Arabian Nights Craze~狂乱千夜一夜~

三塚 章

文字の大きさ
16 / 17

第16話 カプリシャス・ロード!(1)

しおりを挟む
 カチ。弾切れでもしたような間抜けな音が響いた。ケナビェイはレーザーを発射しない銃を不思議そうにながめた。二、三回振ってみて、やっぱり撃てないとわかると今度は銃を叩いてみせる。そして気がついた。銃に銀色のナメクジが張り付いているのを。
 ピピピピピ。キッチンの隅で、機械じかけの小鳥のようにタイマーが鳴った。ケナビェイは反射的に音のした方へ振りむいた。
 膝の高さしかない小さな保温庫が、小さく震えていた。貧乏ゆすりほどだった揺れは、ガタガタと少しずつ大きくなり、最後は激しい音楽にノッてきたように床の上で飛び跳ねる。
 保温庫の扉が弾け跳んだ。閉じ込められていた大量のネズミが解き放たれたように、銀色の金属細胞がドッとあふれ出す。
「おやおや、思った以上によく増えたもんだ」
 銀色の山のなかにちらりと見えた布の切れ端に、カシは「感心感心」とうなずいた。
「保温庫を壊さないように布にくるんで入れたんだが、それを破くくらいに増えるなんて。お父さんはうれしいぞ」
 保温庫の中に残っていたブルナージュの皮が、銀色の波に押し流されてどこかへ消えていった。
「金属っていっても、細胞だからな。栄養やって暖めりゃ増えるんじゃねえかと思ったんだよ。この量だ。精密機械を持っているんだったら、気をつけたほうがいいぜえ」
 カシが忠告すると、ケナビェイはとっさに胸を押さえた。
「そこか!」
 ワニのような頭に向かってカシは銃の柄を振り下ろした。
「旧型の銃はこういう風に使えるんだよん」
 ゴトッとケナビェイが崩れ落ちた。カシは、その懐から濁った目玉のような乳白色の石を取り出す。石の表面にはびっしりと、複雑な形に金属の線が張り巡らされていた。ゴートシップの核だった。生物細胞から守るため、その辺りにあったフキンで核を包み込む。
「ビスラが持ち込んだ物で、本体が隠せる場所っていったら、アレか! くそ、パーティー会場まで遠い!」
 足元を流れる銀色の河を蹴散らすようにして、カシはもと来た道を辿り始めた。飛沫のように金属細胞が飛び散る。あちこちに着けられた爆弾を壊しに行っているのだ。少なくともここ一帯の爆弾は沈黙させられるだろう。
 パーティー会場にたどり着いても、周りを見渡す余裕もない。カシはスイッチを入れ、核を放り投げた。石の砕ける音で、初めて像のある場所を知る。
 相変わらずうさんくさい笑顔を浮かべたジェイソの像を破って、排気筒やディスク、小型のエンジンなどが弾けるように飛びだした。
 はがき大の白い金属の板が弧を描いて飛んでくる。板は布のように曲がると中空で核を受け止め、包み込んだ。その包に管が刺さって、ビンのような形の冷却機と繋がる。火花を散らしそうな勢いで、他のパーツも合体していく。
「やっぱり隠してたな。そりゃそうだろうよ。墜落させる船に乗るんだ。命綱が必要だわな」
 ファイン・アンブレラ号を爆発させたときも、ケナビェイはこの手を使って脱出したのだろう。もちろん石像ではなく、荷物の中にゴートシップのパーツを隠して。マイニャが見た白い鳥は、この小さな船が光を反射した姿だったのだ。事実というのは時には妙に残酷で、そんな物を作る神は少しサドッ気があるに違いない。
 ほんの数分で組み立ては終わり、カシの前にゴートシップが現れた。持ち込む数を少しでも少なくするためだろう。見栄えをよくする白い外殻や、速度を読むメーター、ランプなど、とりあえず飛ぶのに必要のない部品は省かれていて、白いヤギというよりそのガイコツかゾンビ、といった外見だ。
 カシはヤギに飛び乗ると、思い切りレバーを蹴り倒す。ガイコツのヤギは、いななきのように空気を吐き出すと、突っ走っていく。
「いやっほうっ!」
 忘れ物があったのに気づいて、カシは厨房に戻った。ゴートシップから降りないまま、身を乗り出してケナビェイの襟首を引っつかむ。
「まあ、持って帰ってやるか。見殺しにするのもなんだし。俺っていい奴」
 ウロコに覆われた体を旗のようになびかせながら、カシは厨房を飛び出した。
