47 / 54
第3章
10
しおりを挟む
盗賊たちは一時、東の林を抜けて村の中に入り込んだが、今は押し返されているそうだ。今の位置からでは探知できない。
チカさんがこれまでの状況を色々伝えてくれるので、整理してみる。
川岸で見張りをしていた二人の話では、盗賊たちは雨で増水した川を細い筏で下って来た。十人以上もいたので、見張りたちはたまらずに逃げ出した。
村長は入り口を守るために西にいて、他に戦慣れしたものもそれぞれ北や南を任されていたので、家が立ち並んでいる村の中心部には、急な事態に対応して指揮をとれるものはいなかった。
盗賊が来ると、女子供やわずかばかりの男は逃げ惑う。その中で、見張りたちは西まで走り村長に告げた。
チカさんはその時点で襲撃を知り、俺たちに報せてくれたわけだ。
そこから村長はこの数なら守り切れると判断した分を残して、手勢を率い東に向かった。
見張りたちはそれぞれ北と南に向かい、村長からの指示を伝えた。
南は少しの人数しか割けなかったが、北はガイさんの活躍により、敵が逃げたため、まとまった数を回すことが出来た。
盗賊たちは家々をめぐって、塩のありかを探していたが、もちろん簡単にわかる場所に置いてあるわけもなく。しばらく探し回っているうちに、きららさんをはじめとして、次々と巫女さんが到着した。
盗賊の方もセリアン教団の巫女が村に加勢している事は知っていたが、それまで見た事のない動物に変身した姿を実際に目の当たりにすると、たじろいで足が止まった。そこでそれぞれの神術を使うと、到底かなわないという恐怖心で逃走した。きららさんとアポさんはこのやり方で、村のあちこちにいた盗賊を追い出し、そのうち二人はねそこさんによって落とし穴に埋められた。
そしてガイさんが到着し、その後から北を守っていた村人たちが続くと、盗賊たちは総崩れになり、自分たちが侵入してきた林の中の細い道に戻った。
そこで西や南の加勢も加え、村長が指揮し、攻め立てた。盗賊たちは狭い道で防御に回っている。
これが俺の把握した状況だ。
そうこうしているうちに、逃げ惑っていた村の女性や子供たちが次第に広場に集まってくる。
巫女がいるので安心できるという事なのだろう。
そのために俺たちは次第に東の方へ押し出されるように移動するはめになった。
こちらは犬を六頭連れているので、よく言う事を聞いてくれるといっても、なじみのない集団からは距離を取る必要があると思ったからだ。段々と東に向かう状態になったので、俺はいっそ東へ進んだ方がいいのではと考えた。そこでガイさんに聞いてみた。
「北のように小頭の位置を探る必要はありませんか?」
アリシアさんがその言葉を「黙信術」で伝えてくれた。」
(すでに大勢は決しました。後は村人の手にゆだねるべきでしょう)
「わかりました。なら、少し前に出てもいいですか。家の中にひそんでいる盗賊がいるかもしれませんよ」
アリシアさんがその言葉を伝えると、少しだけの沈黙の後でガイさんは答えた。
(いいでしょう。ゆっくりと進んでください。十二人探知したら立ち止まってください)俺は了解したことを伝えてもらい。歩き始める。今の位置からでは家々は四分の一くらいしか探知範囲に入っていない。
緊張しながら進み、すべての家を調べ終え、家の中には誰もいない事を確かめた。
ほっと息をついて、しばし立ち止まってから、東の林に注意を向ける。すでに四人は探知できている。残りの人数は林の中で村人と戦っているはずだ。
再び歩き始めようとした時、突然探知範囲の外の南の領域から現れて、急速に林の手前に進む人影が現れた。それは先ほどのガイさんに匹敵するぐらいの速さだった。
「南から一人来ます!」
俺は警告を発し、その進路を知るために集中する。
その人影が向かっている先にいるのは、きららさんだった。
チカさんがこれまでの状況を色々伝えてくれるので、整理してみる。
川岸で見張りをしていた二人の話では、盗賊たちは雨で増水した川を細い筏で下って来た。十人以上もいたので、見張りたちはたまらずに逃げ出した。
村長は入り口を守るために西にいて、他に戦慣れしたものもそれぞれ北や南を任されていたので、家が立ち並んでいる村の中心部には、急な事態に対応して指揮をとれるものはいなかった。
盗賊が来ると、女子供やわずかばかりの男は逃げ惑う。その中で、見張りたちは西まで走り村長に告げた。
チカさんはその時点で襲撃を知り、俺たちに報せてくれたわけだ。
そこから村長はこの数なら守り切れると判断した分を残して、手勢を率い東に向かった。
見張りたちはそれぞれ北と南に向かい、村長からの指示を伝えた。
南は少しの人数しか割けなかったが、北はガイさんの活躍により、敵が逃げたため、まとまった数を回すことが出来た。
盗賊たちは家々をめぐって、塩のありかを探していたが、もちろん簡単にわかる場所に置いてあるわけもなく。しばらく探し回っているうちに、きららさんをはじめとして、次々と巫女さんが到着した。
盗賊の方もセリアン教団の巫女が村に加勢している事は知っていたが、それまで見た事のない動物に変身した姿を実際に目の当たりにすると、たじろいで足が止まった。そこでそれぞれの神術を使うと、到底かなわないという恐怖心で逃走した。きららさんとアポさんはこのやり方で、村のあちこちにいた盗賊を追い出し、そのうち二人はねそこさんによって落とし穴に埋められた。
そしてガイさんが到着し、その後から北を守っていた村人たちが続くと、盗賊たちは総崩れになり、自分たちが侵入してきた林の中の細い道に戻った。
そこで西や南の加勢も加え、村長が指揮し、攻め立てた。盗賊たちは狭い道で防御に回っている。
これが俺の把握した状況だ。
そうこうしているうちに、逃げ惑っていた村の女性や子供たちが次第に広場に集まってくる。
巫女がいるので安心できるという事なのだろう。
そのために俺たちは次第に東の方へ押し出されるように移動するはめになった。
こちらは犬を六頭連れているので、よく言う事を聞いてくれるといっても、なじみのない集団からは距離を取る必要があると思ったからだ。段々と東に向かう状態になったので、俺はいっそ東へ進んだ方がいいのではと考えた。そこでガイさんに聞いてみた。
「北のように小頭の位置を探る必要はありませんか?」
アリシアさんがその言葉を「黙信術」で伝えてくれた。」
(すでに大勢は決しました。後は村人の手にゆだねるべきでしょう)
「わかりました。なら、少し前に出てもいいですか。家の中にひそんでいる盗賊がいるかもしれませんよ」
アリシアさんがその言葉を伝えると、少しだけの沈黙の後でガイさんは答えた。
(いいでしょう。ゆっくりと進んでください。十二人探知したら立ち止まってください)俺は了解したことを伝えてもらい。歩き始める。今の位置からでは家々は四分の一くらいしか探知範囲に入っていない。
緊張しながら進み、すべての家を調べ終え、家の中には誰もいない事を確かめた。
ほっと息をついて、しばし立ち止まってから、東の林に注意を向ける。すでに四人は探知できている。残りの人数は林の中で村人と戦っているはずだ。
再び歩き始めようとした時、突然探知範囲の外の南の領域から現れて、急速に林の手前に進む人影が現れた。それは先ほどのガイさんに匹敵するぐらいの速さだった。
「南から一人来ます!」
俺は警告を発し、その進路を知るために集中する。
その人影が向かっている先にいるのは、きららさんだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる