サイコパスな僕が征く異世界冒険記 〜皇太子に生まれ変わっても殺人衝動が抑えられません〜

田舎の大学生

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サイコパスと入学試験

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薄桃色の可愛い花びら達が宙を舞っている。
 花は自ら、その時期がくるまで待っている。
 鮮やに散っていける事を心待ちにして。

 

 カインが剣術の訓練を始めてから、かれこれ五年が過ぎようとしていた。身長も既に百五十センチと五年前に比べ五十センチ以上も伸びた。黄金の肌に整った顔も健在で、お母さん似の瞳は人の心をどこまでも見透かすようなブルーである。


「殿下、遂にこの季節がやってきましたなぁ」
「あぁ……やってきたなー少し緊張してきた…」


 カインは晴れて十歳となり国立シークリー魔法学院に入学するための準備を進めていた。無論、入学するには受験をして合格しなければならない。カインは例の腰抜けエドワードと勉強の最終確認をしていたのだ。



「計算問題も完璧、帝国の歴史もしっかり身に付いけておられます。後は殿下の魔法で学院が消し炭にならないことを祈るばかりです」
「僕がそんなことするわけないだろ…買い被り過ぎだ」
「買い被ってなどおりません…」


 学院の受験科目は簡単な計算、帝国の歴史の記述問題、その他に魔法の実地試験もある。魔法学院なので、当然といえば当然なのだが。カインは五歳の時既にLv6の【石槍】という魔法が扱えたためエドワードからもお墨付きを貰っていたのだ。



 暫くすると僕を呼ぶ声が聞こえた。受験までにはまだ少し時間があるが早めに行った方がいいみたいだ。エドワードと王宮で別れると庭には父と母、護衛のシルフィー、使用人一同が立っていた。見送りをしてくれるらしい。


「カイン、頑張ってきなさい」
「カイン君、頑張って頂戴ねぇ」
「皇太子殿下、いってらっしゃいませ!」
「殿下、それでは参りましょう」


 一目で王族が乗っていると分かるような豪華な作りの馬車に乗り込み、ソファーにもたれかかる。内装もかなり凝っており長時間の移動でも全く苦にならないだろう。シルフィーはカインの向かいに座り、背筋を伸ばしている。


「殿下も学院に通われる日が来ようとは。なんだか感慨深いものがございます」
「お前とはまだ五年しか付き合いがないだろ」
「何をおっしゃいますか殿下!こんなにも立派になられて……」
「わかった、わかった。そう目をウルウルさせるな」



 やがて試験会場である学院に到着し、カインは馬車を降りて辺りを見回した。学院は赤レンガ造りの建物で非常に美しく、壊しがいがありそうだ。人はそこまで多くないが、注目されているのはよくわかる。しかし、特に気にすることもなく一人で会場に向かう。護衛は会場内に入れないからだ。その後、受付に受験票を見せる。

「はい、受験番号を確認しました。三階のA-1教室に向かって下さい」



 教室は所謂ふつーのって感じであり、変わってることといえば黒板もレンガで出来ており赤版と呼べばいいのだろうか。


多くの受験生が集まってきだした頃、ツインテールの少女がこちらに一礼をして僕の前の席に座る。一瞬目が釘付けになるが、鐘の音が鳴り教師の合図で筆記試験が始まった。


 内容からいうと非常に簡単だったので説明する時間ももったいない。次に、魔法試験場という場所に全受験生が集められた。教師の話によるとこの建物には結界が張られており、びくともしないんだとか。それなら僕でも全力で魔法を放てる最高の舞台である。


「受験番号三十五番の方こちらへ!」
「それではあの的に向かって魔法をかけてもらいます」
「わかった」


 カインは一切の躊躇いもなく二十メートル先の的へむけてLv6【石槍】を放つ。すると、一本目の槍で的が粉々になり二本目、三本目は結界に吸い込まれていく。十本目を放ったあたりで結界に亀裂が入り始めた。すると、慌てて教師が止めてくる。


「あっあわわわ、もう大丈夫です。魔法はしっかり見させ頂きました。」
「そうか、まぁ今日はこの辺にしてやる」


 教師達はほっとした顔で次の受験番号を読み上げる。カインが会場を出るまで喧騒は鳴り止まなかったのだった。


それから一週間後、王宮にはカインが主席で合格した事が記された通知書が届けられた。エドワードの話によると筆記試験も実地試験も満点だったという。実はこいつが採点してるんじゃないかと疑わなくはないが。主席合格には特に興味を示さないカインは学院の制服を着こなし、今後の学生生活に想いを馳せるのだった……
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