 金属細胞は、早速新しい宿に入りこうもうとヤギを追う。廊下に並べられた鉢植えがカシの巻き起こす風に倒れ、銀色の大群に押しつぶされていった。
 金属細胞の一つが、飛び上がって船にへばりつこうとした。カシが銃をぶっ放すと、小さなパズルになって飛び散った。
「子供でもこんな能力が残っているのか」
 長い間走るにつれ、少しずつ金属細胞が減っていく。あちこちに散らばるチップ爆弾やまだ生きている機械類に気がついた物がそっちを宿主に決めたのだろう。
 廊下の突き当たりで、行く手を遮っている窓ガラスに全弾を叩き込み撃ち砕く。
 窓枠をくぐった瞬間、ドンと衝撃を感じたのを最後に、シャンデリアのゆれる音が、エンジンの音が、捲くれ上がるジュウタンの音が消えた。聞こえるのは、耳のそばでゴウゴウと鳴る風だけ。
 雲のど真ん中に突っ込んだらしく、周りはどこまでも真っ白だ。後ろで砕けた窓ガラスが光の滝になってこぼれ落ちるのが視界の端に見える。カシが思わず吹いた口笛も、異世界のような白い世界では響かずに消えた。
 止まったようだった時はすぐ動き出して、カシは自由落下を始める。
 下に広がる雲の海に、ちらりと光が浮かぶ。その光は勢いよく拡大を続け、ブレイブ・メイス号の甲板になった。
 カシは忙しく機械を操作する。ゴートシップのそこについた噴射口から炎が吹き出した。それでも落下の勢いは完全に消せず、ゴートシップは横倒しになった。角のようなハンドルの先が甲板に擦れ、ドハデに火花を撒き散らす。放り出されたケナビェイは丸い鉛筆のように勢い良く転がると甲板の柵に激突して止まった。
 甲板に立っていた船員が、横滑りするゴートシップにひかれそうになり、双眼鏡を放りなげてマストの影に隠れた。
 シップから振り落とされたカシが甲板に転がる。衝撃で体がしばらく動けなかった。ケナビェイにつけられた傷がさらに大きくなった。しびれる体で、なんとか起き上がる。
「信じられん」
 モニターに移ったカシの姿に、ジェイソはイスを倒して立ち上がった。
「うそ……」
 ぽかんと口を開けているのは、マイニャ。
「あはははは!」
 ガウランディアは足をバタつかせて大笑いをしていた。
「さすがカシだ! 無茶をする!」
「笑っている場合ではないぞ、ガウ嬢」
 ダイキリが低い声で言った。
「見ろ。降ってくる」
 はるばるカシの船を追ってきた金属細胞の残りが、大粒の雨のように雲の隙間をすべり降りてくる。
「ブレイブ・メイス号に取りついたら厄介だ! 打ち落とせ!」
 甲板に警告音が鳴り響く。
 飾りの帆を張っていたマストが、軋みながら角度を変えて金属細胞の群れに先端を向けた。紫がかった青色の電気のボールがマストの先端に生まれ、回転しながら大きくなっていく。
「ま、まさか!」
 カシは両耳を押さえてうずくまった。
 大砲が発射された瞬間、カシは確かに数十センチ飛び上がった。
 青い光に飲み込まれた金属細胞は灰も残さず蒸発した。
「テメエ、ジェイソ!」
 どこかにあるはずのカメラを探してキョロキョロしながらカシは怒鳴った。
 耳をふさいでも音はかなりの物で、目まいと吐き気がするほどだった。
「人が甲板にいるのに砲撃すんな! 死ぬかと思ったぞ!」
「だったら、無駄口叩かず早く戻ってくるんだな、カシとやら」
 イヤホンから聞こえるジェイソの声は、ふざけているようではなかった。
「その一発で死にかけたのなら、今度は間違いなく死ぬぞ」
 頭上が不意に明るくなって、カシは空を見上げた。
 魚ほどの大きさに見えるジョイ・ジェム号の尾の辺りで、オレンジのような火の弾が膨れ上がった。金属細胞に見つからなかった爆弾が炸裂したのだ。
 炎と煙の帯をひきながら、ジョイ・ジェム号ははるか下の海に飛び込もうとしているように船首を下にむけた。
 ある程度上昇したら一気に落ちるよう、細胞にセットされていたのか、証拠隠滅の爆弾のせいなのか、今まで勝手に上がっていったジョイ・ジェム号は勝手に高度を落としていった。
 燃料のこげる匂いが風に乗ってカシの鼻にまで届く。溶けた金属が空中で固まり、小石になって降ってきて、ブレイブ・メイス号の甲板に突き刺さった。
「まずいまずいまずい!」
 カシは頭を抱えて船の中に逃げ込んだ。ジェイソの命令を受けた兵士に案内され、久しぶりにガウランディア達と合流した物の、再会を喜ぶ所の話ではなかった。
