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第10話 ???
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一度家に帰り、購入した荷物を置いて一息。
貴族の少年ねぇ……一応粗相のないように、元の世界で学んだマナーをフル活用させておこう。
それが、この世界で通じるかは知らないけど。
「ねえ、おねたん」
「どうしたの?千春」
「“神様を助けてください”って、なんだと思う?」
依頼内容はそれしか知らない。
受付の人も本人から聞いた方が早いとか言ってたし、もしかして貴族の言葉遊びか何かなのかな?
「この世界には神様がいて、その神様がなんらかの形で誰かに囚われているとかかしら?」
「それはそれで、とんでもないことだね」
日時計を見ると、まだ正午前。
あまり遅い時間に訪れるのもよくなさそうだし、午前中のうちに行ってくるか。
とりあえず服装は、貴族の人相手でも、元の世界の服着ていけば粗相にはならないでしょ。一応仕事用の服だし。
***
ここが貴族の家か。すっごい豪邸。
日本でこんな家建てたら億は余裕で行くわ。
依頼主は少年って聞いたから、まだ小さなお子様なのかな?
というか、家の前に来たはいいけど、どうすりゃいいんだろ。
「呼び鈴はないね」
「ファンタジー世界に呼び鈴なんてあったら台無しでしょ」
おねたんのツッコミもごもっとも。
「そこのノッカーを使うのよ」
「ああ、これ?」
ノッカーを鳴らすと、使用人の男性が出てきた。
やはり貴族、お金持ちのけはい
依頼の件を話し通された先にいたのは、少年というか、日本でいう高校生くらいかな?という感じの人だった。
「とりあえず、掛けてください」
「ああ、はい」
なんだか、企業の面接みたいになってる。
「僕はウィストル・ハイルマンと言います」
「申し遅れました。私は藤原千春、本日はよろしくお願いします」
「羽根うさぎのおねたんです」
おねたんはパタパタ羽ばたきながら挨拶をした。
マイペース羽根うさぎ可愛い。
「えっと、それでは……まず、僕は健康そうに見えますか?」
いきなり何だ?
もしかして、トンチか何かか?
「こう見えて、僕は生まれつきの疾患で、右目が見えず、左腕と右足に麻痺があり、不自由な生活をしてきました」
「え?でも……」
視線は正常に見えるし、前で合わせた両腕も、組まれた足も、とても麻痺があるようには見えないんだけど。
「そう、今の僕にはその疾患がありません」
「ますます意味わからん」
「千春!心の声出てる!」
うげっ!今の喋っちゃってた!?
相手は貴族様だから、くれぐれも粗相のないように気をつけてたのに!!
「ハハッ、大丈夫ですよ。気楽に話してください」
「あ、いえ……気をつけます」
とりあえず、一回くらいなら誤射かもしれないってことでセーフ?
ウィストルさんが心の広い人で助かった……のかな?
「意味がわからないのも当然です。
なぜなら、僕の疾患は女神様が持っていってくれたのだから……」
女神様が?なら、もう解決済みじゃん。
あ、でも、依頼って神様を助けてくださいだっけ?
ということは──
「もしかして、女神様が持っていった疾患を治してほしいと?」
「お察しが良くて助かります。
女神様は、今僕の左に立っているんですけど……見えますか?」
「全然……」
おそらく虚言とかではなさそうだから、確かにそこにいるんだろうけど、ウィストルさんの左側には誰もいない。
「おねたん、見える?」
「うん、辛そうに立ってる。千春もウニャウニャで見る?」
「お願い」
おねたんのウニャウニャで、あたしの目に神を視認できる力が備わった。
その目で見てみると、おねたんの言う通り、辛そうな表情だけど、儚くも美しい女神様の姿が現れた。
左腕と右足に麻痺……違う。
何か鎖のようなもので縛られている。
右目は……これは何?何かの手が覆い隠している?
「これって……疾患じゃないよ!誰かが邪魔してる!
女神様を鎖で縛って、目を腕で隠してる!」
「なんだと!?」
「千春にはそう見えるのね?」
あたしはおねたんの声に頷いた。
おねたんとあたしでは、見えているものが違う?
女神様の目を覆う腕から長い爪が伸び、眼球に狙いを定める。
突然なぜ?あたしが気づいたから?
「おねたん!こいつを倒す方法は!?」
「千春、わたしはそれと戦えるスキルを生み出せない……」
「な、何が起きてるんだ!?」
「スキル!ヒール!」
だめだ、痛いの痛いの飛んでけで消えるようなやつじゃない!
あたしには、見えてるだけ……まさか、この依頼がこんなことになるなんて!
「チハル……頼む!女神様を助けてくれ!」
「おねたん!実体化のスキルは!?
おねたんが実体化したみたいに、見えないものを実体化するスキル!!」
「千春!受け取って!」
ウニャウニャ省略でスキル付与できるんだ。
でも、これなら……こいつを実体化してひっぺがせる!
「女神様から離れなさい!」
光を帯びた手で爪の伸びた腕を掴み、あたしはそいつを引き摺り出した。
しかし、そこには千切れた青緑色の不気味な腕だけがビチビチと跳ね動いている……逃げられた?
女神様の目は、固く閉ざされたまま。
これは、いったいなんなんだ?
