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身体の中心で愛を叫ぶ

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 とうとう手が僕の中心に伸びてきた。白い蛇のようにねっとりとまとわりついてくる。彼女は口から唾液を垂らしてそこを濡らした。その光景も、生暖かい感覚も全てが心を煽る。

身体が思うように動かせないというもどかしさすらもだんだんと悦楽に変わっていく。

「かわいい。ピクピクしてる」

僕のをじっと見て彼女は呟いた。無邪気なようにも、妖艶に挑発しているようにも見える。

すぐに触ろうとはせず、こちらの顔をちらりと伺いながら肉棒を観察する。

ふぅっと、息を吹きかけられ、思わず声が漏れる。
縄が擦れて音を立てる。

触られてもいないのに膨張する本体。血管が浮き出て身体の中心にどんどん血と熱が集まっていく。

それをじっとりと見られているのがたまらなく恥ずかしかった。

「この状況が……辛いんだ」

身動きのとれない身体でできることといったら訴えることしかない。

 彼女はにっこりと笑った。

「どうして、ほしい? 」

どうしてほしいって、一つしかないのに。
それを聞いてくる辺り、相当性根が悪い。

「辛いね。 楽になりたいよね。なんて言ったらいいかわかるかな? 」

子どもをさとすような、煽るような声。

白い手は僕の下腹部をやわやわと撫でる。

堪えていた息が漏れ、気を抜くと喘ぎそうになる。

「こーんなに大きくなっちゃって、辛いねぇ」

その深紅の唇を耳に寄せる。

「どうしてほしいか言ってごらん」

脳天を突き抜けるような興奮で身体が痙攣する。

荒くなった息。まわらない思考回路。

「さわって、さわって下さい。頼むから、苦しいんだ」


彼女の微笑みは天使のようで、悪魔のようで
純真無垢で官能的で

美しかった。
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