「どうするんだよボス! このままじゃ港に落ちるぞ!」
 ジョイ・ジェム号は、海に飛び込もうとしていた。海水ではなく、港の人の海に。
 地上を映すモニターから、悲鳴が上がった。四角い画面の中で、リンゴを売る屋台が逃げようとする群衆に押しつぶされる。店に飾られた旗がちぎれて宙を舞う。逃げ惑う人に踏み潰されまいと、ネコが一匹屋根に避難した。
「ふははは。死ね死ね死ね、死んでしまえ!」
 ビスラがどこか壊れたように叫び続けていた。
「ジェイソ、ジョイ・ジェム号にもっと砲撃を!」
「レディガウランディア、言われなくてもやっている!」
 紫色の柱が、ジョイ・ジェム号に突き刺さる。とどめを刺された船は、殴られたクッキーのようにボロボロと崩れ、いくつかの破片になった。割れたクス球のように、無数に砕けた鉄片が色とりどりの煙を引いて落ちて行く。
 その美しさが許せないというように、ブレイブ・メイス号の砲撃がさらに追い討ちをかけた。汚れた綿のような煙につつまれたジョイ・ジェム号のカケラは、紫の矢で半分ほどに数を減らす。
「爆弾が役に立ったな。破片が細かく砕ける。下に落ちても被害が小さい」
「でも、下の奴ら無傷っていかないだろうな」
 苦々しくカシが呟いた。
 モニターがあるから逃げ惑う姉妹の涙まで映す事が出来るが、肉眼で窓から外を見下ろしたら、港に群がる人々は小さなアリぐらいにしか見えない。しかも、そのアリもかすんで見えなくなりかけている。この高さから、ねじ一本でも落ちたら、当った人間の頭蓋に穴が開くに違いない。
「だめだ、ジョイ・ジェム号は頑丈にできている。それにあの大きさだ。護衛船の武器でも、すぐには」
 取りこぼした破片が弧を描いていく。その一番小さく見えるカケラでも、家一軒ぐらいの大きさがある。
「砲撃手、もっと火力を! 破片を全て蒸発しつくせ!」
「これで精一杯です!」
 マイニャはガクガクと体を震わせていた。両腕で押さえても、肩が震える。
 ジョイ・ジェム号の破片が落ちて行く、ジョイ・ジェム号? 違う。あれはファイン・アンブレラ号だ。
 マイニャの目に、港と逃げ惑う人波の光景はもう映っていなかった。代わりに映っていたのは、いつか見たファイン・アンブレラ号の事故の光景。
 ファイン・アンブレラ号の破片が、流星雨のように降りそそぐ。祈りを捧げるおばあさんの上へ。わけも分からず空を見上げる子供の上へ。父親が作った兵器で落ちた船。
『マイニャ様! キャプテン・ガウランディア!』
 いきなり響いたナルドの声に、マイニャの幻覚はガラスのように砕けて消えた。
 ガウランディアがイヤホンを押さえる。
「確かナルドといったな。どこにいる!」
『カプリシャス・ロードの中ですよ!』
 イヤホンからの声はどこか得意げだった。
「ばかな。カプリシャス・ロードはダイザー達に乗っ取られているはず……」
『何言ってるんですかカシさん! 映像で流れてますよ、あなたがジョイ・ジェム号から逃げ出したことも、ケナビェイが捕まったこともね! 状況が不利になったもんで、下っ端のダイザー達は逃げるのに精一杯です!』
「やっぱり一人で静かにお留守番はできなかったのだな」
 ぼそっとダイキリが呟いた。
「こっそり、カプリシャス・ロードの様子を見に行っていたのか」
 カシが一つ大きく手を叩いた。
「ブラボー! マイニャ、お前の執事はやっぱり食わせ物だよ!」
「ナルド! メインスクリーンのそばにそのイヤホンを置け! その船は私の声で動く!」
 駆け回る足音と、コトリとイヤホンが置かれる音を確認してから、ガウランディアは叫ぶ。
「カプリシャス・ロード、浮上! 座標4565・7852・4891・782にむかって撃て!」
 ほんの数秒間の静寂。塩の砂漠の方向から放たれた白い光が、空を引き裂きながら伸びていった。
 ガウランディアは、スクリーンに身を乗り出した。
「お前も神の名を持つなら、カプリシャス・ロードよ。人の命を救ってみせろ!」
 白い柱はジョイ・ジェム号の残骸を飲み込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

処理中です...