少なくとも、これは、あたしが受けていい依頼なんかじゃなかった……。
貴族の少年ねぇ……一応粗相のないように、元の世界で学んだマナーをフル活用させておこう。
それが、この世界で通じるかは知らないけど。
「ねえ、おねたん」
「どうしたの?千春」
「“神様を助けてください”って、なんだと思う?」
依頼内容はそれしか知らない。
受付の人も本人から聞いた方が早いとか言ってたし、もしかして貴族の言葉遊びか何かなのかな?
「この世界には神様がいて、その神様がなんらかの形で誰かに囚われているとかかしら?」
「それはそれで、とんでもないことだね」
日時計を見ると、まだ正午前。
あまり遅い時間に訪れるのもよくなさそうだし、午前中のうちに行ってくるか。
とりあえず服装は、貴族の人相手でも、元の世界の服着ていけば粗相にはならないでしょ。一応仕事用の服だし。
***
ここが貴族の家か。すっごい豪邸。
日本でこんな家建てたら億は余裕で行くわ。
依頼主は少年って聞いたから、まだ小さなお子様なのかな?
というか、家の前に来たはいいけど、どうすりゃいいんだろ。
「呼び鈴はないね」
「ファンタジー世界に呼び鈴なんてあったら台無しでしょ」
おねたんのツッコミもごもっとも。
「そこのノッカーを使うのよ」
「ああ、これ?」
ノッカーを鳴らすと、使用人の男性が出てきた。
やはり貴族、お金持ちのけはい
依頼の件を話し通された先にいたのは、少年というか、日本でいう高校生くらいかな?という感じの人だった。
「とりあえず、掛けてください」
「ああ、はい」
なんだか、企業の面接みたいになってる。
「僕はウィストル・ハイルマンと言います」
「申し遅れました。私は藤原千春、本日はよろしくお願いします」
「羽根うさぎのおねたんです」
おねたんはパタパタ羽ばたきながら挨拶をした。
マイペース羽根うさぎ可愛い。
「えっと、それでは……まず、僕は健康そうに見えますか?」
いきなり何だ?
もしかして、トンチか何かか?
「こう見えて、僕は生まれつきの疾患で、右目が見えず、左腕と右足に麻痺があり、不自由な生活をしてきました」
「え?でも……」
視線は正常に見えるし、前で合わせた両腕も、組まれた足も、とても麻痺があるようには見えないんだけど。
「そう、今の僕にはその疾患がありません」
「ますます意味わからん」
「千春!心の声出てる!」
うげっ!今の喋っちゃってた!?
相手は貴族様だから、くれぐれも粗相のないように気をつけてたのに!!
「ハハッ、大丈夫ですよ。気楽に話してください」
「あ、いえ……気をつけます」
とりあえず、一回くらいなら誤射かもしれないってことでセーフ?
ウィストルさんが心の広い人で助かった……のかな?
「意味がわからないのも当然です。
なぜなら、僕の疾患は女神様が持っていってくれたのだから……」
女神様が?なら、もう解決済みじゃん。
あ、でも、依頼って神様を助けてくださいだっけ?
ということは──
「もしかして、女神様が持っていった疾患を治してほしいと?」
「お察しが良くて助かります。
女神様は、今僕の左に立っているんですけど……見えますか?」
「全然……」
おそらく虚言とかではなさそうだから、確かにそこにいるんだろうけど、ウィストルさんの左側には誰もいない。
「おねたん、見える?」
「うん、辛そうに立ってる。千春もウニャウニャで見る?」
「お願い」
おねたんのウニャウニャで、あたしの目に神を視認できる力が備わった。
その目で見てみると、おねたんの言う通り、辛そうな表情だけど、儚くも美しい女神様の姿が現れた。
左腕と右足に麻痺……違う。
何か鎖のようなもので縛られている。
右目は……これは何?何かの手が覆い隠している?
「これって……疾患じゃないよ!誰かが邪魔してる!
女神様を鎖で縛って、目を腕で隠してる!」
「なんだと!?」
「千春にはそう見えるのね?」
あたしはおねたんの声に頷いた。
おねたんとあたしでは、見えているものが違う?
女神様の目を覆う腕から長い爪が伸び、眼球に狙いを定める。
突然なぜ?あたしが気づいたから?
「おねたん!こいつを倒す方法は!?」
「千春、わたしはそれと戦えるスキルを生み出せない……」
「な、何が起きてるんだ!?」
「スキル!ヒール!」
だめだ、痛いの痛いの飛んでけで消えるようなやつじゃない!
あたしには、見えてるだけ……まさか、この依頼がこんなことになるなんて!
「チハル……頼む!女神様を助けてくれ!」
「おねたん!実体化のスキルは!?
おねたんが実体化したみたいに、見えないものを実体化するスキル!!」
「千春!受け取って!」
ウニャウニャ省略でスキル付与できるんだ。
でも、これなら……こいつを実体化してひっぺがせる!
「女神様から離れなさい!」
光を帯びた手で爪の伸びた腕を掴み、あたしはそいつを引き摺り出した。
しかし、そこには千切れた青緑色の不気味な腕だけがビチビチと跳ね動いている……逃げられた?
女神様の目は、固く閉ざされたまま。
これは、いったいなんなんだ?
少なくとも、これは、あたしが受けていい依頼なんかじゃなかった……。
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