうという、ガイさんの言葉にしたがって移動する。
 その途中で俺は聞いてみた。
「ガイさんは戦いにくわしいのですね」
 その事は他の巫女さんの話から察せられたが、本人から聞いてみたかった。
「あちこち渡り歩いているうちに多少は見習い覚えましたが、本職の人に比べれば大したものではありませんよ。もっともその分、本職でない人に教えるのには向いているかもしれませんね」
 そう言って、くつくつと喉で笑う。

「防御用の垣の設置方法とか、徹底しているなと思いましたよ」
「それほど徹底した防御策ではありませんよ」
 徹底するなら掘った落とし穴には、とがった杭を植えておく、堆肥を塗ればさらによし、下に注意を引いておいて上から頭を一撃するようなわなを仕掛ける手もあると、ガイさんは言った。
「しかし、ここは徹底的にやる場面ではないでしょう」

 村人は領主のもとで戦の体験があるとはいえ、普段は雑用をしていて、時に武器を取って戦う事もある程度で、敵の盗賊たちも少人数での襲撃が通常で、こんな大勢で村一つと全面的に対決する経験もなく、村の方もこれまで盗賊に襲われるような財を持たず、大勢を相手に村を守る戦いはなかった。
「そんな場所に通りすがりの人間が徹底した戦のやり方を持ち込むべきではないでしょう。ところで私からも団長に一つ質問があるのですが。組頭への対応について、先ほどは無力化とかやっつけるなどのやわらげた表現が使われていましたが、実際にはほぼ相手を殺す事になります。特定個人を目標とした殺害計画、義勇団長として、それは容認できるのですか?」

 それは困った問いだった。まだ、自分自身でも整理しきれていない。俺は考え考え言葉を出した。
「これは小さな村の戦いといっても、戦なのですから死者が出る事自体は当然なのでしょう。でもわたしは義勇団の団長という立場なのですから、一般論だけではすまされないとも思います。まだ、この世界について学んでいる状態なので確信をもっていう事は出来ないけれども、やはり死者が多くなるのは避けるべきだろうと思います」

 俺は自分でもつたない表現力だなと思いながら、理由を述べた。
「そもそも死者が多くなるという事自体がよくないのが一つ、戦いが激化するのをさけたいという願いが一つ、巫女の皆さんに殺生してほしくないというのが一つ」

 そして付け加えた。
「でもそのために逆に死者が増えるかもしれない。巫女さん方を危険な目に合わせるかもしれない。だから、実際どうするかは皆さんの判断に任せるしかありません。無責任ですみません」
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