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二章
神の家侵す者は3
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ロリエドは、力いっぱい暴れていたが、手首と足首の縄は石ででもできているかのように硬く、ゆるみもしなかった。隣をみると、フナークはもう何もかも諦めたように動かない。
ここにある書物は皆国からの預かり物だ。一冊でも傷んだら申し訳がたたない。
なんだって神は、俺に限ってこんな目に遭わすのか?
もがいた拍子に足の小指が薄く開いていた扉の角にぶつかり、痛みと情けなさで涙まで滲んできた。外から冷たい風が吹き込んでくる。
だが、希望はあった。
『あとで、差し入れを持ってきてあげますね』
トティアという若い修道士が去り際にかけてくれた言葉。ロリエドはさっきからそれを祈りの文句のように心の中で繰り返していた。
二人の様子から、多分その言葉は侵入者二人組の耳には届いていないだろう。
ロリエドは体を逸らし、名も知らぬ二人の悪漢を見た。軽薄そうな方も、誠実そうな方も、何か調べものに夢中でこっちに注意を払っていない。
ロリエドは奇妙な虫のように全身を使って扉ににじり寄る。
かすかに空いた扉の隙間から、外の景色が闇に沈んで見えた。目が慣れてくると、庭を横切り一人の修道士がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。約束通り、トティアが差し入れを持ってきてくれたのだろう。
(おお、神よ、感謝します!)
そう思った所で、ふいにロリエドは怖くなった。もしトティアが大騒ぎして侵入者を刺激してしまったら、侵入者たちに何をされるか分からない。
トティアが急に足を止めた。扉の隙間から、縛られているロリエドとフナークが見えたのだろう。ありがたい事に、トティアは挙げそうになった叫び声を押さえてくれたようだった。安心しろ、と言いたいのだろう、二、三回力強くうなずくと、救いの神トティアはロリエドに背をむけてそろそろと小走りで駆けていった。
ここにある書物は皆国からの預かり物だ。一冊でも傷んだら申し訳がたたない。
なんだって神は、俺に限ってこんな目に遭わすのか?
もがいた拍子に足の小指が薄く開いていた扉の角にぶつかり、痛みと情けなさで涙まで滲んできた。外から冷たい風が吹き込んでくる。
だが、希望はあった。
『あとで、差し入れを持ってきてあげますね』
トティアという若い修道士が去り際にかけてくれた言葉。ロリエドはさっきからそれを祈りの文句のように心の中で繰り返していた。
二人の様子から、多分その言葉は侵入者二人組の耳には届いていないだろう。
ロリエドは体を逸らし、名も知らぬ二人の悪漢を見た。軽薄そうな方も、誠実そうな方も、何か調べものに夢中でこっちに注意を払っていない。
ロリエドは奇妙な虫のように全身を使って扉ににじり寄る。
かすかに空いた扉の隙間から、外の景色が闇に沈んで見えた。目が慣れてくると、庭を横切り一人の修道士がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。約束通り、トティアが差し入れを持ってきてくれたのだろう。
(おお、神よ、感謝します!)
そう思った所で、ふいにロリエドは怖くなった。もしトティアが大騒ぎして侵入者を刺激してしまったら、侵入者たちに何をされるか分からない。
トティアが急に足を止めた。扉の隙間から、縛られているロリエドとフナークが見えたのだろう。ありがたい事に、トティアは挙げそうになった叫び声を押さえてくれたようだった。安心しろ、と言いたいのだろう、二、三回力強くうなずくと、救いの神トティアはロリエドに背をむけてそろそろと小走りで駆けていった。
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