無能と呼ばれた鍛冶師の神〜能力値向上のチート装備を村人たちに持たせて最強の国を築く!!

七色夏樹

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第37話 ゴブリンの宝物

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 娼館のあるワンダーランドに残るという主旨の手紙、ならぬブサイクな絵を残して消えたゴブトリオを取っ捕まえため、俺は『オナホル』まで足を運んだ。

「ウゥル♡」

 店に入ると同時にアマンダが抱きついてくる。

「やぁんっ!」

 反射的に尻を揉んでしまう。
 が、今日は遊びに来たわけではない。愚かなるゴブトリオを連れ戻しにきたのだ。
 そのことをアマンダとバリエナに説明する。アマンダはかなり残念そうに肩を落としていた。この埋め合わせはいつか必ず、そう心に誓いながら、俺はバリエナから教えられた部屋に乗り込むため三階に移動。

「三階……? 三階なんてあったのかよ!」
「特別料金が発生する、VIPルームでありんす」
「VIッ……。あのボケトリオめっ!」

 この俺を差し置いてなにがVIPだバカ野郎っ!
 まさかコンドームで得た利益を、すべて女遊びにつぎ込む気じゃないだろうな。
 回収し忘れていたが、取り分は当然9:1。俺が9でゴブリンが1だ。
 あいつらはそれを分かっているんだろうな。

「……くっ」

 三階には見るからに豪奢な両扉が一つだけ、階段を上った先でデカデカと待ち構えている。龍のレリーフが施された黄金の扉だ。

「きゃぁ!? このゴブリンさんたちすごーい♡」

 ピキッ――

 愉快そうな声音が中から聞こえ漏れて来るたび、額の血管がはち切れんばかりに膨らんだ。

 ――ドンッ!

 扉を蹴破り中に入ると、部屋には札束がばらまかれ、ゴブトリオがヴァルキュリアたちを侍らしている。

「神様、お別れを言いに来てくれたべか?」
「暇な時には小生たちも村に顔を見せに行くじょ」
「そうだがや! だからそんなに寂しがらなくても大丈夫だがぁ!」

 全くもってとんでもない勘違いをしているゴブトリオを尻目に、バリエナはヴァルキュリアたちに手招きし、そそくさと退室。

「ゴブゾウ、お座りッ!」
「へ……? ウギぁッ!? ――な、なんだべさ、これ!? あちぃっ!? あ、熱いべさ!?」

 令呪をもって命令すれば、俺の左甲に刻まれた紋章が輝きを放つ。それに伴い、ゴブゾウの背中に刻まれた隷属紋が熱を帯びた。

 ジュッ――芳ばしい薫りを放ちながら背中の皮膚が焼ける。

「たたたた助けてほしいべ、神様っ!? オラの背中が溶けて無くなるべさ!?」

 パニックになって脚にしがみついてくるゴブゾウを、俺は射殺すように睨みつける。

「だから、座れと言っているだろうがッ!」
「は、はいだべッ!」

 眼前にちょこんと正座すると、途端に熱は引いたようで、ゴブゾウは安堵のため息を吐き出した。

「お前たちはこの俺になんと言った?」
「……な、何がだべ?」

 わからない。そんな顔で俺を見上げるゴブゾウ。
 ゴブヘイとゴブスケの二匹は、特大サイズのベッドの上からこちらの様子を窺っている。

「お前たちは村に住ませてくれと俺に頭を下げ、果ては一月も俺を歩かせた挙句、コボルトに占拠されていたゴブリン村を救ってやった恩を忘れたというのかッ! さらには、コンドームの売上はたしかにそこの二匹にくれてやると言った。が! 誰も全額やるなど一言も言っていない。貴様らの取り分は精々1割……意味、わかるよなぁ?」
「「……」」

 俺の怒りが伝わったのか、ガクガクブルブルと抱き合っては青ざめていく二匹。

 そもそも、こいつらは俺が領地を賭けた神々の戦いゴッドゲームでトリートーンと戦うための駒。その駒が娼館通いがしたいのでこちらに移り住みます、そんなことが赦されるわけがない。

 だったらはじめから助けてなんぞやっとらんわッ!

 ゴブリンだろうがきたいくさにて、肉壁くらいの役には立つだろう、そう思って助けてやったまで。それを、何を勘違いしてくれているのだ。

「貴様らには俺の寛大さが全然、これっぽっちも伝わっていなかったようだな。ならば仕方ない。少々酷だが、それ……切り落とすか」

 二匹の局部に鋭い眼光が突き刺さると、「ヒィッ!?」震え上がって跳びはねた。

「し、死んだ方がまだマシなんだじょ」
「い、いくらなんでもそれはえげつなすぎるだがや!」

 床を軋ませ一歩踏み出すと、二匹は「逃げるだがや!」二手に分かれて逃走を図る。

「ゴブゾウ、ゴブスケを捕まえろ!」
「りょ、了解だべさ!」

 ゴブスケの行く手にゴブゾウが立ちはだかる。

「み、見逃してほしいだじょ、ゴブゾウ!」
「それは無理だべ。逆らったらオラは丸焼きになるべさ!」
「小生はオスの誇りを切り落とされるだじょ!」
「ロキの旦那を見習って、ニュースタイルとして生きて行くべさ」
「無理だじょ、無理だじょ! そんなの絶対に無理だじょ!!」

 どれほど足掻こうとも、レベル差は当然、アーサーのペンダントを装備したゴブゾウにゴブスケが敵うわけもなく、あえなく取り押さえられる。

「い、今だがやっ!」

 バシッ――跳びはねたゴブヘイの顔面をダイレクトキャッチ、鷲掴みにしてやった。

「―――ハッ!?」
「俺から逃げれるわけ、ないだろ?」
「い、いぎゃああああああああああああああああああああああ」

 縄で縛りあげた二匹の去勢手術を開始する。

「おっ、お願いでごぜいましゅだじょ!? 小生っ、小生なんでもするだじょ!」
「わてもっ、わてもなんでもするだがや! だから、わてらの宝物だけは取り上げないでほしいだがや!」
「生きる希望が無くなるんだじょ!」
「慈悲深きウゥルカーヌス様っ、どうか、どうか御慈悲をなんだがやっ!!」

 泣きわめく二匹の前に立ちはだかったゴブゾウが、性懲りもなく五体投地を繰り出してくる。

「オラからもお願いするだべ! 去勢だけは、それだけは勘弁してやってほしいだべ!」
「「ゴブゾウ!」」

 芋虫となった二匹がナメクジみたいにゴブゾウにすり寄っている。

「はぁ……。仕方ない」

 はじめから去勢などする気はなかったが、脅しというかお仕置きは必要だ。

「では、二匹にはゴブゾウ同様、奴隷紋を背中に刻んでもらう。この意味、わかるよな?」
「……はい、だじょ」
「……その時は、神様のためにこの身を捧げるだがや」
「オラも、覚悟はできているべ!」
「……いい覚悟だ」

 俺は魔物の神ではない。
 人を、アーサー王国の人々を幸せにするため、俺自身が幸せになるために行動する。
 そのためには、魔物を犠牲にする日も来るだろう。

 ……仲良くなりすぎるのは、危険なのかもしれない。

「んっじゃ、アーサーたちの元に帰るぞ」
「はい、だべ!」
「はい、だじょ!」
「はい、だがや!」

 返事だけは、いっちょ前なんだよな。
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