セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

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第3章

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 だが、ガイさんは楽しそうだった。
「私が知りたかったのは、団長がどのように考えて答えを出すかで、出した答えの正しさではありませんから、気にする事はないですよ」

 話しているうちに、南の斜面の手前まで来た。村人が伐採したために、昨日よりも開けた部分の面積が大きくなっている。伐られた木は進路をふさぐために、森の始まる所まで転がされている。雨が降っているせいか、今は伐採作業は中断されて、村人は河原から石を運んでいた。

 北の時と同じようにガイさんが場所を決め、俺が探知を始める
 こちらは北と違って、探知範囲内に人はいない。ねそこさんからも南で移動する盗賊たちがいるとの報せはなかった。
 探知を続けているうちに、水田に降る雨がしだいに激しくなり、水面を乱していく。

「こういう時は茶の一杯でも飲んで頭をはっきりさせたいですね」
 夜の間もこの村に向かって走り続けたガイさんはそう言う。だが、この村には茶はない。たぶん、知っていて眠気覚ましに他愛のない話を言っているのだろう。
 俺はいくつか気になっている事の一つを、ガイさんに聞いてみる事にした。
「ガイさんはニワトリの巫女さんですね」
「そうですよ」
「セキショクヤケイの巫女ではないのですか?」

 セキショクヤケイというのは、ニワトリという家禽のもとになった野生種の鳥類だ。漢字で書けば赤色野鶏になる。
「セキショクヤケイも捧命種ですよ、アドラドさんとは違って一人で担当しています。まあ、両方担当している巫女が、家畜化された種の方を名乗るのは珍しいですね」
「そうなんですか?」
「おや、知りませんでしたか? 家畜種はセリアン教団の宗旨からみて重要な種です。しかし、なりたがる巫女見習いは少ない。なぜなら、これまでの例から精神を病む可能性が高いと知られているからですよ。そのせいか両方を担当する場合、野生種を名乗る方が多いですね」

 そういう事だったのか、ガイさんはその理由までは話さないが、人と家畜の関係を考えれば、病みやすいというのはそれほど意外ではない。巫女さんたちにとっては話しづらい事だろうから、詳しくは折にふれて少しずつ知っていくことにしよう。
「ガイさんは自分が病んでいないと思っているから、あえてニワトリの巫女と名乗っているんですか?」
「いや、それは違いますよ。それほどうぬぼれてはいません。むしろ自分自身では病んでいるかどうかわかりにくいので、他の人から見て、教えてもらいたいですね」

 そこまで話したところで、探知範囲内に次々と下から人影の輝きが現れた。横並びにほぼ一列に広がってゆっくりと登ってくる。
 俺がそれをガイさんと周囲の村人に告げ、さらにガイさんが「黙信術」で他の巫女さんに伝える。手はず通りにチカさんが村長に報せに行き、アリシアさんは寝ている二人を起こす。

 前のように三方向同時攻撃なら、そろそろねそこさんからも連絡が来そうだと思った時、やはり「黙信術」での報せがあった。
(西の道から十二人馳せてくるぞ)
「こちらは今のところ十七人」
 前よりもかなり少ないなと思った。

 ガイさんんは「黙信術」で南組の人数を伝えると俺に言った。
「さて、現状から判断すると、北から撃破するのがよさそうですね」
 歩き出すガイさんに俺はついていく。
 途中でアリシアさんと合流した。
 先ほど地面に敵を印した所まで来た。まだ村の防衛線は破られていない。
 そこで俺は気が付いた。敵の数が少ない。

「十八人しかいません」
「残り十二人の所在は?」
「わかりません」
 ガイさんは、質問に俺がそう答えると少しだけ考え込んだ。
「奇襲をするつもりだろうけど。さて、どう来るのか」
 そして、槍を地面に置くと湾曲した刃物を二個取り出した。
「団長は、敵の位置を記してください」
 ガイさんはそう言うと、刃物を足に取りつけ始める。

「鳥類の巫女の戦いにおける弱点は第四階梯以上は手が使えなくなる事」
 独り言をつぶやくように、俺に語る。
「なのでこのような出で立ちとなります」
 衣服を脱いで、第三階梯まで昇る。

 頭部は脳をいれる部分が大きい以外、ニワトリの様に見える。脚部はヒトの骨格にかなり近いが、足の部分は鱗におおわれて、四本になった指から鋭いかぎ爪が伸びている。そして先ほど取り付けた刃物が巨大な蹴爪の様に後方に突き出て、鈍く光っている。全身を羽毛におおわれているが、翼の部分の羽毛は飛ぶには少なすぎ、先端は鱗とかぎ爪を持ったヒトの手の構造になっている。
 アポさんもそうだが、鳥類の巫女は、第三階梯と第四階梯の間に手を使えるかと翼を翼として使えるかどうかの境界があるようだ。

「この姿でも全く飛べないわけではないのですが、飛翔能力を十分に生かすなら、第四階梯に進む必要があります」
 ガイさんはそう言いながら地面に記された敵の位置を凝視し、一つの点を指した。
「この敵がどう動くか、追ってみていただけませんか」
 俺は言われた通り、手に持った枝の先を使ってその位置を示し続ける。
 ガイさんは地面を見たり、頭を上げて敵のいる森の様子をうかがったりを繰り返していたが、やがてにやりと笑った。

 それは表情が乏しくなるはずの第三階梯の姿でも、凄みを感じさせた。
「どうやらこれが組頭で間違いないようです」
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